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第20話「キハ8500の里帰り」

[第512ヴァルハイト]


ヴァルハイトは第1ヴァルハイトと呼ばれる根幹世界から時間と共に枝分かれして生まれた無数の並行世界が折り重なってその形を形勢する世界である。当然第1世界の歩んだ長い歴史の中で発生した無数のIFにより生まれた第2以降の世界は第1世界歴史から大きく外れる事は無い。

そしてこの世界は、何を隠そう、我々が住んでる世界なのである。


第512ヴァルハイトは512番目に分岐し生まれた世界で、現在Snow expressはその日本という国の中にある新名古屋

局地ターミナルステーションに向かっている。


リアン

「もうすぐ新名古屋局地ターミナルステーション入口の亜空間ゲートを通過する、軌間は1435mmの標準軌だからゲージ調整間違えるなよ。」


到着駅の軌道が標準軌であることを注意喚起するリアンだが、それには訳がある。

新名古屋局地ターミナルステーションの正体は名鉄名古屋駅と近鉄名古屋駅がドッキングして生まれた相互乗り入れの連絡駅である。


しかし、他の並行世界の名鉄は軌間1067mmの狭軌であるのだが、この世界の名鉄は近畿日本鉄道(近鉄)との相互乗り入れのため、全ての路線を標準軌に改軌するという大事業を成し遂げているのである。


そしてこの世界では、近鉄との相互乗り入れを実現した名鉄がJR東海を圧倒し、更に東京までの延伸を果たし、近鉄とのタッグにより東海道新幹線を窮地に立たせていたりする。

当然この名鉄と近鉄の快進撃の裏にはシュヴァルツァークロイツの資金援助等のバックアップがあり、その代償として、新名古屋駅はシュヴァルツァークロイツの局地ターミナルステーションとして機能しているのである。


名鉄側の犬山、新岐阜方面に進入したSnow expressは名鉄名物のミュージックホーン(幽霊ホーン)を奏でながらホームを通過し、杷島分岐点の急カーブをスラッジ音を響かせながら駆け抜け須ヶ口駅に隣接する新川検車区に入り、深夜出発の送迎運行の準備をする。


スノウ

「何でだろ・・・何だか懐かしい気が・・・」


リアン

「だろうな・・・並行世界とはいえお前の家みたいなもんだからな・・・」


そりゃそうだ、スノウの搭載されているキハ8500系気動車は元々名鉄の車輌であり、そしてこの新川検車区はそのキハ8500系気動車の点検整備を行っていた検車区である。


整備員

「おかえりキハ8500・・・元気そうで何より。」


スノウ

「この世界ではもうキハ8500は廃車に?


Snow expressの増結車輌であるキハネフ25の床下機器パーツを整備する整備員が漏らした言葉に、疑問を抱いたスノウが訪ねる。


整備員

「ああ、あれは酷い事故でね・・・高山線の土砂崩れに巻き込まれてね・・・車体は完全にスクラップ、全部の車輌の使えるパーツをかき集めてもこの1輌を助けるのがやっとだった・・・」


整備員はそういうと、キハネフ25の床下機器を優しく撫でる。


整備員

「こまめに洗って貰えてるし、整備も行き届いている・・・関心関心・・・」


スノウ

「僕が毎日手洗い洗車してるし、リアンさんも付きっきりで整備してるから当然です!!」


嬉しそうに車輌の状態を誉める整備員に対し、スノウは胸を張って当然だと答えた。

それをみて、満足そうにうなずいた整備員は、再び点検作業に戻る。


リアン

「マジかよ・・・奴等の情報網は驚異だな・・・」


驚愕するリアンの目線の先には、廃車になったはずのキハ8500が名古屋駅に現れたという一報を聞き付けた鉄道オタク達が須ヶ口駅ホームに集結していた。

ホームの端では撮り鉄達が場所取り合戦の罵声大会を展開し、乗り鉄達達は運行予定を聞き出そうと駅員に詰め寄り、葬式鉄達はキハ8500の帰還を大声で祝福していた・・・

一般の客からすれば迷惑極まりない状況である。

その後、給油(液体燃料マナル)のため、甚目寺駅に回送する際も大騒ぎになり、つかの間のキハ8500の里帰り?は騒がしいものとなった。

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