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第25話「ダメダメな暴走列車」

[ヴァルハイト第1世界]


第1世界管理者

「各世界の管理者の皆さん、お忙しい中この会合に参加頂き・・・」


第8世界管理者

「挨拶は良いから本題にはいれよ。」


第3世界管理者

「相変わらずの態度ですね・・・」


真っ白な空間に8人の人影があった。

彼らは、ヴァルハイトの管理者と呼ばれる存在で、各担当の世界を管理している神々である。

ちなみに、ヴァルハイトには平行世界と同じ数だけの管理者がいて、生まれた順番に序列がついている。

そして、序列の高い第1から第8世界の管理者がヴァルハイト全般の統制を行っている。


第1世界管理者

「今回集まってもらったのは他でもありません、あの暗黒武装鉄道結社シュヴァルツァークロイツの件です。」


第2世界管理者

「うむ、第843世界が現在干渉を受けているようだな。」


第8世界管理者

「担当の管理者は傍観していただけなのか?」


第3世界管理者

「下手に手を出せば、あの二人の邪神が出てくる、そうなれば我々も只では済まない・・・」


第6世界管理者

「確かに・・・第2世界管理者が一撃で無に返された点を考えれば、我等全員が束になろうと結果は同じ・・・故に傍観するしか無いのが現状・・・」


第2世界管理者

「それが・・・」


第8世界管理者

「どうかしたのか?」


第2世界管理者

「第843世界管理者は、シュヴァルツァークロイツの干渉を受け入れてしまった・・・」


第8世界管理者

「何じゃそりゃぁぁぁ?」


第1世界管理者

「今回の件は、流石に我等としても見逃せません、見逃せば更なる離反者が出るのは明白・・・」


第6世界管理者

「だが、あの邪神はどうする?」


第1世界管理者

「その点は問題ありません、幾つかの世界で神を殺せる能力を持つ者達を確保してあります。」


第8世界管理者

「じゃ、じゃあ今すぐに・・・」


第1世界管理者

「慌てるな、現在別の世界に飛ばし経験を積ませている段階だ・・・だが、一度接触させてみるのも悪くはないな・・・」


第6世界管理者

「邪神は現在ウェストハイトという小規模な世界に滞在中ですが・・・一度ぶつけてみますか?」


第1世界管理者

「一組をぶつけてみましょう。それで今後の方針が決められそうですからね。」


第3世界管理者

「では、案内役は私が努めよう・・・」


第3世界管理者は人影の姿から、人の姿に変化した。

その姿は、黒髪の短髪に紅い瞳、そして真っ黒なモーニングにシルクハットといういかにも怪しげな姿となった。


第3世界管理者

「それでは・・・」


第3世界管理者は紳士のように深々と頭を下げると、光りに包まれる様に消えた。






[城塞都市ウロの上空]


快晴の空をキーンという、カミンズエンジン特有の甲高い過給器音を響かせ、Snow expressが疾走していた。


スノウ

「現在、ウロ上空を周回中ですが・・・今後のご予定は?」


食堂車には、相変わらず甘味を食べ続ける双子達に今後の予定を訪ねるスノウの姿があった。

フォマー駅長からの指示は、ウロまで双子達を運ぶという事だけで、どのように都市内部に入るのかといった指示は一切無い。


リズロット

「強行着陸とかオモロそうなのだ♪」


スノウ

「残念ながら、僕の車体はそこまで頑丈じゃないです・・・」


ラズロット

「重装甲列車(強力な防御シールドや頑丈な装甲で最前衛に配置される戦闘用列車)並の防御シールドを装備してるから普通にできる筈なのです。」


スノウ

「いや・・・でも衝撃で・・・」


ラズロット

「車体フレームの補強で軽戦闘列車位の強度は持ってるですよ♪」


旅客列車というのを理由に拒否しようとしたスノウだったが、先の各種パーツの交換で、Snow expressはモンスタートレインと化している為、それは無理だろう。


リアン

「車輪へのダメージを考えれば、低空浸入して飛び降りるのが良いんじゃね?その方がカッコイイしな。」


リズロット

「おお!!その発想は無かったのだ・・・」


ラズロット

「確かにカッチョイイのです♪」


さりげなくスノウに助け船を出すリアン。

彼女としても、車体の損傷で仕事が増えるのは避けたいのが本音だろうが、そこはものは言い様といったところだろう。

彼女は、上手く双子達を納得させて、低空浸入からのダイブという流れに誘導した。


スノウ

「それじゃあ、格好良く低空浸入しますから準備してください。」


Snow expressはエンジンを唸らせ、徐々に高度を落とし始めた。


--------------------------------


[城塞都市ウロ]


衛視1

「ん?」


衛視2

「どうかしたか?」


衛視1

「何か唸り声が聴こえないか?」


衛視2

「おいおい、今は真っ昼間だぜ?」


城塞都市の城門を警備する衛視の一人が、異変に気付いた。

だが、もう一人はそんなわけあるかと笑い飛ばす。

だが・・・


衛視1

「何だあれは?!」


衛視が指差した先には、甲高いカミンズサウンドを響かせ、急降下しながら接近するキハ8500系気動車・・・Snow expressの姿があった。


衛視2

「閉門!!閉門だ急げ!!」


衛視の叫び声に反応し、城門の頑丈そうな扉が閉じ始めるが、Snow expressは、ミュージックホーン(幽霊ホーン)を鳴らしながら突っ込み扉を粉砕する。

もちろん空間隔離式の防御シールドで守られたその車体には、傷ひとつ無い。


スノウ

「ジマーさんに鹿避け用のスカート借りてきた方が良かったかなぁ・・・」


防御シールドの桁違いの性能を実感したスノウは、軽い冗談を呟いた。

本人が聞けば・・・


ジマー嬢

「私は南紀(なんき)じゃない!!」


・・・と、ブチ切れるだろうが・・・。


悪ノリしたスノウが動かすキハ8500系気動車は、塔や城壁等の建造物を次々と粉砕しながら城塞都市の中央にある城館を目指し爆走する。


攻城兵

「射て射て射てぇぇぇ!!」


攻城兵

「これ以上先に進ませるな!!」


弩兵

「ちくしょう!!まるっきり効果がないぞ!!」


魔術師

「対魔獣用の魔法だぞ・・・化物め・・・」


爆走するSnow expressを止める為に、攻城兵のカタパルト(投石器)から巨大な石が、弩兵のバリスタ(台車に積まれた超大型の弩)から極太の矢が、魔術師から対魔獣用の火の嵐が、それぞれ襲いかかるが、車体を守る防御シールドに触れた瞬間に弾き返され、効果を発揮していない。


♪~ワイドビューチャイム~♪

スノウ

「間もなく、降下ポイントに到着致します。増結21号車、左側の扉開きます、ご注意下さい。」

♪~ワイドビューチャイム~♪


ラズロット

「チャイムは要らないかもです・・・」


リズロット

「緊張感が台無しなのだ・・・」


♪~ハインケンスのセレナーデ(24系客車ver)~♪

スノウ

「えーと、時間が無いのでお急ぎを~♪」

♪~鉄道唱歌(電子音)~♪


ラズロット

「絶対わざとやってやがるのです(怒)」


♪~アルプスの牧場(電子音)~♪

スノウ

「わざとじゃないですよ~♪」

♪~アルプスの牧場(オルゴール)~♪


リズロット

「そういう時点でわざとなのだ!!・・・てかチャイムのレパートリー多すぎなのだ!!」


♪~μスカイチャイム~♪

スノウ

「特製品ですから♪」

♪~名鉄チャイム~♪


ラズロット

「何時か事故れ!!ばーかばーか!!」


リズロット

「ばーかばーか!!」


折角の雰囲気をスノウのいたずらチャイムで台無しにされた双子は、苦し紛れの悪口とともに、ダイブした。


リアン

「ガキの喧嘩だな・・・」


フィロ

「諦めは大事だぞ♪」


その様子を呆れた様子で見守る二人・・・こんなんで大丈夫なのかと言いたいが、今更言っても無駄な事だろうと半ば諦めているのは言うまでも無い・・・



…To be continued


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