第24話「魔改造と犬猿の関係」
[ルイーネフリーレン国際ターミナルステーション]
工作列車長
「とりあえず、エンジン出力強化、空間隔離式シールドユニットの増設、車体フレームと台車フレームの補強が今回のパーツ交換と増設の理由だ。」
スノウ
「性能を見る限り、戦闘列車並のスペックですね・・・」
ステーションに隣接する検車上に停車するSnow expressの車内では、工作列車長が、新しい設計図と仕様書を広げて交換したパーツの説明をしていた。
今回のパーツ交換で、Snow expressの性能は大幅に向上し、防衛局で使用される戦闘列車並の性能となっていた。
リアン
「まぁ、理由は分からんでもないな・・・普段邪神の乗る車輌は重戦闘列車(重武装重装甲の戦闘用列車)ベースだからな・・・」
リアンが言う通り、双子達が普段利用している列車はキンダーガルデンと言う名前の重戦闘列車を改造し豪華な居住スペースを持つ武装客車を増結した化物列車である。
そんな列車と同じように運用されたら、戦闘列車では無いキハ8500はあっという間にスクラップになってしまう。
そこで、今回のパーツ交換で武装は無いものの、戦闘列車並のエンジン出力と防御能力を持たせたのである。
その後、Snow expressは試運転で近くの駅までの往復区間を性能試験を行いながら回送したが、車体重量が大幅に増加しせいか、ジョイント音がズッシリと重たい音になっていた。
それにも関わらず、強化されたエンジンのお陰で加速性能には全く影響が見られず逆に向上している始末である。
そう、Snow expressは旅客列車の皮を被った戦闘列車級の性能を持つ化物に変貌したのである。
・・・但し、燃費が大幅に悪くなったが・・・
それはともかくとして、試運転を終え、ルイーネフリーレンの6番線に停車したSnow expressは、そのまま双子達の受け入れ準備にはいった。
・・・というのも、応接室で現状の説明を受けたラズロットとリズロットは、アルトゥール公爵領に向かうと言い出したからだ。
現在のところ、事態はフォマー駅長の思惑通りに進んでいる様だ・・・
フィロ
「スノウ!!次の行き先は何処だ?」
スノウ
「城塞都市ウロ、アルトゥール公爵率いる緒公軍が居るらしいよ。」
食堂車への食材の積み込みをしながらフィロとスノウが、次の行き先について楽しそうに話している。
次の行き先、城塞都市ウロは、街全体が要塞と化した街で、アルトゥール公爵の住まう砦でもある。
フィロ
「時間どれぐらいかかる?」
スノウ
「今回は線路が無いから空中軌道で向かう事になるから早く着くとおもうよ。」
スノウがいう通り、今回の目的地、城塞都市ウロに向かう路線は無い。
それ以前に、アルトゥール公爵領内には線路そのものが存在しない。
理由は通商連合のトップであるアルトゥール公爵が鉄道を毛嫌いしれいるからである。
スノウ
「それにも、城塞都市に向かえって、扱いが完全に戦闘列車だよね・・・はぁ・・・」
旅客用の列車とは思えない扱いに、ため息をつくスノウ。
パーツ交換により、戦闘列車並みの性能に強化されたとはいえ、余りにも酷い扱いである。
フィロ
「気にしたら負けだぞ♪」
スノウ
「なんか、リアンさんのノリが移ちゃってるよ?」
フィロ
「軽~いノリは大事だぞ♪」
スノウ
「さいですか・・・はぁ・・・」
スノウは、特大のため息をつくと、再び食材の積み込みを再開する。
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ダーク元帥
「おのれぇぇぇ・・・フォマァァァァ!!」
ローザ中将
「マアオチツケ、痛元帥閣下」
その頃、ルイーネフリーレン局地ターミナルステーションの待避線に停車中の軽戦闘列車ヴェファリアⅡの司令車内では、フォマー駅長からの通信を受け取ったダーク元帥が怒り狂い、ローザ中将がそれをなだめ?ていた。
----数分前----
フォマー駅長
「・・・というわけで、城塞都市ウロに邪神様が向かわれる。」
ダーク元帥
「なぜ止めなかったのですか?この状況では作戦に影響がでる・・・それくらい分かりませんか?」
フォマー駅長
「分かりませんね、一介の駅長ごときに邪神様の行動を妨げられるとでも?」
ダーク元帥
「ぬけぬけと・・・我々の侵攻を妨害しようとする意図が見え見えですよ。」
フォマー駅長
「なに、防衛局に任せてウェストハイトに死の大地を作るより、邪神様にお任せした方が良いと思ったまで・・・それとも元帥閣下は邪神様のお力をお疑いなのですかね?」
ダーク元帥
「その様な事はあるわけ・・・」
フォマー駅長
「では、邪神様が直々に解決成されると仰っておられる以上、この件については全て邪神様にお任せするという認識で宜しいですね?」
ダーク元帥
「ぐっ・・・」
フォマー駅長
「あと・・・邪神様のお邪魔になるそうなので、護衛は要らないそうです。」
ダーク元帥
「(ビキビキ)」
フォマー駅長
「それと、邪神様のご命令により、城塞都市ウロまでの輸送は運行監理局で管理いたしますので口出しせぬようお願い申し上げます。それでは・・・(プツン)」
通信が終わるや、司令車にダーク元帥の叫び声が響いた。
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そして現在に至る。
ダーク元帥
「ゼェゼェ・・・まぁ良いでしょう・・・しかしフォマー駅長・・・この屈辱は忘れませんよ・・・」
ひとしきり暴れた後、絞り出すような声でダーク元帥は呪いの様に呟く。
今回は流石のローザ中将もからかわなかった・・・
ダーク元帥
「フォマー駅長・・・次は貴方にこの屈辱を味あわせてあげますよ・・・ククククク・・・アハハハハハハ・・・」
ダーク元帥の放つどす黒いオーラは、司令車内を凍り付かせていた・・・
…To be continued
ダーク元帥とフォマー駅長は犬猿の関係になりそうですね。
あと、キハ8500系気動車が大幅に性能アップです。
その化物スペックは追々説明していきます。