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チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project


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027 社会科見学

でもね、異世界定番ハンバーグ作りやってみたいの!

エピソード018でクロエが歌っています。聴いてね!

https://www.youtube.com/watch?v=WN2IvDfrpPU

ひと月ほどたった。

季節は初夏。気持ちのいい風が吹いている。


去年の秋、おそらく9月か10月頃、私はこの世界で目覚めた。

まだ夏を経験していないが、温暖な風土だと思う。

真冬でも、体感15度くらいあったのではないだろうか。

なにせ、孤児院の子供たちが裸足にぼろ服一枚で生きていけたのだ。


中世程度の文化ではあるが、貧富の差もあまりないようだし。

そのせいか、みな協力し合って生きている、いわば高信頼社会を築いていると言える。


これらを総合すると、文明の発展の余地は大きそうに思うのだが、

現実にはそうなっていない…………

実際には子供や老人の死亡率は高く、周囲で亡くなった人の話が多い。

食文化も豊かとは言えない。


(この気候風土でなんで農作物が十分に行き渡らないんだろう?)

(もっとおいしいごはんが食べたいよ~)


こんなことを考えるのも、今日は「魔法使用状況の現地説明の日」なのだ。

前世で言えば社会科見学だね!


________________________________________


引率はパオロ先生だ。

火魔法コース10名、水魔法コース11名、土魔法コース13名、そして風魔法コース4名

生徒38名に先生4名で総勢42名。

先生は、教務主任?のパオロ先生、火魔法担任のガスパール先生(男性)、水魔法のミレーヌ先生(女性)、土魔法のシャンタル先生(女性)。

バルはなぜか不参加だ。この内弁慶め。


パオロ先生

「えー、現地説明の目的は、普段みなさんが目にできない施設や作業を見学することで、魔法の実際の運用を理解してもらうことが目的です。

みなさんはまだ、発語訓練で詠唱を一つか二つ学んだばかりの状況ですが、今後発語訓練が進み、多くのマジックスペルを身につけていく中で、その魔法がどのように社会に役立つかを理解しているかが大事だと、我々教師は考えています。

また魔法院卒業後にどのような職業に就くことができるかも理解できることでしょう。」


私たちは、まず、市東門を出たところに立つ給水塔に行った。

円形・石積みの作りで高さは外壁の倍はある。6~8階ほどの高さだろうか。

円の直径も10メートル、いや20メートル以上かも。


給水塔の入口で責任者の説明を聞く。

「この給水塔は、建設時期がモデルテ市初期にまで遡る建造物です。

今も現役で、みなさんに飲み水を供給しています。」

ちなみに給水塔は西門側にもあるそうだ。


挿絵(By みてみん)


「魔法的に重要な点が二つありますが、

一つは給水塔上部まで揚水することです。これは水魔法師と風魔法師がペアで常駐し、定期的に実施します。

最も効率がよいのは、水魔法フロウ【FLOW】と風魔法プッシュ【PUSH】の複合魔法です。

他の魔法でも同様の効果があればかまいませんが、この組み合わせが最もマナ消費が少なく効果が高いと言われています。」


私たちは外周のらせん階段を上り、給水塔の上に出た。

「最上部は天水桶となります。天水は揚水の補助として利用します。

さて魔法的に重要な点の二つ目ですが、水を飲水用に浄化することです。

天水桶と揚水の水は、天水桶の下層にある浄化槽に移され浄化されます。」


「最も一般的な魔法は、水魔法クリーン【CLEAN】ですが、病気予防の観点ではピュリファイ【PURIFY】が望まれます。マナ保有量が高く【PURIFY】が使える魔法師は給水業務に最適と言えるでしょう。」


生徒たち

「水魔法ってやっぱりいいな!」

「みんなのための魔法って感じだよね」

ちなみにアーサー 「農作業より楽そう♬」

アーサーくん……


________________________________________


続いて鍛冶師訪問。

狭いので、6~7人ずつ中に入れてもらう。

親方のセヴェールさん

「危ないから壁際でたっとれ!」

……

「火魔法ちゅうとな、みぃんな炎を放出することを、考えてばっかりじゃわ!」

ハンマーをガッチン!

「そんな、原始的な考えじゃあ、なんも生み出せん!」

ガッチン!

「鍛冶はな、芸術じゃ!見てろ!」

炉に向かって

『火よ、神ヘーパイストスに信仰を捧げる、炎を我がマナの命ずる高みまで昇らせ給え、テンパラチャー・ハイ!』」


ゴゥ!

炉の中の炎が燃えさかり、橙色だった炎が、一瞬で白熱した!


「鍛冶ではの、金属によって温度を変えること、狙った温度を維持することが大事なんじゃ。

今見せたのは、テンパラチャーの中でも特に高温を維持するための魔法じゃな。

これで質のよい鉄を生み出すことができるんじゃ」


男子たち

「火魔法すげー!」

「鍛冶師ってエリートだよな~」

女子

「あっつい!」

「鍛冶師と結婚するならともかく、自分がやるのはあり得ないわね」

ちなみにアーサー

「風魔法師じゃ縁ないよな~」

しょんぼり言ったところ、セヴェールさん

「ん? そんなことないぞ? 炉の炎管理のためには風魔法師のサポートは絶対じゃ!」

と言われ、「ホントっすか?」と喜んでいたよ……


ちなみに私の感想 (ドワーフじゃないじゃん!)


________________________________________


本日の社会科見学はここまで。

土魔法と風魔法は次回とのこと。


魔法と言えば、ラノベの印象だと、冒険者がパーティーを組んで魔物や盗賊を打ち倒す、そういったものだった。

しかし考えてみれば、攻撃魔法など、極めて特殊な運用に過ぎない。

生活の利便性向上やインフラ整備に使うのが当たり前の発想になる。

(それが当然だよね~)


それだけに、魔法の危険性がわかってしまう。

今日思ったこと。

揚水技術のためにポンプは生まれない。

水質浄化のために塩素の研究は生まれない。

冶金技術の向上の結果、高炉は生み出されないし、コークスの利用も必要ない。

バルの医療行為も思い出された。

咽頭検査に医療用ペンライトは使われない。

内臓検査にMRI、CTも発明されないのではないか。


どうしても考えてしまうこと。

魔法習得のために、可能な限り子供たちを魔法院で学ばせるという、言ってみれば社会的コストを払うだけの必要性と。

―――魔法技術体系が広まることによる、文明の停滞リスクについて。


魔法が便利すぎる世界では、

技術は必要とされないのかもしれない。


________________________________________


別の日のこと。


今日はなんと!

クララの自宅に訪問なのだ!


神殿や孤児院に休日はないが、魔法院は10日ごとに休日が存在する。

なので孤児院と神殿に外出許可をもらい、クララのうちにやってきた。


クララの両親が亡くなったときのこと。

「ほら、いったん手放しちゃうと、また借りるのが大変でしょう?」

とクララ

「急だったから家財道具の処分もできないし。

魔法院を卒業したら、また住む場所が必要になるし。

ヴィクトールさんが大家さんに交渉してくれて、家賃を下げて頂いて借り続けているの。」


「それでね。定期的な掃除や空気の入れ換えでここに来るのよ。」

ほ~

アンヌ「アタシも何度か手伝いに来てるんだ」

へ~

今日は、クララ・アンヌ・私に加え、マリィ・エリス、それにサチの6人で、拡大お泊まり女子会の開催なのだ。

マリィ「昔遊びに来たことはあったけど、みんな小さかったからね~ 私もエリスもお泊まりは初めてよ!」

「今日は行くとこまで行くよー!」

「おおー!」アンヌ


雑魚寝のための毛布、町で買った食材、おしゃべりのお供のお菓子!

みんなでごはんも作るよ!


魔法院の授業の帰りはみんなでお買い物だ。

晩ご飯を作る役に私は手を挙げた。

「はい!私が作るよ!」

アンヌとクララは疑いの目だ。


でもね、異世界定番ハンバーグ作りやってみたいの!

「お金は入学準備の時の支度金がね、ほら、ソフィさん出してくれたでしょ?」

「お願い!」

クララの厳しい監督を受けることを条件に許してもらった。

よし、

広場に行くぞ!


挿絵(By みてみん)


しかしながら、つなぎのパン粉がない、いや黒パンのパンくずはあるけど、それは入れない方がおいしそうだ。

たまごもない。定番ハーブのオレガノやナツメグもない。

ソースにできそうなもの、例えば日本の中濃・ウスターソースがない、トマトがないからケチャップもない。和風にするための醤油も当然ない。

牛とぶたのらしいものがあったので、それを購入。ジャガイモ・にんじん・タマネギを購入した。

クララが翌日の料理を作ってくれるというので、そちらの買い物は任せ、私は孤児院にサチを迎えに行った。


サチと二人でクララの家に向かう。

「おじゃましま~す」

中にはなぜかソフィおかあさんがいた。

「クロエちゃん、なんで私に教えてくれないの?」じとっ

「え? あの?」

クララちゃんに目で尋ねる。

「クロエちゃんが、そのハンバーグ? のソースの材料が足りないって言ってたでしょ。

それでソフィさんに聞きにいったらね?」

「クロエちゃんの初めてのお料理を食べないなんて、そんなのだめに決まってるじゃない!もぉ~」

おかあさんはとっても楽しそうだ!

『はじめてのおつかい』ですかー?


さて、この世界で初めて作る「料理」だ。


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