表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/57

023 サチ

「何にも食べないんだよ!」

エピソード018でクロエが歌っています。聴いてね!

https://www.youtube.com/watch?v=WN2IvDfrpPU

入学日前日と当日の今日夕刻まで、私は孤児院の様子を見る時間がなかった。

それで、ネロに任せっきりだったのだが……


「何にも食べないんだよ!」

え?

たしか……一昨日の夕食後に孤児院にやってきて……

あれ?そう言えば、引っ越しやら入学初日やらで、みんなと一緒の時間にごはん食べてない。

「もしかして、ここに来てからずっと?」

「うん、

それに、奉仕の時間もお掃除しないし、食事の片付けも洗濯もしないんだよ!」

「ほんと?」

「そうだよ!シスターもすっごい怒ってるんだよ!」

「うわー それでサチは何してるの?」

「なんにも」

「部屋のすみっこでぼんやりしている……」

たしかに、ここに来たときも普通の反応じゃなかったけど。

「とりあえずサチのところに行こっか。いまどこ?」

「お庭の隅っこか、部屋の隅っこかも」


庭の隅っこにいた。


「サチ……」

彼女は、孤児院と聖堂の間にある空き地-みんなが「庭」と言っている何もない空間-の片隅に、ただ立ち尽くしていた。

目は半眼、全くの無表情……

(リアルジト目ちゃんだ……)

ついつぶやいてしまうと、

彼女は私をまっすぐ向いて、「さ、ち、『ジト目』」と反芻し、おもむろに、

  【ジト目とは、漫画・アニメなどにおける表現手法

   である。現代ではキャラクターの軽蔑や呆れた感

   情を表現するために、目を下半月などの形状に描

   くことがしばしばおこなわれており、この目をジ

   ト目という。発祥:「ジト目」は古くからある日

   本語ではなく、俗語である。負の感情で相手を見

   つめるときの「じとーっ」あるいは「じーっ」と

   いった擬声語が語源になって生まれたと考えられ

   ている。女性向けファッション雑誌によれば、こ

   の言葉は1970年代後半から小説や映画ー】!!

もが!

な、なんじゃー!!

びっくりして彼女の口を塞いだ!

恐る恐る……

「ジト目なんてマイナーな言葉、よく知ってるね?」

サチは首をかしげると、

「『ジト目』って何?」

「え? 今あなたが詳しく教えてくれたじゃない?」

サチはハテナ顔だ……


ネロが口を挟む

「ぼく、どうしていいかわかんないよ~」

ネロは素直でいい子だ。

私、アンヌ、クララが孤児院を出た後、年長は2歳下のネロ一人となる。

2年前の流行病以降、孤児は増えていない。今は徐々に孤児の人数が減っているところだ。

――そんな中、ネロはとても気を張っていた。

「クララおねえちゃんがいなくなったら、ぼくがみんなの面倒をみなきゃならないんだ。」

私がいるよと言うと、首を振り、

「ぼくがクロエおねえちゃんのフォローもしなきゃいけないんだ……」と暗い顔をされたことがあった。

(おいい!)

「サチちゃんまで問題児なんて……」絶望している。

私はネロの肩に手を置いて、

「大丈夫!」ととりあえずサムズアップをしたところ、

「クララおねえちゃん……帰ってきて」と首を振られてしまった。

ネロのクララへの信頼が高すぎる件について!


とりあえずごはんだ!

私はサチの手を取ると、厨房に連れて行き、黒パンを一切れ手に入れた。

まだ夕食の時間には早いけど、とりあえず聞いてみる。

「サチ、おとといから何も食べてないんでしょ?

少しでいいから、パン食べてみる?」

サチは手渡されたパンをどうしていいかわからない様子だった。

「パンを」黒パンを指さす。

「口にいれて」サチの口を指さす。

「噛む」自分の口をカチカチさせてみる。

するとサチは、

パンを口に入れようとして大きすぎることに気がつき、

私が歯をカチカチしたことを思い出したのか、少しかじって飲み込もうとした。

えろえろえろ! 口から吐き出した。

私は心を鬼にし、

「食べなきゃだめ!」他に食べる物ないんだから!

「だめ?」

「すぐに飲み込まず、口の中で50回噛んでみて。柔らかくなるし、ちょっとだけ甘くなるよ。」

そう励ましてみる。

サチは言われたとおりにした。

「サチ、アミラーゼって酵素で食べやすくなるんだよ。」こんなこと言ってもわからないか……

ところがサチは目を瞠ると、何か喋ろうとし、

口の中の黒パンが邪魔なのか急いで飲み下すと、

  【『アミラーゼ』とは、膵液や唾液に含まれる消化

   酵素。グリコシド結合をー】!!

もが!

またかー!!

彼女の口を塞いで、恐る恐る……

「アミラーゼにも詳しいんだね。もしかしてサチって『リケジョ』?」

  【『リケジョ』とは、ー】!!

もが!

今度は素早くとめたよ。


今大事なことは、ウィキじゃなくこの子にごはんを食べさせることだ。


夕食時に、サチの隣で新首脳会議を開催した。

私と、ネロと、ネロの一つ年下の女の子オフェリーも召喚した。

ネロだと女の子部屋のフォローが難しいからね。

「サチと話してみてわかったよ。この子は赤ちゃんだと思ったらいいと思う。」

ネロ「えーー」

オフェリーは、すぐ飲み込んだ。

「わかった。体は大きくても中身は赤ちゃんなのね。

それなら大丈夫。小さいこのお世話は慣れているわ。」

おぉ、こういうことは女の子の方が話が早い。

「言葉をおぼえ始めた赤ちゃんだと思って、はっきり、一つ一つの言葉を伝えればわかるみたいだよ?」

「うん、大丈夫!」

「あと、変な言葉をいきなりしゃべり出したら、口を「もがって」やれば大丈夫!」

オフェリー、サンキュー!


________________________________________


私 「サチ、夜眠れていないの?」

サチ 「目を閉じる。意識失う。生命終了……」

私はソフィさんのことを思った。

「私が一緒に寝てあげるから大丈夫。命は終わらないよ」

サチの隣で横になる。

「ほら、私の腕に手を回して」

サチは言われたとおりにする。

「頭をなでてあげるから、目を閉じなさい」

サチは言われたとおりにする。

「おやすみ、サチ」


挿絵(By みてみん)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ