第8話「ラビの悪戯計画2」
[ルイーネフリーレン局地ターミナルステーション]
ラビ
「こないな感じでどうやろか?」
渾身の(悪戯)計画を発表し、無駄に腹が立つポーズ(ツッコミ待ち)を決めるラビ・・・
ジマー嬢
「・・・・・・却下♪」
ラビ
「何でやねん!こないな完璧な計画はオマヘンで?」
問答無用でジマー嬢に渾身の(悪戯)計画を却下されたラビは、更に腹が立つポーズ(ツッコミ待ち)を決めつつ抗議する。
ラビ
「・・・・・・」
ジマー嬢
「悪いけど、ツッコミ入れる気はないから。」
ジマー嬢の無情な一言で、ラビは崩れ落ち、見事な「orz」のポーズになった。
それはさておき、ラビの渾身の(悪戯)計画とはどもようなモノだったのか説明していこう。
ラビの悪戯計画――――――――――
1 相手を怒らせる
Super rabbiがバリケード直前まで前進、警笛とラビの野次で、バリケードに張り付いている機関区労働組合員を怒らせ、冷静な判
断能力を奪う。
2 相手を引きずりだす
Super rabbiが警笛と野次を継続しつつ後退する。
それに釣られ、機関区労働組合員は怒りに任せ、バリケードの車輌を使用し追いかけて来るので、渡り線区間まで誘導する。
3 封じ込め
渡り線区間でスノウとジマー嬢がポイント操作でバリケード車輌を分散しつつチョック(輪止め)で動きを封じる。
4 確保
後は、騒ぎを聞きつけ駆け付けた駅警備兵がに鎮圧を任せて高見の見物。
―――――――――――――――――
スノウ
「えーと、僕達・・・かなり危険なポジションじゃ・・・(汗)」
スノウが、自分達がかなり危険な状況に陥る事に不安感を募らせているが、ラビは・・・
「アホかいな、危険やなかったら意味が無いでっしゃろー。」・・・と言い切る。
スノウ
「な・・・何でですかぁ!!」
当然、泣き顔になるスノウだが・・・
ラビ
「吊り橋効果や、危険な状況で生まれる恋・・・かぁ~最高やないかぁ!!」
熱意のこもった説明をはじめるラビ。
ラビ
「わての見たところ、スノウはんと嬢ちゃんはお似合いのカップルちゅうワケや。ここはひとつ、わてが一肌脱がなあかんやろ。」
スノウ
「意味が解りません!!」
ラビ
「鈍いのぉ・・・わての目利きがおぅとったら、嬢ちゃんはまんz・・・ぶべらっ!!!」
そこまで話した所で、ラビの説明は強制終了された。
瞬間移動のごとく高速移動したジマー嬢の綺麗な後ろ回し蹴りがラビの側頭部に突き刺さる事によって・・・
ジマー嬢
「それ以上言ったらぶっ殺すわよ!!!」
転倒したラビの顔面を踏みつけながらジマー嬢は、肩で息をしている。
しかも顔を真っ赤にしながら・・・
ジマー嬢
「そないに恥ずかしがらなくてもええーやんけ、そない格好したら、見事な逆さ富士が丸見えになってまうや・・・はべっぶらっほべっ・・・」
ジマー嬢
「イヤァァァ!!この変態!!痴漢!!死んじゃえこの!この!!この!!!」
スノウ
「ダメですジマーさん!!ラビさんがホントに死んじゃいます!!!」
ジマー嬢
「離してスノウ!!そいつ殺せない!!」
ラビのセクハラでリミットブレイクしたジマー嬢が、顔を真っ赤にしながらラビの顔を踏みつけまくり、それをスノウが必死に止める。
どうしてこうなった?と言いたくなるこの状況はしばらく続くのだった。
[ルイーネフリーレン局地ターミナルステーションバリケード]
機関区労働組合員
「自動化列車運行反対!!」
機関区労働組合員
「輸送事業の独占の断固阻止せよ!!」
ステーションから通常軌道線に出る線路は4線の複々線になっていて、そこに20編成近くの蒸気機関車牽引に木造客車が停車しバリケードを形成している。
その客車の上には、チェインメイル(鎖を編み込んで造った鎧)やプレートメイル(鉄板を張り合わせて造った鎧)を着込んだ機関区労働組合員が抗議活動を続けている。
その手には、メイス(突起のついた鉄製の棍棒)、チェインフレイル(先に鎖が付いた棍棒)等の鈍器や、クレインクロスボウ(巻き上げ機構の付いたクロスボウ)等の飛び道具が握られ、危険な武装集団と化している。
その近くにある駅舎の窓には、それをを遠巻きに眺める人影があった。
リアン
「ダメだなこりゃ・・・」
ギム
「だが、このまま放置する訳にもいかんだろう。」
外の惨状を眺め、リアンとギムが溜め息をもらす。
少女
「大丈夫・・・もう手は打った・・・危険だけど・・・」
二人に赤線で印の入った時刻表を手渡した少女の名前はシエル=コンフィアンス。
キハ283系気動車Super cielに搭載されているコンフィアンス(信頼)というシリーズのTCAIのインターフェイスデバイスである。
その外見は、白粉を塗ったように真っ白な肌にスカイブルーのショートヘアーの髪と髪と同じスカイブルーの瞳で、同じくスカイブルー色の制服をきている。
制服は寒冷地仕様で暖かそうなもこもこがついていて、これまた暖かそうな耳当てに似せたイヤーユニットにマッチしている。
ちなみに、コンフィアンスシリーズは、信頼という名前が示している通り、システムが何重にもバックアップされ、どのような障害が発生しても機能が停止することは無く、専属の技術員を乗せる必要の無いシリーズである。
更に、システムの意思決定は独立した複数の思考システムで並行して行われ、その結果を更に比較修正し決定されるというより完璧な結果を求めた設計となっているため、他のTCAIより処理速度が遅いという欠点をもっている。
しかしそれは、処理速度を犠牲にしてでも完璧を求めるという他のシステムとは異なった設計思想が故である。
そのせいか、他のシステムで見られるインターフェイスデバイスの感情表現が非常に乏しい。
ギム
「ありがとう。」
シエル
「・・・・・・・(こくり)」
時刻表を受け取ったギムが彼女にお礼を言うが、彼女は表情ひとつかえず、会釈を返すだけだった。
リアン
「おいおい、長距離貨物が通過って・・・この状態で何考えてるんだ・・・」
リアンが呆れるのも無理は無い。
時刻表には、亜空間軌道線から来た長距離貨物列車が、ルイーネフリーレンを通過して魔獣の森線の終着駅、マジーアルノまで直行する事になっている。
つまり、バリケードに衝突して大事故となるのである。
シエル
「大丈夫・・・その列車、アイアンベルドからの長距離貨物・・・だから事故にならない・・・」
リアン
「あのキチガイ管区の列車かよ・・・」
ギム
「機関区労働組合員に同情する・・・」
シエルの説明で、リアンとギムが納得した。
彼女が言ったアイアンベルド管区を運行する車輌は、EMD SD 70 MAC 、EMD SD 90 MAC、ES44ACといった重量級のモンスター機関車が数キロに渡る長大編成を牽引するスタイルで、トレーラーの延長線上の感覚で運行されている。
当然通常軌道線では列車同士以外の衝突事故が日常的に発生するという恐怖エリアである。
当然、事故が日常化したため機関車は事故を前提に改造され、前面に装甲板のように頑丈なダンパーが装備され線路を塞ぐ障害物を粉砕しながら運行できるようになっている。
そう、そこから来る列車は、この程度のバリケードとの衝突など事故とは思わないクレイジーな奴等なのだ。
おそらく、列車はバリケードに使用されている木造客車を木屑に、線路を塞ぐ小型の蒸気機関車を鉄屑に変換しノンストップで通過していくことだろう・・・そして残るのは大惨事と廃材の山・・・
死人が出ない事を祈る・・・・・・
リアン
「おい、ホーム全部埋ってるぞ!!貨物列車が通るのは何番線だ?」
リアンが通常軌道線用のホームが全て待機列車で埋ている事に気がつき、ギムにたずねる。
自分の時刻表を見れば良いのだが、それに気付かないほど焦っているようだ。
ギム
「この時刻表には4番線と・・・」
リアン
「な・・・スノウ!!!」
時刻表を確認するギムの言葉を聞いて顔面蒼白になったリアンが部屋を飛び出して行った・・・何故なら、貨物列車が通過する4番線に停車している列車はSnow express、そう彼女が専属で整備を行っている列車だったからだ。
…To be continued
今回はキハ283系気動車の登場です。
この列車けっこう乗る機会多いのですよ♪
乗った事の無い人は乗ってみるのをお薦めするよ。
ちなみに、札幌―釧路間のスーパーおおぞらです。
加速とか曲線の通過速度とか本気でバケモノです。ぜひ体験あれ。
作中の列車名はSuper Cielです。
シエルとは仏語で空、大空です。
[編成]
(キハ283-12][キハ282-111][キロ282-5][キハ282-1][キハ282-105][キハ283-11)(キハ282-2006][キハ282-8][キハ283-20)[キハ283-8)
ミクシーで、特急「あじあ」を出して欲しいとの要望を受けました。
おそらく登場には問題は無いと思いますのでしばしお待ちを。
(mixiでのアカウントはここと同じく「双子の邪神様」です。キャラ達がどつき漫才やってますので興味の湧いた奇特な方は是非。)