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第13話「意思を持った存在」

[魔法都市マジーアルノ]


フィロのトラベラーズパスを発行し終えたリアン、フィロ、スノウ、ジマーの4人は、フィロを造った魔術師を探し街の中を捜索していた。

魔法都市と言うだけあり、魔導図書館を出てからも、中世の街並みを魔法使いの格好をした人々や怪しげな魔法生物が牽く馬車が行き交うファンタジー全開の世界が広がっていた。


スノウ

「何処か見覚えのある気色とかありませんか?」


フィロ

「家の前に露店街があったぞ♪」


スノウがフィロに手を引かれ先を歩き、リアンとジマー嬢が少し離れた後ろを歩いている。


ジマー嬢

「ふと思ったのだけれど・・・」


無言で歩いていたジマー嬢が、唐突にリアンに問いかけた。


ジマー嬢

「なぜ、貴方はあの子を止めなかったのかしら?」


リアン

「なぜ止める必要がある?」


ジマー嬢の問いに、リアンは不敵な笑みでこたえる。


ジマー嬢

「だって、危険だって解ってるじゃない!それなら、無理矢理でも止めるべきじゃない!!」


リアンの答えを聞いて、納得できない様子のジマー嬢だったが、リアンはそれを無視して歩みを進める。


ジマー嬢

「ちょっと聞いてるの?この年増!!」


リアン

「年増・・・か・・・所でお前はフィロを一人の意思を持った存在としてみているのか?」


不意に立ち止まったリアンは、ジマー嬢に静かに問い返した。

よく見ると、眉間にシワが寄り、凄い形相になっている。

明らかに怒りを抑えている状態で、スノウなら間違いなくぶち殺されていただろう。

まぁ、"年増"はどう考えても超ド級の地雷であろう。


ジマー嬢

「見てるに決まってるじゃない!!当たり前でしょ!!」


そんなリアンの状態を気にする事なくジマー嬢はまくし立てるように答える。


リアン

「どうかな?私には可愛いペットを心配する飼い主にしか見えないがね・・・フィロは自分の意思で創造者の魔術師に会おうとしている・・・それを無視して危険だからという理由で無理矢理止める、そこにあいつの意思はあるのか?」


ジマー嬢

「そ・・・それは・・・」


リアン

「フィロは意思を持った存在だ、だからこそあいつの意思は尊重してやりたい、その上で危険があるなら守ってやりゃ良いさ。」


反論できずに、うつむいてしまうジマー嬢に、拳を突きだし笑いかけるリアン。

それに少し納得できたのか、うなずくジマー嬢を確認して、リアンは満足そうに微笑みながらポケットから煙草を取りだし口にくわえる。


しかし、それを素早く関知したスノウが駆け寄り、軽快にジャンプしその煙草を奪い取る。


リアン

「あっ!スノウてめぇ!!」


スノウ

「歩き煙草はダメですよぉ~♪」


リアン

「返せ!こらぁ!!」


スノウ

「絶対吸うから返しません♪」


トテトテと逃げ回るスノウを、鬼の様な形相で追いかけるリアン。

まぁ、スノウが奪い取った煙草が最後の一本だったので無理もないが・・・


フィロ

「追いかけっこか?フィロもやるぞぉ♪」


そして、スノウとリアンの追いかけっこにフィロが加わり、やはり収拾がつかない状態になってしまった。


ジマー嬢

「意思を持った生物・・・かぁ・・・」


その様子を見て、苦笑いしながらボツリと呟くジマー嬢・・・

彼女の中での、リアンの存在位置が少し変わったようである。



[ルイーネフリーレン局地ターミナルステーション]


駅職員

「駅長、総帥からお電話が・・・」


フォマー駅長

「何だと!直ぐに回せ!!」


駅長室で報告を受けたフォマー駅長は、慌ただしく自分の電話の受話器を持ち上げ会話を始める。


フォマー駅長

「お待たせ致しました、ルイーネフリーレン駅長のフォマーです。総帥直々のお電話とは・・・」


総帥

「いやいや、申し訳ないね驚かせてしまって・・・なに大した事じゃ無くてね・・・いつもの邪神様二人のワガママさ・・・」


受話器から聞こえる声は、幼い少年のように聞こえるが、電話の主はこの巨大鉄道網を支配する暗黒武装鉄道結社シュバルツァークロイツの総帥であり、本来こんな地方の駅の駅長に掛かってくる事の無い相手だ。


ちなみに、総帥の言う邪神様二人と言うのは、この鉄道結社の創設に様々な形で関与し貢献した謎解き二人の人物である。

双子であり、邪神を名乗っている事以外は種族、年齢等全てが謎に包まれた存在である。


フォマー駅長

「邪神様の・・・ワガママ・・・ですか・・・」


総帥

「うん♪第843ヴァルハイトのゾディアックドームを見たいと駄々をこねられてね・・・今丁度専用列車が改装中で急遽そちらから列車を回して欲しいんだ。」


どうやら、邪神の二人が第843ヴァルハイトに行きたいと駄々をこねて困っているようだ。

本来なら、重武装、重装甲の列車に豪華な内装を施した専用の列車を使用するのだが、現在その列車が改装中で使用出来ないため、こちらの列車を回して欲しと言うことのようだ。


因みに、第843ヴァルハイトと言うのは、843番目に発見された私達の住む世界にそっくりの並行世界のことである。

そう、類似する世界が存在する世界には発見された順番に番号がふられているのである。


それはともかくとして、邪神様の輸送となれば、下手な車輌を出すわけにも行かない。

居住性が善くて・・・内装もそれなりに・・・速度があって・・・


そう考えると、今マジーアルノに出ているSnow expressが最も適任だろうとフォマー駅長は考えた。


Snow expressなら2等個室寝台車(キロネ8502)と食堂車の(キシニ8566)が編成に入っていて、居住性の面でも問題ない。

また、走行性能も全く問題ない。


フォマー駅長

「Snow expressの運行予定は?」


駅職員

「はい、明日の朝一番でマジーアルノを出発し、昼前までにはここに・・・」


報告を受けたフォマー駅長は、受話器を握り直し「明日の昼以降なら回送できます。」と答えた。


今更ながらだが、局地路線での列車の運行管理はフォマー駅長のような局地ターミナルステーションの駅長が行う。

これに伴い、回遊特急のSnow expressの運行管理はフォマー駅長の管轄となっている。


よって、フォマー駅長の指示でSnow expressは自由に動かせるのである。

今回は、ルイーネフリーレン所属のまま、他路線への乗り入れいう形になるだろう。


駅職員

「一段落した後で良かったですね・・・」


フォマー駅長

「そうでも無いです、取り合えず通商連合が次の手を打って来るまでに終わらせてしまいましょう。」


気楽な職員の表情とは裏腹に、フォマー駅長の顔は険しいものだった。




…To be continued

取り合えず次の伏線を張っときます。



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