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第28話「双子達の悪ふざけ」

[城塞都市ウロ跡地]


城塞都市だった場所に広がる荒野の上空に停車するSnow express。

その食堂車では、ラズロットとリズロットがお約束のパフェタワーをお供に、紅茶を飲んでいる。


「どう見ても、紅茶が脇役にしか見えねぇよ・・・」


それを、呆れ顔で見つめる京・・・


どうやら、双子達のティータイムのせいで、戦いを仕掛けるタイミングを完全に失ってしまったようだ。


フィロ

「気にしたら敗けだぞ♪とりあえず紅茶をのめ♪」


「ふん・・・敵の入れた茶が飲めるか!!」


紅茶を差し出すフィロにそっぽを向く京だが、それ以前に敵の列車に乗っている段階でアウトのような気がするが・・・


「おい邪神!!いつまで待たせるんだ!!」


ラズロット

「後1時間くらいなのです♪」


リズロット

「ゆっくりしてくのだ♪」


「ふざけるな!!!」


怒りゲージ上昇がマッハな京を気にすること無く、いつも通りのマイペースぶりを遺憾なく発揮する双子達であった。





--------------------------------

[ウロ付近の上空]



ひなた

「おかげ君・・・きっと大丈夫だよね・・・」


リコ

「さっきの爆発はこの先の筈にゃ」


リコとひなたは、城塞都市ウロを目指し、高速で飛行していた。

・・・というのも、京がウロに向かってからしばらくすると、ウロの方角で白い光の爆発が起きたからである。


リコと第3世界管理者は、安全を考え、王都で京の帰りを待つ事を提案したが、ひなたが京を探しに行くと言い張り譲らなかったので、リコが同行し今に至る。


リコ

「そろそろ城塞都市ウロに・・・うにゃ?!」


リコが突然驚愕の声をあげた。

理由は、そこにあるはずの城塞都市が忽然と姿を消し、何もない荒野になっていたからだ。


ひなた

「リコ!あれ見て!!」


突然空を指差すひなた・・・

その先には、上空に停車する列車の姿があった。


リコ

「??????」


その、余りにも世界観に馴染まない常識を逸脱した光景にリコは言葉を失った。


しかし・・・


ひなた

「すごーい!!キハ8500だよ!!会津鉄道の競売の時に行方不明になったって聴いたけど・・・銀河鉄道に移籍してたんだぁ♪」


ひなたは、その列車を見て大興奮していた・・・

どうやら、彼女は筋金入りの鉄道マニアだったらしい・・・

だが、銀河鉄道はどこから出てきた?


ひなた

「ああ・・・あのカミンズサウンドがまた聴ける♪」


リコ

「あ・・・あの・・・ひなたさん?」


ひなたの大興奮ぶりに若干引きぎみのリコだったが・・・


リコ

「あれは・・・列車の中に京が居るにゃ!!」


列車の窓に映った京の姿を発見し、彼女に伝えた。


ひなた

「ホントだ・・・小さな子二人と何か話してるみたいだけど・・・知り合いなのかな・・・」


リコ

「二人?・・・あれは・・・第2世界管理者が言ってた双子の邪神・・・」


ひなた

「え?あの小さな子二人が邪神なの?」


リコ

「この管理者達と同じ気配・・・間違い無いにゃ・・・」


京と列車の中で話をしている二人の小さな子供からは、神と呼ばれる存在が発する独特の気配が感じられた。

その気配からリコは、この二人の子供が第3世界管理者の言っていた、暗黒武装鉄道結社を守護する邪神だと判断したのである。


ひなた

「なんか、想像してたのと全然違うね・・・私、ゲームのラスボスみたいなのを想像してた♪」


リコ

「そっちの方が可愛いにゃ・・・この二人から感じられる力は・・・桁違いにゃ・・・」


双子達の外見に油断しまくっているひなたと違い、リコの警戒度は極限まで高まっていた。

なぜなら、リコは京やひなたと違い、相手の気配だけでなくその力の大きさを具体的に知る事ができる能力を持っていて、二人から溢れ出る桁違いの力の気配を感じ取っていたからである。


ひなた

「そんなに強そうには見えないけどなぁ・・・あ、何かおかげ君怒ってるみたい・・・」


リコ

「京が仕掛けて、全く相手にされて無いって所だと思うにゃ・・・(今なら間に合うかも・・・)ひなた!!」


ひなた

「うにゅ?」


突然のリコの大声に、慌てたひなたが変な返事をして振り向く。


リコ

「急いで京を止めに行くにゃ!!」


ひなた

「何で?おかげ君ならきっと勝っちゃうよ♪」


リコ

「無理にゃ・・・蟻が戦艦に挑んで勝つようなものにゃ・・・向こうがその気になったら・・・」


ひなた

「なったら?」


リコ

「一瞬で跡形も無く消滅にゃ・・・」


リコの言葉でひなたの顔が蒼白になった。

そして・・・


ひなた

「おかげ君!!」


ものすごい勢いで、列車に飛んでいった・・・




-------------------------


[Snow express]




「だからいい加減に・・・」


ラズロット

「ほぇ?」


リズロット

「はぇ?」


「何だよ、その「一体何の事?」的なリアクションは!!」


食堂車内では、相変わらずふざけた態度でまともに話を聞こうとしない双子達と、それに怒り狂う京の漫才トークが続いていた。


ラズロット

「さっきから何怒ってるですか?」


リズロット

「きっとカルシウム足りてないのだ♪」


ラズロット

「リズたん、それは間違いで、怒るとカルシウムが外に出ちゃうのですよ♪」


リズロット

「ほぇぇ、ラズたんは物知りなのだ♪」


ラズロット

「てひひひ♪って事で、カルシウムたっぷりの鳥軟骨の唐揚げがお薦めなのです♪」


「何でカルシウムの話になる!!」


ラズロット

「理解力が乏しいみたいなのです・・・」


リズロット

「そんな時はDHAたっぷりのマグロの目の裏側がお薦めなのだ♪」


ラズロット

「おお♪あそこの脂身はとっても美味しいのです♪」


「お・ま・え・ら・なぁ・・・いい加減に!!」


ドンドンドン・・・


ついに堪忍袋の緒が切れた京が、二人に切りかかろうとしたその時、食堂車の窓がけたたましく叩かれた。


「ちょwひなた!!」


窓の外を見た京の顔が凍り付いた。

まぁ当然だろう、王都に置いてきた筈のひなたの姿が窓の外にあったのだから・・・



ドンドンドン・・・


ひなた

「おかげ君!!戦っちゃダメ!!」


ドンドンドン・・・


ひなた

「気付いておかげ君!!」


窓を叩きながら必死に呼び掛けるひなた・・・


その時、


スノウ

「ちょっと!!何やってるの!!車輌に触っちゃダメでしょうが!!」


お約束で、スノウが4号車(食堂車)の扉から顔を出し、このひなたの危険行為(例え停車中の列車でも危険なので絶対に手を触れない!!)を注意する。


・・・が、


ひなた

「(あそこから入れる!!)おかげ君!!」


物凄い勢いでひなたが扉に突進した。


スノウ

「ちょ!乗車券をお持ちで・・・うわっ」


それを咄嗟に制止しようとしたスノウだったが、見事に撥ね飛ばされた。


ひなた

「おかげ君!!」


列車内に転がり込んだひなたは、すぐさま体勢を立て直し、京のいる食堂に向かおうとした。


ガチャリ・・・


しかし、後頭部に冷たい金属が押し当てられたのを感じ固まった。


リアン

「よぉ嬢ちゃん・・・何お茶目こいてんだ?あぁん?」


ひなたの後頭部に押し当てられたのは、リアンの拳銃であった。


ひなた

「そ・・・そんな拳銃じゃひなた怪我しないもん!!」


震える声で、強がる彼女だったが・・・


リアン

「皮膚の硬化、空間の隔離は無し・・・て事は、銃弾を減速させて止めるつもりなんだろ?」


リアンが涼しい顔でひなたがこれからやろうとしている事を言い当てた。

もちろん正解である。

彼女は、運動エネルギーを自在に操る能力をもっていて、迫り来る銃弾でもその運動エネルギーを奪い減速させて無効化できるのである。


ひなた

「そ・・・そうだよ・・・だから無駄な事は止めたら?」


何故か余裕たっぷりのリアンに疑問を感じながらも、無駄な事は止めるように警告する彼女だったが・・・


リアン

「そうか・・・普通に撃っても無駄だろうな・・・だけどよ、銃弾を減速するにはある程度の距離が必要だろう?」


リアンの問い掛けにひなたが震えながら頷く・・・


リアン

「そこでひとつ聞きたいんだが、銃口はあんたに密着してる・・・つまり零距離って事になるんだが・・・この場合どうなるんだ?」


リアンの問い掛けにひなたの目が見開かれ、小刻みに身体が震えはじめる。

見るからに動揺している様子を見てとったリアンは更に彼女を追い詰めるために話を続ける。


リアン

「知ってるか?シュバルツァークロイツでは無賃乗車は重罪で、その処罰は乗務員の裁量で執行が認められているんだ・・・さて、どうしたもんかなぁ・・・」


リアンの言葉は着実にひなたを追い詰めている。

その証拠に、小刻みたった彼女の震えは次第に大きくなっている。


「ひなた!!ぐっはっ」


ひなたの元に駆け寄ろうとした京が、見えない壁にぶち当たって弾き返された。


スノウ

「運行規則で、乗務員による処罰執行の妨害は認められていませんので、諦めて下さい。」


どうやらこの見えない壁を作り出したのは、スノウらしい。

TCAIは原則として、運行規則に乗っ取り行動するように作られているため、この京に対する妨害行動は当然である。


「テメェこの!!邪魔すんじゃねぇ女男!!」


スノウ

「それなら、処罰執行を中断させる正当な理由を運行規則に乗っ取り説明して頂ければ・・・」


「ふざけんじゃねぇ!!」


スノウと京が口論している隙に、リコがリアンに飛び掛かり助けようとするが・・・

京と同じく、見えない壁に弾き返され、壁に叩き付けられ気絶してしまった。


リアン

「あ、何か言い残す事あるか?」


ひなた

「あ・・・あ・・・」


リアンに最後に言い残す事を訪ねられるひなただったが、恐慌状態に陥った彼女がそれに答えるのは不可能である。


リアン

「ま・・・いっか、じゃあな♪」


「やめろぉぉぉぉぉ!!」


引き金が引かれそうになった瞬間、京が絶叫をあげる・・・が・・・


カチン・・・


無慈悲に檄鉄が落とされ・・・






リアン

「なーんてな♪中々面白い余興だったろ?」


リズロット

「迫真の演技だったのだ♪」


ラズロット

「良い暇潰しだったのです♪」


・・・どうやら、リアンが双子達を楽しませる為にひと芝居うったようだ。


スノウ

「だろうと思いました・・・」


リアン

「お?珍しく空気読んでるじゃないか♪」


スノウ

「珍しくは余計です!!」


スノウも解っててやったらしい・・・

実はかなり腹黒い子なのかもしれない。

それはさておき、今まで張り詰めていた空気が一気に和やかものに変わった。


ひなたはその和やかな空気に安心したのか、その場にへたり込んでしまい・・・


スノウ

「わっ!ちょっ!!」


ひなたがへたり込んでいる場所に、水溜まりが出来ていく。

どうやらリアンの与えた極限状態に近いプレッシャーの影響で失禁してしまったらしい。



「ひなた!!」


見えない壁が無くなり、京がひなたの元に駆け寄り抱き抱える。


ひなた

「ひぐ・・・漏れちゃったよぉ・・・ひぐ・・・もうお嫁にいけないよぉ・・・」


京に抱き抱えられたひなたは、泣きじゃくっている。

極限のプレッシャーに晒され挙げ句に失禁ショーそしてトドメに、幼なじみとはいえ、一番意識している相手にそれを見られてしまったら泣きたくもなろう・・・


「大丈夫だ!!俺が・・・」


ひなた

「ふぇ?」


「俺が貰ってやるから・・・」


ひなた

「おかげ君・・・」


真っ赤な顔の京にひなたが抱き付いた。

そんなひなたの頭を優しく撫でたあと、京はゆっくりと立ち上がった。

そして、この参上の最大の原因とも言える双子達の元へゆっくりと歩みを進める。


当然ながら、とてつもなくどす黒いオーラを見に纏っている。


「ひなたをあんな目に遭わせやがって・・・ぜってぇ許さねぇ!!」


怒りに任せ、京は木刀を構え、そして双子達に斬りかかった!!



…To be continued













キャラの扱いが酷い?


うーん、基本鉄道の敷地内でルールを守らないにわか鉄は嫌いですからね♪

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