第30話「謀略の結果」
[とある通商連合の集積所]
ターバンの男
「亜空間飛翔魚雷発射!!命中と同時に全車輌浮上し白兵戦にかかれ!!奪えるものは根こそぎ奪え!!逆らう者は皆殺しだ!!」
海賊風の男達
「ヒャッハー!!」
次元の狭間に潜んでいた漆黒の戦闘列車達に装備されている魚雷発射菅から次々と亜空間飛翔魚雷と呼ばれる、11次元座標で飛翔し目標を破壊する兵器が放たれた。
そして数分後、目の前の集積所では次々と爆発が起こり大混乱となった。
ターバンの男
「今だ!!浮上!!!」
スノウそっくりの少年
「アイサー、隷下TCAI集中制御、空間アプトギアロック、アップ‰80、浮上開始・・・」
そんな大混乱の中、戦闘列車達は空間の裂目から車軸にあるアプトギアから火花を散らし次々と亜空間から浮上し、集積所にその車体を突っ込ませた。
海賊風の男達
「ぶった切れヒャハハハハ」
「俺にもぶった切らせろよグヘグヘ」
「皆殺しだヒャハー」
ターバンの男
「皆殺しとは言ったが、女子供は含まんからな、良いな。」
海賊風の男達
「イエァ!!」
スノウそっくりの少年
「・・・破ったら主砲♪」
海賊風の男達
(無言で敬意)
そして、完全武相の兵士達?が降り立ち、破壊と殺戮の限りを尽くし、物資を奪って行く行為が、各地の通商連合の物資集積所で発生していた。
これは、暗黒武装鉄道結社シュバルツァークロイツ総帥、フラウ=ラッテが仕向けた第6列車総隊の仕業で、ウェストハイトの通商連合が持つ輸送網を完全に破壊し、後々驚異の芽を詰む事が大きな目的である。
そう、今までの、通商連合が行った鉄道輸送妨害も、ダーク元帥の軍事行動も、フォマー駅長の抵抗も、邪神達の介入も全てこの為の布石で、結局全てが総帥の手の内で踊っていたに過ぎなかったのである。
[要塞都市の浮かぶ世界イゲルフェスト -文明レベル 未来-]
フラウ総帥
「なーんか呆気なくてつまんないや・・・」
サラ防衛局長
「そうですね・・・総帥らしい陰湿で完璧な計画でしたから・・・」
フラウ総帥
「それ誉めてるの?」
サラ防衛局長
「ええ勿論、総帥に否定的要素なんてありませんわ♪」
フラウ総帥
「なら良いけど・・・」
サラ防衛局長
「そ・れ・よ・り、今日とってもかわいらしいメイド服をてに入れましたので是非総帥に・・・」
フラウ総帥
「僕は男です!!絶対に着ません!!!」
要塞都市イゲルフェストの本社ビルでは赤と黒の貴族風のスーツに金糸の様な綺麗な永い髪に人形の様に整った顔で一見少女に見える少年、フラウ=ラッテと長い黒髪と真っ白な肌の美しい女性、サラ=オルコットのいつも通りのキナ臭くもユルい会話がくりひろげられていた。
サラ防衛局長
「それより、リック元帥はこのまま・・・」
フラウ総帥
「当然です!!邪神達に今回の事がバレたら・・・」
さっきまでの威厳溢れる表情から突然何かに怯えた表情に変わるフラウ総帥。
サラ防衛局長
「この前の邪神様必殺の金玉粉砕の再来ですね♪」
そう、総帥が怯えているのは、双子の邪神達が怒りに任せて放つ完全シンクロの急所蹴りである。
因みに、数ヵ月前にも同じ様な事をして、邪神達の急所蹴りで悶絶していたりする。
フラウ総帥
「だ・・・だからリック元帥に邪神達を誤魔化させるの!!これは絶対譲らないから!!」
サラ防衛局長
「はいはい♪でも、今までの経験上直ぐにバレるかと。」
フラウ総帥
「ちょ・・・恐い事言わないでよ!!」
サラ防衛局長
「大丈夫です♪その時はさすってあげますから♪」
フラウ総帥
「全然大丈夫じゃない!!」
その後、サラ防衛局長はしばらく鼻に血の滲んだハンカチを当てていたのは気にしてはいけない事である。
[ルイーネフリーレン局地ターミナルステーション]
フォマー駅長
「・・・という事は、シエル君も総帥の指示で私を誘導する役目をしていたと・・・」
シエル
「そういう事になる・・・リアンとジマーがあそこに居なかったのは幸い・・・あの二人が居たら絶対バレてた・・・」
駅長室では、シエルが今回の種明かしをしていた。
シエルの話では、彼女はフォマー駅長が邪神達とコンタクトを取るように誘導する役割を担って居たらしい。
ラビ
「そういや、カルーアを餌に邪神呼ぶ言うたの、このクソ女やったな・・・」
皐月
「ホンマえげつないどすなぁ・・・」
シエル
「総帥命令・・・仕方ない・・・」
ジマー嬢
「・・・確かに・・・まぁ、結果的に通商連合が一掃されこの世界は物流面でシュバルツァークロイツに頼らざるえない状況に追い込まれた・・・もはや反乱どころではない・・・後は王国次第だけど駅長が望む状況では無くて?」
非難轟々なラビと皐月を制して、冷静に現在の状況を分析するジマー嬢・・・
フォマー駅長
「少々犠牲者が多いですが・・・大局的には・・・」
シエル
「違いは、通商連合の壊滅だけ・・・総帥はそう言ってた・・・」
フォマー駅長
「通商連合には緩やかな消滅をと考えていたんだが・・・」
ジマー嬢
「それだと、消滅までの過程で通商連合が反発して問題がおきるわね・・・総帥がそれを容認するとは思えないわね・・・それならこれを期になにも残さず潰してしまおう・・・彼らしい考えね・・・」
フォマー駅長
「だが、その為に犠牲者が大勢・・・」
シエル
「心配ない・・・その為の邪神達・・・明日には犠牲は無かった事になってるはず・・・」
フォマー駅長
「どういう事だ?」
フォマー駅長が首を傾げた。
彼だけではない、ラビと皐月も「何故?」といった顔をしている。
しかし、ジマー嬢はシエルの方を見て微笑みながらこう言った。
ジマー嬢
「帰還祭のメインイベントね・・・」
どうやら彼女は、シエルが言わんとした事を理解しているようだ。
彼女が言った帰還祭とは、5年に1度殉職者への感謝を表し1ヵ月にわたり行われるお祭りである。
そして、そのメインイベントが、お祭りの最終日に行われる、殉職者の帰還である。
そう、双子の邪神達が神としての力を使い殉職者を生き返らせるのである。
そして総帥は、双子の邪神達の力を使い犠牲者を生き返らせ、犠牲者を無かった事にするつもりなのである。
ジマー嬢
「困った時の神頼みとは良く言ったものね・・・」
シエル
「一言・・・誰が旨い事言えと・・・」
皮肉を漏らすジマー嬢・・・しかしそれは、シエルの最悪のタイミングのツッコミで台無しにされるのであった・・・
…To be continued
そろそろウェストハイトのお話も終了しそうです。
次は満州鉄道の連京線が舞台かな♪