057 準備
「クロエです! 婚約披露式頑張ります!」
みんなドレスが素敵なんだよ~
それはそれとして、『アンチマジック宣言』アコギバージョンはこちら。聴いてね!
https://www.youtube.com/watch?v=Bt4YeVcIDTc
時は少し遡り、1月上旬のこと。
2月10日に婚約披露式を決めた関係者は、準備に追われていた。
【ドレス】
「優雅な家」は服飾、縫製品、生地などを中心とした商会だ。
王都の他、他の都市にも支店を構える。
商会頭ジェロームと妻オリヴィアは、長男クロードの婚約者マリィを全面的に支援する体制だ。
場所はヴァロンティンヌ服飾店。
店長さんは大口取引先の商会頭がやってきたため、恐縮しまくっている。
最高のサービスと最速の対応を約束していた。
また、ドレスについては、どの母親も関心が高く、マリィの母シャーリー、エリスの母アリス、ルーカスの母ローズもやってきた。
テオの母親サーラも農家から来た。
おかあさんもやってきた。
おかあさん
(ほら、ニナの代わりね。アンヌちゃんが肩身の狭い思いをしなくていいようにね)
私は関係者にプレゼンをする。
「………
………
………
このように、婚約披露式を特別な思い出にされてはいかがでしょうか」
ノリはブライダルサロンの店員だ。
みんなの目の前には、さちの描いたデザイン画が多数。
●マリィの場合
オリヴィアさん
「マリィはどれが似合うのかしら?
選択肢が多くて迷っちゃうわ」
「はい。
マリィさんは、薄くほっそり、優美なカービーラインも併せ持つフェミニンな骨格です。
胸元は厚みがなくバスト位置も低め。さらにヒップもやや平面的で、横から見ると特に体の薄さが際立ちます。首がほっそり長いのも特徴で、筋肉はめだちません。」
マリィの母シャーリーさん
「まあ、体型をそんなに分析するのね~
マリィ、あなた優美でフェミニンな骨格ですってよ」
「このようなマリィさんには、ボディの華奢さをカバーする「プリンセスライン」がイチ押しです。
ソフトチュールなど空気をたっぷりはらむ素材は、ボリュームいっぱいなのに軽やかで、幸福感に満たされた表情を高めてくれるでしょう」
オリヴィアさん 「とっても素敵ね!」
シャーリーさん 「マリィに似合いそうだわ!」
スリーブデザインは、肩回りが細く小さいので、どんなスリーブデザインもお似合いです。
特に「フレンチスリーブ」は、上半身に華やぎをもたらす優秀デザインです」
マリィは、【プリンセスライン×フレンチスリーブ】になったよ!
マリィも満足みたい。
●エリスの場合
「エリスさんは意外とメリハリのある骨格です。
全体的に程よい筋肉があり、胸やおしりは丸く立体的で、肌の弾力も十分。体のラインを拾いにくい直線的なファッションが似合います。ウエスト位置はやや高め。首の長さと首から肩、胸から腰の距離はやや短め。手足は小さく関節が目立ちません」
エリスの母アリスさん 「そうね~ クロエさんってすごいわね。母親より詳しいわ」
「このようなエリスさんには、Aラインのビスチェタイプが最適です。
上半身はコンパクトに包み込み、ウエストはキュッ。そこから裾までなだらかに広がるスカートが下半身の肉感をカバーしてくれます」
エリス 「待って! そのビスチェタイプはさすがに難しいと思う」
そうか~まあ確かにそうかもね。
「ビスチェで堂々露出するのが一番すっきり見えるけれど、袖にデザイン性が欲しいなら、脇の延長線上に袖がくる「ノースリーブ」か、「長袖」で手首まで覆ってしまうかがおすすめです」
ルーカスの母ローズさん
「ビスチェはちょっと大胆ね。長袖なら無難だけど」
エリス 「ノースリーブにする」
エリスは、【Aライン×ノースリーブ】になったよ。
●アンヌの場合
「アンヌさんはいわゆるモデル体形です。
筋肉も脂肪も少なめで、肉感よりも骨や節の形の美しさが感じられる骨格です。
骨格がしっかり出ているので、どんな服もクールに着こなせます」
おかあさん 「アンヌちゃんは背が高いからね」
「すらりとしているので、基本的には何を着てもOK。特におすすめなのはシンプルな「スレンダーライン」。肩やデコルテの骨が太く大きめなので、細身のドレスを本当にかっこよく着こなせます」
アンヌ 「………あのさ、かっこいいよりかわいいがいいな。スカートはエリスやマリィみたいに、ぱあっと広がってるのじゃダメ?」
「大丈夫だよ。基本的に何着てもOKって最初に言ったでしょ?」
アンヌ、なんか最近ほんとに可愛いな!
「じゃあ、こんなのでどう?」
アンヌは、【プリンセスライン×オフショルダー】に決まった。
アンヌ 「どう?サーラさん」
テオの母親 「とてもきれいだよ
きれいすぎて………テオは大丈夫なのかねぇ………」
終わりかと思ったら
エリス 「ちょっと待つ。
アンヌとマリィがプリンセスラインなのに私だけAラインはちょっと寂しい。
代わりにカラードレスを考えたい」
いろいろ検討した結果、結局エリスもプリンセスラインになったよ………しかもカラードレスになったよ。
店長さん大丈夫かな?
________________________________________
【婚約指輪】
ミレーヌ先生 「指輪交換なんて習慣はないわね~ でも素敵!」
私 「指輪や杖に魔法効果を高める石をはめたりしないんですね………」
アリシア先生 「ないね~」
エリス 「結婚にも魔法にも制約がないことが分かった。後は金額のみ」
アリシア先生に連れられて土魔法師のところに行く。
アリシア先生 「おばあちゃん、連れてきたよ~」
「おお、おお、エルシーよく来たね」(アリシアの愛称はエルシーだ)
この間相談した指輪の件で、つける子を連れてきたよ~」
おばあさんは私たちをじっと見る
アリシア先生が、エリスとルーカス、マリィとクロード、アンヌとテオをおばあさんの前に出し、婚約式で指輪を交換すると話した。
エリスに 「お前さんの属性はなんだい?」
「水です」
続いてルーカスにも 「風です」
「ふーむ………」
エリスの前に、青と緑の中間の透明感がある宝石を置いた。次に青みがかった紫色の宝石を置いた。
「お前さんは、どちらに惹かれるかい?」
エリスは 「こっち」と青と緑の中間の透明感がある宝石を指さした。
「これはアクアマリンじゃ。
浄化によって希望をもたらす力がある。また快活さを得ることで、優しさや思いやりをもたらす力もあるぞ」
「気に入った」
ルーカスにはオリーブ色の宝石だけが示された。
「お前さんはこれしかないの。ペリドットという宝石じゃ。太陽の石とも呼ばれておる。負の感情を浄化し、精神的な成長も促す力がある」
「気に入りました」
マリィには翡翠だった。
「もめ事を回避し、人間関係を良好に保つ力がある。また家庭を円満にする力もあるぞ」
クロードにはブラックオニキスとジャスパーが示された。
説明を聞きクロードはジャスパーを選んだ。
「良い選択じゃ。ジャスパーには、感情を制御し、前向きな思考を手に入れる力がある。心身共に強さを得る効果があるぞ」
アンヌ
「お前には力強く懐が深い感情を感じるぞ。そんなお前にはこれしかないの」
「ルビーじゃ。
勇気を湧き起こす力があり、怖れを知らずに前に突き進み、行動力や創造性を高めることができる。
また、愛を高める力もあるぞ?」
にやっと笑う。
アンヌは真っ赤になった。
テオには、エリスが選ばなかった宝石、アメジストが示された。
「これはな、
癒し効果があるのじゃ。
彼女の勇気の力、前に進もうとする力を癒やしてあげるんじゃよ」
テオも赤くなった。
わかります、おばあさん!
うぶなアンヌとテオはからかいたくなるんですよね!
アリシア先生が納期とお金の話をしようとすると、おばあさんは私とクララのことをじっと見た。
「おまえさん達は婚約しないのかい?」
クララ 「はい、お相手がおりませんので。今回はお手伝いの予定です」
「待ちな」
クララの顔をじっと見る………
「おまえさんはブルーサファイヤじゃ。
「神聖」と「守護」を司る」
クララ 「え、でも、私には………」
おばあさんはそれを無視し、私の顔をじっと見る。
しばらくしてため息を吐くと、私に
「長年、人と宝石を見てきたが、これは………さっぱりわからん。
だが……少なくとも、これしかないじゃろう………」
ダイヤモンドが示された。
「強力な浄化と魔除けの力がある。
おまえさんの運命は分からないが、少しは役に立つじゃろう………」
「あのー 私とクララには送る相手がいないんですけど………」
「お互いに送り合えば良かろう。
もともと婚約で指輪を贈る習慣自体がないんじゃ。
友人同士で送ってもかまわん」
なんだかクララと私はうまく乗せられてしまって、指輪を贈ることになったよ………
それにさ!
私たちだけ指輪がないの、嫌だったの!
クララも同じだよね?
婚約指輪だけど、ちゃんと結婚できたら、この指輪は結婚指輪にもなる。
だから、普段でもはめてられるように、小さな石とシンプルなデザインの指輪にしてもらったよ。
「エルシーの教え子じゃろう?
金なんかとれんよ」
おばあさんは、宝石を身につける習慣自体があまりないからと、とても安い値段しか受け取ってくれなかった。
でも、指輪するの、楽しみだな~
________________________________________
【会場】
「風のみち」商会頭フォースタンと妻ローズ
取引先のレストランは「ラ・ターブル・ドール」という。
レストランの支配人は商会頭のお出ましにびっくりだ。
人数は40人近くに膨れ上がった。
私から注文
「婚約者達の衣装がスペースを取るので、通常の40人の会場だと収まりきれないんです」
ローズさん 「確かにあの衣装だとそうなるわね」
「しかも、婚約者達用の控え室が必要になります」
支配人の目がぐるぐる回っている気がするよ。
控え室は支配人や従業員のバックヤードを借りることになった。
また、客席のうち、一部をテラス席にしてスペースを確保したよ。
フォースタンさん 「うちの伝手で、風魔法師と火魔法師を手配し、テラスでも問題ない環境にしよう」
次はお料理 「今、魔法の訓練で森での狩猟をやっているんです。
鳥、兎、鹿、猪などの食材を提供できます」
いろいろご迷惑をかけるから、多めに狩ってきて余ったらレストランに提供することでまとまったよ。
おかあさん
「クロエちゃん、とっても頑張ったわね」
________________________________________
【狩り】
1月30日のお休みの日。
狩りの(ほんとはスリープの)練習日かつ、婚約披露式の食材集めの日だ。
メンバーは魔法指導者(アリシア先生)生徒(私)と単なる食いしん坊(ミレーヌ先生)である。
アリシア先生
「今日は暴漢を想定し、猪を見つけたらあえて挑発するよ。
猪が興奮して突進してくるところをスリープで無力化できるかどうかを見るよ」
そう言われてみると、暴漢相手としては前回の練習では確かに不十分だよね。
アリシア先生が索敵を行う。
しばらくすると索敵に猪が引っかかった。
(クロエちゃん! いい? 注意を引きつけるよ!)
(はい!)
先生は立ち上がり、指笛を鳴らした!
ピーーー!
鋭い音がする。
さらに大きな声を上げた。
20mくらい?先に猪がいる。
大きい!
え?あんなに大きいの?
すぐに猪はこっちに向かってきた!
「あ、あ、あ」 (怖い!)
足が、動かない!
そのとき横から手が伸びてきて私を引っ張った!ミレーヌ先生だ!
アリシア先生が反対から
『風よ………切り裂け!ウィンドカッター!』
猪の顔を切り裂く!
プギャー!
「クロエちゃん!スリープ!」ミレーヌ先生!
あ
そ、そうだ!
『ね、眠れ! スリープ』
白光があらぬ方向に飛んでいく。
「もう一度!スプレイ・スリープ!」ミレーヌ先生
アリシア先生
『風よ………切り裂け!ウィンドカッター!』
「この隙に!」
ごくっ
『ねむれ!スプレイ・スリープーーーーーーーーー!』
怖くてスプレイ・スリープを前方向にぶちまけ続けた――!
はぁっ、はぁっ、
「クロエちゃん、ストップ!」ミレーヌ先生
気がつけば、猪とアリシア先生が深い眠りに倒れていた………
________________________________________
「ほんっとうに、ごめんなさい!」
まだ足が震えている。
私は、目が覚めたアリシア先生に大謝りだ。
気分は土下座だよ。
「いいよ、いいよ。最初から失敗すると思ってからね~」アリシア先生
「反対側から私が引っ張るのも、アリシアと打ち合わせ済みだったし」ミレーヌ先生
「でも。
アリシア先生を危ない目に遭わせてしまいました………」
「猪やっつけるだけなら、私のウィンドカッターでも、ウィンドアローとかでもOKだし、
足を狙えば簡単だしね~」アリシア先生
「怪我しても、私のヒールがあるし」ミレーヌ先生
「スプレイ・スリープで浮かれていました………
敵と遭遇したらあんなに怖くて、発語もままならないんですね………」
「数をこなせば大丈夫だよ」アリシア先生
「今日は、いっぱい狩らなきゃいけないからね!
どんどん狩っていこう!」ミレーヌ先生
二人とも明るくて助かるな~
それからも、鳥や獣に、わざとこちらの存在を知らせては、狩りを続けたのだった。
ミレーヌ先生「クロエちゃん、かなり怖かったようね」
アリシア先生「猪は恐ろしいよ。短縮詠唱じゃ間に合わないくらいのタイミングになるからね」
「でもアリシア、まだまだ余裕だったでしょ?」
「そりゃ、一応魔法大学出で、衛士隊の風魔法師トップだもの。それより、ミレーヌの魔法のすごいところをクロエちゃんに見せられなかったね」
「いいのいいの。治癒魔法なんて使わなくて済めば一番よ」
「クロエちゃん、ミレーヌのことただの食いしん坊って思ってるよ」
ミレーヌさんの魔法もたまには見てみたい方は、リアクション(ブックマーク・評価)をお願いします(・_・)(._.)




