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第19話「侵攻開始」

[ルイーネフリーレン機関区]


ダヒド機関区長

「間もなく、通商連合はシュバルツァークロイツに攻撃を仕掛けるはずだ。」


ダーク元帥

「ご苦労様です。そうなれば遠慮なく武力介入できますね。」


ダヒド機関区長

「後は、それに釣られてハイランド王国が動いてくれりゃ・・・」


ダーク元帥

「私情で動くのは控えて下さい。最もハイランド王国の頭の堅い王族、貴族は頭痛の種、この際潰すのも悪い気はしませんがね・・・」


機関区長室では、ダヒド機関区長とダーク元帥(第3列車総隊司令官)が今後の戦略について話し合っていた。

そこへ・・・


ローザ中将

「痛元帥閣下、紅茶をお持ちいたしました。よーく味わって飲みやがれ。」


相変わらず、敬っているのか貶しているのか良くわからない態度でローザ中将が紅茶を持ってきた。


ダーク元帥

「ありがとうローザさん。」


ダヒド機関区長

「・・・さ・・・流石元帥閣下の副官、気の利く御方だ・・・」


満面の笑みで紅茶を受け取るダーク元帥に対し、どう返して良いのか分からず、顔をひきつらせてとりあえずローザ中将を誉めちぎっておけ的なダヒド機関区長、正に奇人と常人の違いが諸に出た反応であった。


更に、その紅茶を口に運んだ瞬間に、二人は全く別の反応をした。

ダヒド機関区長は「これは旨い!!」といった表情となり、ダーク元帥は飲んだ瞬間思わずその紅茶を吹き出した。

理由は簡単で、ダヒド機関区長の紅茶は最適な温度で淹れられた物で、ダーク元帥の紅茶は熱湯で淹れられた物だからだ。


ダーク元帥

「ロ・・・ローザさん・・・これ熱すぎませんか?」


当然、ダヒド機関区長は首を傾げる。

まぁ当然だろう、彼に淹れられた紅茶は最適な温度で淹れられた完璧な物であったのだから・・・


ローザ中将

「こんな完璧な紅茶に文句垂れやがるのか、この変態仮面野郎!!」


ダーク元帥

「ね・・・猫舌でして・・・」


ローザ中将

「それなら仕方ない、さすが痛元帥閣下♪」


何がさすがなのか意味がわからないが、苦虫を噛み潰したような表情で熱湯で淹れられた紅茶を飲むダーク元帥、またもやどう返して良いのか分からずひきつった表情のダヒド機関区長とまたもや微妙な空気が部屋を支配してしまった。

・・・ローザ中将の思惑通りに・・・




[マジーアルノステーション]


駅構内放送

「本日はシュバルツァークロイツの列車をご利用頂きありがとうございます。本日の運行予定の変更をご連絡いたします。本日21時丁度出発予定のルイーネフリーレン行きSnow expressは車輌の都合によりWideview Зимаによる振替運行となります。これに伴いまして、食堂車、寝台車が連結されませんのでご注意下さい。なおSnow expressの寝台券をお持ちのお客様は、発券窓口にて座席指定券との引き換えと差額料金の払い戻しを行っておりますのでご利用ください。」


駅構内に、運行列車の変更を告げる放送が響き渡る。


スノウ

「突然のダイヤ変更なんて珍しいですね・・・何かあったのかな?」


Wideview Зимаの車輌との連結を外しながら、スノウは近くに居たギムに訪ねる。


ギム

「フォマー駅長から直接の指令である点、あと嘆願書が指令書と一緒に転送されて来た点、恐らくはルイーネフリーレンで何かあったのだろうな。そしてスノウがこれから迎えに行く二人にお力添えを御願いするといったところじゃないか?」


ギムも転送された指令書を読んだだけで、詳しい状況は分からないため、臆測で答える。


緊急指令の内容は、Snow expressは21時発の夜行列車としての運行を中止し、代わりに第512ヴァルハイトから第843ヴァルハイトに移動するVIP2名を送迎し、ついでに駅長からの嘆願書を渡すというものであった。

ちなみに、送迎する2名のVIPはラズロット=ファルとリズロット=ファルという名前のシュバルツァークロイツの創設に深く関わった双子の邪神で、この鉄道会社の象徴的な存在である。

そして、この二人を送迎する列車は御召し列車と呼ばれる。

つまり、Snow expressは臨時の御召し列車として運行する事になったのである。



スノウ

「御召し列車かぁ・・・緊張するなぁ・・・はい、連結外れたよ♪」


ジマー嬢

「代走する私へのお詫びの言葉は無いのかしらね?」


折角の休憩時間をスノウの代走で潰されたジマー嬢は、スノウの合図に対し、嫌味いっぱいの返事を返しながら車輌を後退させる。


スノウ

「あうぅぅ・・・そこまで言わなくても・・・」


ギム

「まぁ、気にするな、ジマー嬢の機嫌が悪いのは君との並結運転が出来なくなったのが原因なんだしな・・・何だかんだ言ってもジマー嬢は君の事g・・・ぶべらっ」


ジマー嬢のキツイ言葉に思いっきり凹むスノウをなぐさめるギムだったが、ジマー嬢の機嫌が悪い原因について話し始めた瞬間、彼の顔面に輪止(チョック)が直撃した。


輪止(チョック)を投げつけたのは当然ジマー嬢で、何故か顔が真っ赤になっていた。


ギム

「ジマー嬢・・・流石にこれを投げ付けるのは危n・・・」


ジマー嬢

「うるさい!!このインテリオーガー!!!!」


輪止(チョック)を投げつけた事を注意するギムだったが、ジマー嬢は真っ赤な顔で彼を怒鳴り付け何処かにいってしまった。


スノウ

「だ・・・大丈夫ですか?」


ギム

「大丈夫だ、問題無い。いつもの事だし、オーガーは身体が頑丈だからな。」


心配するスノウに対し、何処かで聞いたような台詞と共に、身体の頑丈さをアピールするギム。

確かに、彼の肉体は服の上からでも分かるほどの筋肉ダルマである。

しかし、彼はこれでも同族の中では、モヤシッ子の頭脳派なのである。

肉体派の奴等はどれだけムキムキマッチョなのだろうか・・・


それはさておき、Wideview Зимаとの並結を解除したSnow expressは直、第512ヴァルハイトに向かい直ぐに出発した。



[ルイーネフリーレン市街地]


ルイーネフリーレン市街地は混乱の極みにあった。

市街の上空をガンシップタイプの武装ヘリコプターが飛び回り、更に各地区では通商連合とシュバルツァークロイツ防衛局第3列車総隊との散発的な戦闘が発生していた。

しかし、それは通商連合側の兵士が斬り込みを仕掛けた通商連合の歩兵隊が機関銃の劣化ウラン弾で蜂の巣にされたり、突撃した通商連合の騎兵隊が戦車や装甲車のキャタピラで牽き殺されたり、逃げ惑う兵士の残党が武装ヘリコプターのサーチアンドデストロイ活動の餌食になったりと、悲惨と表現する他ない一方的な殺戮が続いていた。

まぁ、通商連合側の装備は中世ヨーロッパのレベルでしかないので当然の結果である。


ちなみに、防衛局が使用する実弾兵器の銃弾や砲弾は劣化ウラン弾が良く使用される。

理由は、シュバルツァークロイツは原子力発電等で発生する放射性廃棄物を格安で引き取り処分するサービスを展開しており、劣化ウランは銃弾や砲弾としてさほど重要では無い地域の戦闘でばら撒き処分し、他の高濃度を含む放射性廃棄物に関しては、シュバルツァークロイツに反発する世界で侵略する価値の低い世界に散布し反乱の芽を摘むための戦略兵器として使用し処分する他、汚染により生物が一切住めなくなった世界に投棄する等の外道極まりない方法で引き取った廃棄物を処分しているからである。


比較的良心的な鉄道事業とは正反対で、この鉄道会社が悪の組織である事を再認識させる程の外道っぷりである。


アルトゥール公爵

「なぜだ!!ダヒドの報告では我々の力で十分に渡り合えるはず、なぜ一方的に押されているのだ!!」


通商連合の幹部1

「報告にあった未知の兵器にてこづっているようですが・・・一時的なものでしょう。数は我々の方が圧倒的に多いのですから・・・」


アルトゥール公爵

「当然だ!!戦とは数で勝敗が決まるものだからな。」


各地区で押されている現状に驚愕しながらも、数の面で圧倒的に有利であると呑気に考えている通商連合側であったが、当然兵器や武器の絶望的な性能の差を埋められる訳もなく、数時間の攻防でルイーネフリーレンを放棄し、アルトゥール公爵はハイランド王国の自分の領地まで壊滅状態の通商連合軍と共に逃げ帰る事となる。


その後、ルイーネフリーレン全体を占拠したシュバルツァークロイツ防衛局第3列車総隊は、ここを拠点に戦略路線と呼ばれる網の目状に張り巡らされた鉄道輸送網を構築しながらゆっくりとハイランド王国を目指し圧倒的な物量と近代兵器にものをいわせ侵攻していくのだった。




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