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第26話「異世界からきた二人と一匹」

[王都ハイランド]


ハイランド王国のほぼ中心に位置する王都ハイランド。

街には、王城を中心に同心円状に大小様々な石畳の道路が張り巡らされ、その隙間に押し詰めたように建物が建ち並んでいる。

そんな街中を、二人の男女と1匹の黒猫が歩いている。

男女とも、日本人の黒髪黒目で、同じ中学校の制服を身に纏った少年と少女で、少年の方は、木刀、少女の方は弓道用の弓を背負っている。


少年

「リコ、今回はどんな任務なんだ?」


リコと呼ばれた黒猫は眠そうにあくびをすると、


リコ

「管理者の一人が会って話をしたいらしいにゃ・・・正直あいつらは苦手にゃ・・・」


と、今回の目的を教える。


少女

「うわぁ完全な異世界だぁ・・・ひなた達の世界と全然違うよぉ♪」


嬉そうにはしゃぐ少女の名前は、桜小路 ひなた(さくらこうじ ひなた)、中学校1年生。

自分の事をひなたと呼ぶ行動から予想される通り、精神年齢が幼いトレードマークのアホ毛が良く似合う天然娘である。


少年

「いい加減、自分を名前で呼ぶのやめろよ、恥ずかしいだろ。」


その天然娘の行動に遠慮なくダメ出しをする少年の名前は御影(みかげ) (きょう)、中学校2年生。

ひなたとは幼稚園時代からの幼馴染みで、お互いに遠慮というものがない関係である。


ひなた

「じゃぁ、おかげ君も恥ずかしい技名叫ぶの止めてよ」


「みかげだ!!何回言えば解るんだ、それに俺の技名センスはカッコイイはずだ!!」


ひなた

「そういうのって中二病って言うってこの前読んだラノベに書いてあったよ♪」


「ええい黙れ、腐女子が!!」


ひなた

「今はオタージョって言うの!!」


痛女(イタージョ)の間違いじゃないのか?」


ひなた

「痛い娘言うな!!中二病!!」


「中二言うな!!痛娘(イタムスメ)!!」


京は、中二認定にひなたは痛い娘認定にそれぞれ反論し言い合いが始まるが・・・


リコ

「お前らほんとに仲良いにゃ・・・そろそろ管理者が来る時間にゃ、夫婦喧嘩は後にするにゃ。」


「そんなんじゃねぇし!!」


ひなた

「誤解!!誤解だよぉ!!」


リコの夫婦喧嘩発言を全力否定する二人だが、その真っ赤な顔に説得力は無い。


この二人と一匹は、管理者と呼ばれる存在からの指示を受けて、ヴァルハイト内の並行世界を旅し問題を解決する特殊な力を持った存在である。

そして、彼等が第1世界管理者が言っていた神を殺す能力を持った者達なのである。




第2世界管理者

「お待たせ致しました、私は第2世界管理者と申します。」


しばらく歩いていると、突然背後から声をかけられた。

その方向を見ると、シルクハットにモーニングという怪しげな格好の男が、紳士の様に深々と頭を下げていた。


ひなた

「わあああ♪おかげ君!おかげ君!!変態さんだよぉ!!」


「みかげと言え!!ってか失礼過ぎだろお前、実際そうだとしてもさぁ・・・」


ひなた

「これって、変態と言う名の紳士?初めてみたよぉ!!」


「人の話を聞け!!変態相手でも言って良いことと悪い事が・・・」


第3世界管理者

「失礼な方達だ・・・まぁ良いでしょう・・・」


二人の失礼の極みと表現して良い会話に、苦笑いする第2世界管理者だが、変態認定は余り気にしていな様子で、話を続ける。


第3世界管理者

「ここは、ウェストハイトと呼ばれる、君達の世界の更に外にある小さな異世界です。そしてこの街は、ハイランド王国王都ハイランドです。」


リコ

「・・・という事は、ここは管理者達の力の及ばない・・・」


第3世界管理者

「そうなりますね・・・」


「おいおい、そんな世界の外があるなんて・・・」


京達は、案内役のリコを通じて、普段旅をしている世界は、自分達の世界の様々なIFにより分岐した結果生まれた並行世界といえるべきもので、これら並行世界は管理者と呼ばれる存在により管理されている事は知っていた。

しかし、その外にある全く異質な世界の存在は知らない。

そして、そんな今までとは異なる異世界に飛ばされたという事実は、嫌な予感しかしない。


第3世界管理者

「話していませんからね・・・ただ、我々の世界は今、この外の世界からの脅威に晒されています。この世界の様にね・・・」


ひなた

「それって・・・」


第3世界管理者

「この世界の約3分の2が既に、事実上侵略されています。」


ひなた

「悪の秘密結社?わぁぁぁぁ♪」


侵略という単語に、悪の秘密結社の存在を勝手に予想してキラキラと眼を輝かせる。


「おいおい、戦隊ヒーローものじゃあるまいし・・・」


第3世界管理者

「そうでもありません、この世界を侵略しているのは、暗黒武装鉄道結社シュバルツァークロイツという組織で・・・」


「何で鉄道なんだよw」


第3世界管理者が口にした悪の秘密結社と思われる組織の名前に思わずツッコミを入れるが・・・


第3世界管理者

「鉄道会社が母体となって生まれた組織だからとしか言えませんね。」


と、苦笑い気味に答えた。


リコ

「間抜けな名前に油断しちゃダメにゃ、あいつ等複数の世界を手中に納める巨大組織にゃ。」


第3世界管理者

「そうです、それに我々の世界を今脅威に晒しているのは、彼等なのですから・・・」


「鉄道会社が侵略ねぇ・・・てか管理者のあんたが何とかしろよ!!」


ごもっともなツッコミを適格に入れる京だが、第2世界管理者は首を横に振る。


第3世界管理者

「残念ながら、我々管理者では彼等に太刀打ちできません。私が身を持って経験していますから・・・彼等の守護をしている双子の邪神は、我々管理者を超越した存在としか言えません。」


リコ

「ちょっと待つにゃ!!」


リコが思わず第3世界管理者の話を止める。

リコは管理者から京やひなたをヴァルハイトの問題解決の為に使うとしか聞いていない。

しかし、会話の流れからして、京やひなたをその邪神と戦わせるつもりとしか思えない。

絶対に太刀打ち出来ないのは容易に予想できるはず、ならば二人を捨て駒に何かを実験するつもりなのは明白である。

神である管理者とは言え、そんな横暴は許されない。止めなければ・・・


そんな思いから、リコは第3世界管理者の話を止めた。


そして・・・


リコ

「管理者が太刀打ち出来ない相手に、京やひなたがかなうはず無いにゃ!!いったい何を企んでるにゃ!!」


リコが怒りを爆発させた。


第3世界管理者

「今更隠しても仕方ありませんね・・・彼等の力は神を殺す事ができるんですよ・・・つまりあの邪神を倒せる可能性があります。

そして、今まで並行世界の旅をして頂いたのは、それを達成するための訓練といったところです・・・」


リコ

「にゃっ・・・」


絶句するリコを無視しさらに話は進む。


第3世界管理者

「邪神はここから南西にある城西都市ウロを襲撃しています・・・」


リコ

「何を?!」


第3世界管理者

「強制する気はありません、しかし我々の世界を守れる可能性はあります。それに賭けるか捨てるかは貴方達次第です。」


「邪神を倒せば、俺達の世界は守られるのか?」


京の言葉に第3世界管理者は静かに頷く。

そして・・・


「・・・わかった・・・邪神の所へは俺一人で行く・・・リコひなたを頼む、絶対に追って来させるな。」


ひなた

「おかげ君!!」


「みかげ・・・ったく・・・心配すんな、必ず帰る・・・」


心配そうに見つめるひなたの頭を京は優しく撫で、リコにこう告げた。


「リコ・・・能力解放・・・」


リコは静に頷き、京の能力を解放させた。

能力を使えるようになった京は、力一杯地面を蹴り、飛び立った。

目指すは、城西都市ウロ・・・


ひなた

「おかげ君!!必ず帰ってきてぇぇ!!」


必ず帰るという京の言葉を信じきっているひなたの姿は、彼の真意を悟っているリコには耐え難いものだった・・・



…To be continued


この作品の世界観が、異世界トリップモノとの互換性を持つものであることを証明するために実験してみました。


あと、この作品の世界観は、こちらに一報くれるのと、主要キャラを殺さないのを条件に開放しておりますので、ご自由にお使いくださいませ。(かなり前に問い合わせがあったので今更対応w)

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