028 真面目な話
「家畜に『にわとり』っていないの?」
エピソード018でクロエが歌っています。聴いてね!
https://www.youtube.com/watch?v=WN2IvDfrpPU
クララの家の台所は思ったより広かった。
じゃあ、みんなで晩ごはんを作ろうか。
私にとっては――この世界での初めての料理だぞ。
・タマネギをみじん切りにし、鉄鍋(ダッチオーブンに似た鍋)で焦げないようゆっくり炒める。(フライパンなし、サラダ油なし、バターなし。分けてもらったラードを使う)
・その間に牛・豚肉を包丁風のナイフでたたいてミンチにする。(えー、せっかくのお肉がもったいないよ!アンヌは本気で悲しそうだ)
・タマネギが飴色になったら、いったん皿に取り、粗熱をさます。(おーいい匂い!という声あり)
・挽肉に適量の塩を加え、粘りが出るまでこねる(まだー?(アンヌ))
「ちょっと!アンヌ! あっち行ってて!」
「はーーい」
・冷めたタマネギを加え、たねを人数分に分ける。
・両手でキャッチボールをしながら空気を抜く。
・鉄鍋にラードをひき、たねを並べ、表面に焼き色をつける。
ソフィおかあさんに、
「ホントはたねだけで焼いて、あとでソースをかけるのだけど、生焼けが怖いので今日はこれを煮込むね。」
「いいと思うわ」
・次につけ合わせとソースを作る。
・にんじんはグラッセにしたいけど、甘みは入手が難しいので乱切りを塩ゆでにする。
・ゆで汁は別に取っておく。
・ジャガイモはお鍋の水がとぶまでゆでて粉ふきいもにする。最後にお塩を少々ふる。
・炒め油に、にんじんとジャガイモのゆで汁を加え煮詰めていく。
・そこに塩を振り味を調える。
おかあさん「クロエちゃん、家から肉汁と赤ワインのソースを持ってきたんだけど、使ってみる?」
おお!それって、グレイビーソースじゃないの? 「うん、ありがとうおかあさん!うれしい!」
あ、つい口に出して「おかあさん」って言っちゃった!
顔が真っ赤になる。
おかあさんは耳もとで「ありがとう、クロエちゃん」
ひやぁー!
き、気を取り直すよ!
・野菜の煮汁とグレイビーソースを混ぜて粘度が出たら、ハンバーグに投入し一緒に煮る
鍋のふたを開けると、肉と玉ねぎの香りが台所いっぱいに広がった。
お皿にハンバーグ、にんじんの塩ゆで、粉ふきいもをのせてハンバーグの出来上がりだ!
クララは拍手だ!「クロエちゃん、すごいよ!それにおいしそう!」
食卓にはおかあさんが持ってきてくれたハムやソーセージ、小麦粉のハードブレッド!(フランスパンみたいな)
市場で一緒に買った果物など
「すごい!ごちそうができたね」マリィ
エリス こくこく
アンヌ ごくり
サチ じーっ
おかあさん 「さあ、みんなで食べましょう!」
「「「「「はーーい!」
「うまー!」
「ほんと、おいしいわ、クロエちゃん」
んぐんぐ こくこく (アンヌ)
うん、色々足りなかったけど、逆に肉のうまみがよくわかるかも。
「お肉なんてめったに食べられないからね!」
テンション上がるよね!
私 「牛豚だけじゃなく、鶏肉もあればよかったね!」
マリィ 「鳥は狩猟が大変だからね。なかなか手に入らないよ」
?
「家畜に『にわとり』っていないの?」
「「「にわとり?」」」
「聞かない名前の鳥ね?」おかあさん
そうか……この世界には鶏がいない……たまごも市場にないわけだ。
クララ「山鳩とか、きじとか、両親がいた頃に少し食べる機会がありましたけど……」
「そうなんだ」
「で、どう?私のハンバーグ?」とごまかした。
クララ「とてもおいしいです……
ところで、『にわとり』の他にも、『ハンバーグ』という耳慣れない言葉が出てますよ?」
あ、
クララ 「クロエちゃん、その言葉……
私たちの知らない世界の言葉よね?」
私を見つめ、「クロエちゃん、クロエちゃんのことを守ってあげたいの。」
おかあさんの取りなしで、その話は食後になった……
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考えてみれば特に隠す事実はない。
前世のエピソード記憶もない、神さまと出会ったわけでもない、スキルもなければ、レベルもステータスもない。
生まれたときはマナもなかったし、魔法も落ちこぼれの聴講生だ。
初めから順に話してみよう。
「アンヌやクララは知ってると思うけど……
私は、去年の秋に孤児院で突然目を覚ましたの。
神殿騎士が眠っている私を連れてきたんだって。」
「その神殿騎士はここの聖堂の人ではなくて、
私は、王都教区所属の騎士なんじゃないかと思っているの。」
そこから今までのことをつらつらとみんなに話した。
孤児院でのことはアンヌとクララが、
魔法院でのことはマリィが、
魔臓移植の件はおかあさんが補ってくれた。(つらいこと話させてごめんね)
「人は死んだら、その魂はどうなると思う?」
おかあさん
「その魂は輪廻の輪に巻き込まれ、やがて生まれ変わるわ」
「うん、
クララの言う『耳慣れない言葉』というのは、たぶん私が輪廻の輪に入る前の、前世の知識だと思うの」
「何かの際にポンって頭に浮かぶのよ」
「たとえば初めてアンヌに会ったとき『赤毛のアン』って聞いたのおぼえてる?」
「ああ」
「そういう題名の小説があるの
クララにも『足が悪かったりする?』って聞いたでしょ」
「そうね」
「そういう登場人物が出てくる小説があるの。
でもね、それは、その本を読んだことがあるって体験を覚えているのじゃなくてね、
うーん……そういう本があるって図書館で背表紙を見ている感じなの」
「へー」マリィ
「『ハンバーグ』は料理のレシピ集を、『にわとり』は図鑑を見ている感じなの」
「『異世界転生した人の作る料理はこれ』って頭に浮かぶ感じ……」
アンヌ 「そう聞くと、別に何も問題ないように思うけどな」
クララ 「確かに。でも突然なのでびっくりするのよ。
特に魔法院が心配で……マリィちゃんにお願いするしかなくて……」
おかあさん 「困ったことがあれば私のところに来れば大丈夫よ、クロエちゃん。
でも、そうね、魔法院でのことは、担任のバルディーニ様は何かご存じなのではないかしら?
相談してみたら?」
私・アンヌ・クララ・マリィはお互いの顔をみる。
「難しそう」アンヌ
「怖いよね」マリィ
「何か一歩下がっている感じがしますね」クララ
「隠していることがあるのは確かなんだけど、絶対教えないぞ!って感じがするんだよねー」
エリスはバルとの接触が少ないから聞き役だ。
「そう。実害がないのなら、あまり事を荒立てない方がいいかもしれないわ。
あとは……クロエちゃんがマナが多くて、みんなの役に立つ存在だということをアピールしたらいいんじゃない?」
クララ 「そう……ですね。
都市生活に大きな貢献ができるなら、欠点に目を瞑ってもらえるということですね」
みんな、心配かけてごめんね。そしてありがとう。
これで議題終了といきたいところだが、私からも真面目な相談がある。
「実は、この私の前世知識に関して、もう一つ相談があるの」
「なにかしら?」おかあさん
「サチもね、私と同じで、孤児院に来るまでの記憶がないの」
「まさか、クロエちゃんみたいに魔臓がないの?」おかあさん
「いえ、そこは大丈夫みたい。
サチはね、自分の前世記憶を覚えているのではなくて、
どうやら私の前世記憶を読み取る力があるみたいなの。」
……
……
ん、なんか意味がわからんといった反応だな?
「試しにやってみるね。
サチ、今『検索』試してもいい?」
こく
「サチ、『検索して』、『ハンバーグ』!」
【ハンバーグは、ドイツ発祥の肉料理である。正式名称
は、ハンバーグステーキ、あるいは、ハンバーガース
テーキ。ハンバーグの起源は18世紀頃のドイツ・ハン
ブルクにあり、名称もハンブルクの英語発音から「ハ
ンバーグ」となった。ドイツ、ハンブルク地方から、
アメリカに移民する船において、故郷のタルタルステ
ーキが食べたい乗客の希望に―――
……
……
……
―――チーズやトマトソース、デミグラス、シャリア
ピンソースといったソースの他、照り焼きソース、大
根おろしと醤油ベースのソースなど和風の味付けがな
されることも多い】
今回はストップしなかった。
サチはやりきってご満悦である。
「うわー!」
「なんだかすごい!」
パチパチパチ!
サチがこの先どうなるか。
心配が伝わったかな
このお話を読んで頂いた方へ
つたない物語にお付き合い頂き、誠にありがとうございます。
読み専をやめて初めてわかったんですが、ブクマとか評価って、とっても大切だったんです!
それで、厚かましいことですが、皆様にもブクマや評価をお願いしてもよろしいでしょうか?よろしくお願いします。(_ _)




