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第6話「キハ85系気動車」

[ルイーネフリーレン局地ターミナルステーション]


3番線に停車し出発準備をするキハ85系気動車Wideview Зима(ワイドビュージマー)の横に二人の人影があった。

一人はスノウと全く同じ音楽隊の様な制服に、透き通った色白の肌で淡い青色の瞳の女の子。

しかしその頭には、スノウの様な軍帽は被っておらず、代わりに白色の長い髪がツインテールに結われている。


もうひとりは、黒髪のモヒカンの様な短髪の褐色肌の大男で、赤い色の作業用つなぎを着ている。

また、その額には鬼を思わせる1本の角が生えている。


女の子

「ギム、私の足周りの件だけど・・・車体傾斜装置何とかならないの?」


モヒカン男

「担当のアルーツク工場で枕空気バネ式の車体傾斜装置を装備して傾斜角2゜になっているはずだから問題なかろう。」


女の子

「大有りなの!!さっきも青い奴に曲線の副々線でぶち抜かれたじゃない!!」


モヒカン男

「そうは言ってもなぁ・・・ジマー嬢に無茶な改造はさせられんしなぁ・・・」


わがままお嬢様のごとく駄々をこねるツインテールの女の子の名前はジマー=オプテラ、キハ85系気動車Wideview Зимаに搭載された、スノウと同じオプテラシリーズの旅客列車仕様版のTCAIである。

そして、それをなだめている温厚そうな大男がギム=オウガス、この気が強くプライドの高いTCAIの専属の整備技術者である。

今の状況が物語るように、ジマー嬢は彼の頭痛と胃痛の種で、今彼はジマー嬢のこの状態をどうやって終息させるか頭を抱えるのだった。





スノウ

「やっぱりキハ85だ・・・夢じゃないよね・・・」


車体側面の形式番号確認し、キハ85である事を確認したスノウ。

そして、無意識にその車体に手を伸ばす。


????

「あまり触れないで貰えない?」


スノウの背後から声がした。

振り向くとそこには、スノウと同じ服装のツインテールの女の子が立っていた。


スノウ

「え・・・えっと」


ジマー嬢

「私はジマー=オプテラ。この列車のTCAI、って事でこの列車は私の身体なの。」


そう、さっきまでギムの前で駄々をこねていたジマー嬢である。

どうやら、スノウが車体に触れそうなのを感知して駆けつけたようだ。

彼女は、車体に触れられるのを嫌がる。

理由はステンレスの車体に手垢が付くからと本人は言っているが、走って埃だらけになるのは気にしない。

全くもって意味の判らない理由である。


スノウ

「ぼ・・・僕はスノウ=オプテラ、あっちに停まってるSnow expressのTCAIだよ。」


ジマー嬢

「ふぅん・・・」


ワタワタしながら、自分の車輌を指差し自己紹介で返答をするスノウだったが、ジマー嬢は見下す様にスノウの車輌を一瞥し鼻で笑った。


ジマー嬢

「どこの田舎列車かと思えば、私の劣化コピー車輌じゃない。」


そして、スノウの車体を劣化コピーとけなした。


スノウ

「劣化コピーじゃないです!!」


ジマー嬢

「あら、車体以外全部私のコピーじゃない!!しかもその車体は時代遅れの綱製車体・・・これを劣化コピーと言わずして何と言いうの?」


劣化コピーじゃないと反論するスノウだったが、ジマー嬢は更にスノウの車輌にケチをつけ、時代遅れの綱製車体とまでいい放った。


スノウ

「じゃ・・・じゃあこれできる?」


気の弱いスノウでもさすがに頭にきたらしく、彼は自分の車輌を指差ながらその車体を傾けてみせた。


ジマー嬢

「なっ!!」


スノウ

「傾斜角度は曲線ベアリングガイド式装備で6゜・・・これでも劣化コピーだって言える?見た感じだと、そっちは装備してないみたいだけど・・・」


ジマー嬢にどや顔をするスノウ・・・

目の前の状況に、硬直するジマー嬢・・・


ー この勝負僕の勝ち♪ ー


スノウがそう思った瞬間、ジマー嬢がスノウを押し倒し馬乗りになり・・・


ジマー嬢

「その台車何処で手に入れた!!・・・言え!!ってか、私に献上しなさい!!!今すぐ!!!!」


スノウの胸ぐらを掴みながらヒートアップ・・・


もうこうなると彼女は止まらない、力任せにスノウの頭をシェイクし彼の台車を要求する。


その後、スノウを追ってきたリアンは、「やっぱりか・・・」っとため息をつき、ギムは慌ててジマー嬢の首根っこを掴み、「落ち着けジマー嬢!!」と言いながら何とか引き離そうと悪戦苦闘しているという「どうしてこうなった」と思わず言ってしまいたくなる状況が展開されるのであった。











[通商連合本部の一室]

薄暗い部屋には、机を挟み要談する二人の男の姿があった。


機関士服の男

「ストライキは順調だ、機関区員の半数の者が参加している。」


無駄に派手なシュバルツァークロイツの機関士の制服をきた小肥りの男が薄汚い笑みを浮かべ、ワインを煽る。


貴族風の男

「駅長の妨害で駅員の賛同が得られなかったのは痛いがな・・・」


完全な肥満体型の派手な貴族格好をした小柄な男が、考え混む。


機関服の男

「なぁに、駅長は始末すれば良い、貴方なら簡単でしょう?」


機関士服の男がニヤリと笑う。


貴族風の男

「できなくは無いが・・・その後はどうする?」


貴族の格好をした男が頭をかく。


機関士服の男

「キレ者の駅長が居なくなれば残りの駅員は烏合の衆、何とでもできるだろう。」


機関士服の男が嫌らしく笑う。

しかしその時、


機関士

「大変です機関区長!!!」


部屋に痩せた機関士服の口髭の男が慌ただしく駆け込んできた。


機関士服の男

「何事だ騒々しい!!」


機関区長と呼ばれた小肥りの機関士服の男は、駆け込んできた男を怒鳴りつけた。

しかし、口髭の機関士服の男は気にせず話はじめた。


機関士

「ルイーネフリーレン駅に基幹線用のTCAI装備型の高性能車輌が続々と集結して、自動運転で通常軌道線での運行を開始しています!!このままでは我々の立場が・・・」


機関士服の男

「何だと!!おのれ運行管理局!!」


報告を受けた機関区長は、机を叩き怒りを露にした。


機関士服の男

「我々は不要と言うのか!!・・・いまにみいていろ!!!」




…To be continued


キハ85の足回りは、キハ261と同じ方式の枕空気バネ式の車体傾斜装置が改造で装備されているという設定です。

ちなみにこの改造はWideview Зимаのみの特別仕様で、他の基幹線を走るキハ85にじゃ車体傾斜装置は付いていません。



[Wideview Зимаの編成]


(キハ85-2][キロハ84-1][キハ84-7][キハ84-8][キハ85-112)(キハ85-118][キハ84-6][キハ85-113)




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