058 婚約披露式
マリィ、エリス、アンヌ
みんなおめでとう!
晴れた空――
モデルテ市の2月10日は、冬とは言え気温は20度にはいかないものの、暖かな陽気に包まれた。
午後一時となった。
私が――
祭壇を模したステージ中央に進み出る。
教会との軋轢を起こさないこと、婚約者女性より目立たないこと、だけど祭礼の雰囲気を醸し出すことを考えてイメージした服装をあつらえた。
クララ 「ただいまより婚約披露式を挙行いたします。
皆様、どうかご起立なさって、テラス前方、中庭にご注目ください」
ステージ奥には、三つの丸テーブルに、それぞれルーカス・エリスの両親、クロード・マリィの両親、テオの両親とヴィクトールさん・ソフィおかあさん(死別した母親ニナさんの代理として)が既に着席している。
中庭に、控え室からクロードとマリィが現れた。
前世と異なり、父親のエスコートは不要なので、最初から二人でバージンロードを歩んでもらう。
クロードはディレクタースーツ風。モーニング型の服を用意できなかったため前世の準礼服に合わせた。
マリィは打ち合わせ通り、フレンチスリーブにプリンセスラインのウェディングドレス。ベールはミディアムのフラワーベール。
全体が真っ白の衣装のため、ブーケは緑色を強調した。
二人は腕を組み、一歩一歩テラスにさしかかった。
クロードは前を向き、口に笑みを浮かべている。
マリィは登場前からベールダウンの状態とした。
やや俯いているため表情は見えない。
女子達
「「「ふぉぉぉぉぉ~~~」」」
見たこともないウェディングドレスの清らかさ、美しさ、豪華さに声が出ない。
二人は私の前に立ち止まった。
クララ 「皆様どうぞご着席ください」
私は声に力を入れる。
「クロードさん、マリィさん、本日は婚約披露式を迎えるに当たり、誠におめでとうございます。
………
このよき日に当たり、私からは、いにしえより伝わる古書より、お二人にめでたき言葉をお伝え申し上げます………
………
二人は一人よりも良い。
なぜなら、その働きによって良い報いを受けるからです。
………
もし二人のうちのどちらかが倒れても、もう一人が助け起こすことができます。
………
また、二人が一緒に横たわると、 互いを温め合うことができます。
しかし、一人でどうやって暖をとることができるでしょうか。
………
一人では負けても、二人なら身を守ることができます。
撚った紐はすぐには切れません。」
クロードに向き合う。
「クロードよ あなたはここにいるマリィを
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
妻として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい」
次はマリィに。
「マリィよ あなたはここにいるクロードを
病める時も 健やかなる時も
富める時も 貧しき時も
夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい」
ここで、ミレーヌ先生がマリィの脇に寄り添い、ブーケとグローブを受け取る。
私 「新郎新婦は向き合ってください。
お互いの愛を形に残し、ここに指輪を交換します」
向き合うクロードとマリィ
私は事前に用意した指輪を二人の側に差し出す。
クロードが指輪を受け取ってマリィの指につける。
マリィの石は翡翠だ。
私 「マリィの指輪に込められた翡翠には、もめ事を回避し、人間関係を良好に保つ力があるとされています」
来場者へ説明する。
次はマリィからクロードへ
私 「クロードの指輪に込められたジャスパーには、感情を制御し、前向きな思考を手に入れる力があるとされています」
「クロードよ マリィのベールを上げてください」
クロード
ごくっ
クロードの緊張が高まる。
クロードがマリィのベールを上げる。
マリィの肩が、小さく震えた。
クロードがその肩を優しく包み、引き寄せた。
クロードが顔を傾け、マリィが目を閉じたまま、ややおとがいを上げると………
二人の唇と唇が自然と触れ合った
「「「「「「「おおぉ………………………」」」」」」」
私 「ここに二人の婚約は成立しました!」
私が二人の手を取る
「二人の婚約に幸いあれ!ブレッシング【BLESSING】!」
私の手から白くキラキラと輝くマナがあふれ、二人の手に流れる。
土属性のクロードの薬指に届くと、マナは金色に色を変えた。
風属性のマリィの薬指に届いたマナは緑色に輝いた。
金色と緑色のマナが、二人からあふれ出した。
二色に光るマナは、やがて混じり合い、会場全体に降り注いだ…………
――誰も、こんな光は見たことがなかった。
会場は――沈黙に包まれていた…………
女子達の目はハート型だ…………
ちらっ
もういいかな?
「お二人には婚約の証として、婚約証明書にサインしていただきます」
クロード、マリィ、続いて私が証人としてサインを行った。
クララ 「お二人はご両親の席へお向かいください」
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クララ 「皆様、ご起立なさって、テラス前方、中庭に再びご注目ください」
中庭に、控え室からルーカスとエリスが立っている。
ルーカスもディレクタースーツ風だ。
エリスは、ノースリーブにプリンセスラインの薄青のウェディングドレス。ベールはミディアムにサテンで縁飾り(パイピング)をしたベール。
ドレスが青のため、ブーケは白色を強調した。
女子達
「「「きれい………………」」」
もう、みんな夢中だよ。
二人が私の前で立ち止まったところで列席者には着席してもらう。
私は声に力を入れる。
「ルーカスさん、エリスさん、本日は婚約披露式を迎えるに当たり、誠におめでとうございます」
………
………
………
………
「ルーカスよ あなたはここにいるエリスを………
妻として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい」
「エリスよ あなたはここにいるルーカスを………
夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい」
「エリスの指輪に込められたアクアマリンには、浄化によって希望をもたらす力があるとされています」
「ルーカスの指輪に込められたペリドットには、負の感情を浄化し、精神的な成長も促す力があるとされています」
「ルーカスよ エリスのベールを上げてください」
ルーカスは千両役者のようだ。
ルーカスがエリスのヴェールを上げ、その肩を優しく包み、引き寄せた。
ルーカスとエリスは自然と近づき、唇と唇を寄せ合った。
……む、きみたち、初めてじゃないね!
おねーさんは一本取られたよ!
「ここに二人の婚約は成立しました!」
「二人の婚約に幸いあれ!ブレッシング【BLESSING】!」
私の手から白くキラキラと輝くマナがあふれ、二人の手に流れる。
風属性のルーカスの薬指に届くとマナは緑色に色を変え、水属性のエリスでは青色に輝いた。
緑と青のマナは二人からあふれ出ると、ダンスを踊るかのように戯れあい、会場全体に広がっていった…………
二人の性格が出ているような?
二度目のマナの演出?に、会場はどよめいている…………
「……あの子は、何をした?」
「ブレッシングとは聞かない魔法だが?」
「このようなマナの発現は見たこともないぞ?」
「マナに色がつくなんてあり得るのかしら?」
女子達の目はハート型のままだ…………
「さすがキラキラ会…………」
「クロエちゃんは何でもありだもんね…………」
「相変わらずすごいね…………」
ルーカス、エリスにも婚約証明書にサインしてもらい、席についてもらった。
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クララ 「皆様、ご起立なさって、中庭に再びご注目ください」
トリはテオとアンヌだ。
テオもディレクタースーツ風だ。
男は添え物だからね!
アンヌは、オフショルダーにプリンセスラインのウェディングドレス。色は基本の白。ベールはロングに花をあしらったフラワーベール。
ブーケは黄色を強調した。
クララ 「アンヌちゃん………………」
私は声に力を入れる。
「テオさん、アンヌさん、本日は婚約披露式を迎えるに当たり、誠におめでとうございます」
………
………
………
………
「テオよ あなたはここにいるアンヌを………
妻として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい!」
「アンヌよ あなたはここにいるテオを………
夫として愛し 敬い 慈しむ事を誓いますか?」
「はい!」
「アンヌの指輪に込められたルビーには、勇気を湧き起こす力があり、怖れを知らずに前に突き進みことができるとされています」
「テオの指輪に込められたアメジストには、癒し効果があるとされております」
「テオよ アンヌのベールを上げてください」
テオの緊張が伝わってくる。
テオはアンヌのベールをぎごちなく上げ、アンヌの肩を手で包んだ。
アンヌに目で問いかける。
アンヌは目を瞑るとやや上を向き、そのまま固まってしまった…………
テオも固まっている!
がんばれテオ!
テオは意を決すると、おそるおそるアンヌに顔を近づけた!
そして、触れるか触れないか分からないような淡いキスをした。
アンヌの閉じた瞼から――
一筋の涙が、静かに流れた…………
「ここに二人の婚約は成立しました!」
「二人の婚約に幸いあれ!ブレッシング【BLESSING】!」
私の手から白くキラキラと輝くマナがあふれ、二人の手に流れる。
私は心から涙を流しているアンヌを祝福した!
水属性のテオは青色の光に包まれ、火属性のアンヌは赤色の光に包まれた。
私の白い光もそのまま二人の光とともに輝く…………
赤、青、白――
三つの光が重なり、
星のように、いつまでも瞬き続けた…………
みんなおめでとう!
順番は前世と違うけど、賛美歌の代わりにお祝いの歌を歌うよ。
私は歌い出した。
♬
名前も知らずに すれ違っていた
違う道を 歩いていた
それでもいつか 同じ場所で
ふたりは出会い 言葉を交わす
この手を結ぶものは何?
それは想い それは絆
この心つなぐものは何?
それはマナ 重なる力
O Holy Household Love,
A Throne Without Thy Blessing
Were Labour Without Rest,
And Cottages Possessing
Thy Blessedness Are Blest.
この結びを
We are connected
We are one
この誓いを
We are not alone
♬
クロエです。
みんなのために心を込めて歌いました。
結びの歌(Song of Bond)を聴いて下さい。
https://youtu.be/V3SjtHurQoY




