029 こ、恋バナですか?
優等生のクララからこんな話を聞くなんて、衝撃的だよ!
エピソード018でクロエが歌っています。聴いてね!
https://www.youtube.com/watch?v=WN2IvDfrpPU
結局サチの件は、私とサチがいて、十分会話ができる場合にしか起こらない。
―――それは神殿の私の部屋だけなので、こちらも様子見ということになった。
「でも、ここにいる、みんなだけの時に話すようにしましょうね」おかあさん。
堅い話が終わったところで、
「火・水にめぼしい男子、いる?」マリィが爆弾をつっこんだぞ!
アンヌ「アタシは衛士志望だからな~
火魔法だとアンドレ、レオ、マティスあたりになるんだけど、みんなガキだよ。」
「あいつらか~ ちょっと結婚する未来は考えられないね」マリィ
?
「結婚? 話が飛躍してない?」私
クララ「そうでもないですよ。魔法院卒業まで3年。その後は職業を得て、結婚ですから」
「でも、これからどんな出会いがあるかわからないし、魔法を身につけたら、まずは結婚より就職じゃないの?」
アンヌ「いや、就職も大事だけど、結婚相手を決めるには魔法院にいる間が勝負だぞ」
おかあさん「そうね。就職してからよりも、魔法院にいる間の方がいいお相手を見つけやすいと思うわ」
みんなから色々教えてもらったことを前世と比較して考えてみた。
・そもそも、前世より平均寿命が短い。
・高齢での出産は難しい。前世のように医療技術が発達していないし、不妊治療など聞いたこともないだろう。
・結婚・出産は30歳以前に済んでいることが常識となる。
・となると、結婚・出産は、魔法院卒業から10年程度が大事な期間だ。
「最低二人、できれば三人産みたいところね。実際、リナが死んでしまったときは、本当に絶望したのよ……」
おかあさんは私を抱きしめる。
・推定人口5000人の都市で、ひとがじわじわ減少していく。行政つまり上からの施策というより、社会全体として子供を増やしたい、衰退したくないという無言の圧力があるのかも。
・その上、リナちゃんの例にもあるとおり、前世に比べここでは子供が遙かに死にやすい。
・合計特殊出生率を2.0以上にするためには、三人産んでも足りないのかもしれない。
マリィ「みんな就職してすぐ結婚しちゃうから、フリーの男子は魔法院で選ぶしかないじゃない。
その点、風クラスは不利よね」
確かに。クラスには農家のアーサーと、商家のルーカスだけだ。
「でも、ルーカスはいいと思う」エリス
「できれば同じ職業の家の子と結婚したいけどね」
クララ・マリィ・エリスは官吏の娘だ。
都会っ子?シティガール?モデルテでは洗練された女子という感じなのかも。
「官吏の家といえば、水にいるベルナールはそうじゃないか?」アンヌ
「う」マリィ、ちょっと嫌そうかも。
「……上のクラスの、官吏や商家の男子ってどうなの?」エリスがマリィに尋ねる。
「私の情報では、もうフリーはいないよ。
うん、もうルーカス狙いにしようかなー」
「クララはどうなの?」エリス
「……実はね、孤児院のネロくんなんかいいかな?って」
「ええーーー!!」と私が大声を上げると、
「やっぱりな!どうもネロに優しいとは思ってたよ」
「ちょっとちょっと待って!話について行けないんだけど!ネロって、まだ坊やだよね!」
クララ「考えてみて。同じ官吏の家、同じ流行病で両親を亡くしていて、孤児院で一緒に暮らしたのよ。ネロくんはとっても素直で優しい性格だし、瞑想の様子を見るとマナ量も多いわ。二歳年下だけど条件は最高だと思うの」
「ほほう、ネロか!」マリィ「なるほど~」
私「確かに、ネロくん、この間「クララおねえちゃん帰ってきて~」って言ってたけどさ~」
クララ「ほんと?」嬉しそうじゃん!
アンヌ「だけどさ、オフェリーは絶対ネロ狙いだぞ?」
クララは難しい顔をして、「二歳上と一歳下ってどっちが有利だと思う?」
優等生のクララからこんな話を聞くなんて、衝撃的だよ!
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恋バナのあと、話題は魔法院での私の「やらかし」になった……
……
ここはマリィの独壇場だ。
「でね、アルテミス様の軍船足止めの場面をルーカスが描いたのよ!
ささっと描いた割にとっても上手でね!
次に私の番になったんだけど、絵自体はルーカスにはかなわないって思ったわ!
でも、神話の題材でね、眷属アウラ様の狩猟の場面を描いたの。
そしたら先生が、神話のことがよくわかってるって、そう評価してくれて。
二人とも一発合格だったのよ!」
「そこへクロエがね、ヘンテコ絵を出してきたの!」
アンヌ「あの矢印か~」
「バルディーニ先生が大きくため息をついてね!
長い沈黙のあとにこう仰ったの、
『まず、これはそもそも絵ではない』」マリィは、バルのものまね付きで熱演する。
一同爆笑だ!
クララが涙を拭きながら、「アーサーの話がないけど?」
「アーサーはね~ よりによって、アルテミス様がのぞきにあってる場面を描いたのよ~
それもね、覗かれたことをお怒りになられていればまだしも、恥ずかしがって悲鳴を上げている絵を描いたのよ!」
クララ「それは、ちょっとアルテミス様を軽んじているというか」
「そう、ばかにしているよね。それで先生が『神話の意味がわかってない』って言ってね。
アーサーも不合格だったわ」
おかあさん「その絵をぜひ見たいわ~」
私「え~」
こうして甘えさせてもらうの。ほんとうに嬉しいな……
「いいから今度持ってきてね」
「はーい」
おかあさんには逆らえないよ。
「これには続きがあってね!
クロエとアーサーは書き直しになったんだけどね、
クロエだけがまた落第になったのよ!」
…………
アンヌ「あれはだめだ!」
エリス「誰でも怒る。前のよりひどい」
クララ「弁護できません」
マリィ「先生の冷たい視線にぞっとしたわ」
私「アルテミス様の怒りっぽいところが表現できたらなって…………」
「何言ってんの!」「だめ!」「クロエちゃん反省して!」
マリィ「これだとまたやらかすな…………」
おかあさん
「クロエちゃん、その絵も持ってきなさい」
ちーん
「デフォルメ」が通じなかったかぁ~
話題は尽きない。
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マリィ
「ソフィさんは、クロエがトランスファーというマナ譲渡魔法を成功させた話は知ってますか?」
「ええ、教えてもらったわ」
「じゃあ、そのときに先生に頭をはたかれるほど叱られた話は?」
「まあ!そんなことがあったの?私はクロエちゃんから『トランスファー』という魔法を覚えたよとしか聞いてないわ」
私はあわあわして、「練習中にできなくて怒られてもしょうがないよね?ね?」
「いやー、クロエの場合は、なんだかマジックスペルを勝手に改造して、
しかもそれが発動しそうになったから怒られたんでしょ!」
「まあ!」
顔を青くして
「クロエ!危ないじゃない!」
こんこんと怒られた
「しかも、私に隠そうとしたのね!」
こんこん
こんこん
こんこん
「ふぅー クロエちゃん本当にわかった?」
強く、「うん!」
みんなの疑いの目が痛いよ…………
…………
「今は、2限の時に全クラスにマナ譲渡をしているんですよ!」
「まあ!いっぺんに40人も!」
「しかもマナ譲渡のあとにバルディーニ先生がマナ値を調べるんですが、全然減ってないんですよ!」
「まあ!」
「リナちゃんのおかげだよね~」
「そうかしら?リナのマナ値が高かったという記憶はないのだけど…………」
クララ「クロエちゃんに魔臓はなかったし、リナが普通の魔臓だったとしたら、組み合わせがよかったのかも」
おかあさん「高すぎてもなんだか心配ね…………
クロエちゃん、体調がおかしくなったら、すぐに先生やまわりの生徒にそう言うのよ?」
「はーい」
…………
…………
「それでね、クロエからマナをもらうと、気持ちよくなるの!」
マリィさんもういいです…………別の話題にしませんか?…………
クララ「私、昨日の授業中のマナ譲渡の時…………寝ちゃったんです」
エリス「手を握るんじゃなく、頭をなでた」
私「なんだか、クララちゃんの頭がなでたくなっちゃって……あと、別に手からじゃなくてもいいかもってね。
それで、クララを見てたらつい、頭をこう『なでなで~』って」
クララ「起きたとき恥ずかしかったんだから!」
マリィ「男子は気持ちよくならないんですよ。きっと指先しか触らないからだよね」
私「授業とは言え男子の手なんか握りたくないもん」
アンヌ「絶対相手が好きか嫌いかでマナの量変えてるだろ!」
私「そんなこと考えてないって。もらう方の気持ちじゃないの?」
クララ「両方かもしれません」
…………
おかあさん「私もクロエちゃんにマナ分けてもらいたいな、いい?」
「うん、
あ、でも試して見たいことがあるの」
「なに?」
「おかあさんの肩を揉んであげたいなって」
「まあ!いいわね!
やってみて?」
私はおかあさんの後ろに回り、両肩をもんだ。
「お客さん、肩がこってるね~
(ぐいぐい)
「お、この辺が特に。」
(もみもみ)
おかあさんは目を閉じて「いいわ~」
「ここはどうですか~」
(ぐいぐい)
「あぁ~」
そろそろいいかな?
肩を揉みながら、
『風よ……マナ譲渡を実行・対象おかあさん、トランスファー』
と発語した。
おかあさんはそのままぐっすり眠ってしまったよ。
おやすみなさい。




