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第32話「ゴマスリ海賊男」

[王都付近の上空]


リック元帥

「いやぁ、さすが邪神様、良い飲みぷりで♪」


リズロット

「そんな事ないのだ♪」


リック元帥

「いやいやいや、邪神様の偉大さが滲み出んばかりの(省略)さらに、このおつまみに選ばれた甘味のチョイスのセンス、神々しさすら(省略)イヨッ!!パーフェクトゴッド!!」


ラズロット

「さすがリックなのです♪見る目があるですね♪」


リズロット

「今度、リックの列車総隊に多めに予算配分するよう、フラウに言っておくのだ♪」


(ヤベェこの海賊のおっさん、延々ゴマスリトークしてやがる・・・絶対になりたくない大人像の見本みたいだ・・・)


ブラックゴーストと併結し走行中のSnow expressの食堂車では、コルセア帽子に黒い海賊衣装の男が、延々と接待ゴマスリよいしょトークを展開していた。

このコミカルな動きで延々と話続ける黒髪のドレッドヘアの男こそが、第6列車総隊司令官、リック=ブラウン元帥である。


このレゲエおやじの絶妙なよいしょトークで、最初は恥ずかしがっていた双子たちだったが、徐々に気を良くして、今では完全に上機嫌である。


リック元帥

「邪神様、実は今回の・・・」


そんなタイミングでリック元帥が、1つの話題を切り出そうとした。


ラズロット

「フラウの差し金・・・全部お見通しなのです♪」


リズロット

「懲りてないみたいだから、今度お仕置きをしないとなのだ♪」


しかし、双子達は、それを手で制して、全て解っていることをリック元帥に告げた。


リック元帥

「あーその事なんだが、今回だけはこのカルーアと甘味そして、このリックに免じて多めに見て・・・」


ラズロット

「それは無理なのです。」


リズロット

「邪神はなめられたらいけないのだ。」


フラウ総帥からの指示通り、今回の件は水に流してもらえないかと頼むリック元帥だったが、当然、毎回いい様に利用されている双子達は首を縦には振らない。


リック元帥

「そこを何とか、ね・・・このままだと僕ちゃん総帥に怒られて泣いちゃうよ。」


ラズロット

「むー、それは可哀想なのです・・・」


リック元帥

「ね、この通り!!総帥には僕ちゃんからキツーく言っとくから。」


(中略)


リズロット

「むー、今回だけなのだ・・・」


ラズロット

「次は無いってちゃんと伝えるですよ。」


リック元帥

「おおお!!さすが寛大なる邪神様、感謝の極み!!そのご慈悲溢れるお言葉!!!その全てが福音を体現したかの様です。」


しかし、リック元帥は諦めず、手を合わせ頼み込み、それに根負けした双子達は、今回だけという条件でこの件を水に流した。

これにより、フラウ総帥が恐れていた最悪の事態(ゴールデンボールクラッシャー)が無事回避された。


「(なぁリコ・・・)」


リコ

「(何かにゃ?)」


「(コイツら本当に危険な奴らなのか?)」


リコ

「(うー、根底が揺らいでるから聞かないで欲しいにゃ・・・)」


「・・・・・・・・・・・」


その様子を隣のテーブルで眺めていた京とリコだったが、最初に抱いた侵略者のイメージと余りにもかけ離れた目の前の光景に、邪神を倒す前提条件が音をたてて崩れ落ちていくのだった。


なお、この場に居ないひなたは、携帯片手にホクホク顔で車内の写真を撮りまくっていたりする。



その頃、Snow express最後尾の乗務員室では、リアンがいつも通り煙草を吹かしていた。

ブラックゴーストはSnow expressの前にに連結されているので、視界を遮る物が無く、外の流れ行く景色が良く見える。


リアン

(特殊な力を持ったヴァルハイトの人間・・・おそらくヴァルハイトの管理者達が何か仕掛けてきているってことなんだろうが・・・だがそれにしてはアイツ等が弱すぎる・・・とすると、力とは違う何か別の能力・・・?!まさか・・・)


ヴァルハイトから送り込まれた二人の人間の目的について考えていたリアンが、思考の海の中、ある1つの可能性・・・それも最悪の可能性にたどり着いてしまった。


リアン

「ん?あれは・・・」


ふと外の風景に意識を集中したリアンは、急速で接近する二人の姿を発見した。


1人は、シルクハットにモーニングの姿の男・・・そうあの変態紳士こと第3世界管理者である。

そして、もう1人は黒いスーツに黒いロングコート、極め付けに黒いサングラスとう中二病全開の格好をした黒髪の少年だった。


リアン

「まぁ、不通に考えるなら、あの二人の関係者だろうな・・・やれやれ、一服やる暇も無しか・・・」


リアンは、渋々電鈴装置に鍵を差し込んだ。

ちなみに、リアンが、その米粒の大きさにしか見えない二人の姿を判別できたのは、ヴァンパイアである彼女が持つ驚異的な視覚能力のお陰である。


チン・・チンチンチン・・

チン・・チンチンチン・・

電鈴装置のスイッチに手をかけたリアンは、"電話機の操作にかかれ"の合図を送り、近くにある電話機の受話器を取った。


リリム

「ハイ、こちらブラックゴーストTCAIリリム列車長でありますです!」


電話に出たのは、ブラックゴーストのTCAI、リム=オプテラだった。

彼女は、水雷戦闘列車ブラックゴーストを制御しているオプテラシリーズTCAIで、その姿はピンク色のショートヘアーに赤い軍帽を被った軍服姿の小さな女の子である。


スノウ

「ハーイ、こちらSnow expressTCAIスノウ=オプテラです。」


それに少し遅れて、スノウも電話に出たのを確認し、リアンは話を始めた。


リアン

「後方、約50キロにお客さん二人だ・・・大至急、併結を解除して身軽になった方が良いと思うんだが・・・」


リリム

「賛成でありますです!軟弱列車のスノウは一刻も早く離脱するであります!!」


スノウ

「軟弱列車言うな!!僕は旅客列車!!」


リリム

「軍用TCAIが旅客列車・・・それこそが軟弱なのでありますです!!」


スノウ

「うるさい!豆タンク!!」


リリム

「うるさいのはそっちであります!紙装甲!!」


スノウ

「脳筋!!」


リリム

「ヘタレ!!」


リアン

「じゃれるのはそこまでにしとけガキ共・・・作業を始めるぞ。」


スノウ

「了解です。」


リリム

「了解でありますです!」


ガチャ・・・


リアン

「ったく勘弁してくれ・・・TCAIってのはガキしか居ないのかよ・・・」


受話器を置いたリアンは、ゲンナリした顔で愚痴をこぼしつつ、連結面を目指して歩き始めた。


…To be continued

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