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チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project


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20/23

020 魔法院に向けて

「クロエちゃん、何かあった?」

エピソード018でクロエが歌っています。聴いてね!

https://www.youtube.com/watch?v=WN2IvDfrpPU

『魔法選別の儀』が終われば、魔法院入学まで残り2週間。

私たちは急いで入学準備を始めた。


バルディーニが私に言う。

「お前は研究対象として観察を継続される代わりに、神殿での勤務が許されている。

その点に異存はないな?」

「はい」

反射的に答えてから、思う。

——どうせどこにも行く当てはないし……


「神殿の一室をお前の居住用に貸し与える。

食事は引き続き孤児院の食堂を利用して良い。

朝の奉仕、瞑想は神殿で行うこと。

その後魔法院にて授業を受けるように。

魔法院での授業後は、神殿での雑務を担うように。

基本的にはシスター・マルティーナの指示に従うこと。

また、私から指示がある場合は、私の命を優先するように。」


バルはそう言って、入学のための支度金と筆記具・紙の束を私にくれた。

私物と言えるものを何も持っていなかったから、入学手続や準備のため、これは正直助かった……


筆記具が手に入ったので、その夜神殿図書室で、ずっと頭に引っかかっていたことを整理することにした。


ここはやっぱり対偶証明法かな?

……落ち着け。

「私が何者なのか」を、確認するんだ。


命題「私が人である・ならば・生まれることができなかった(生後まもなく死んでいた)」に対し、


逆 :「私が生まれなかった(生後まもなく死んでいた)・ならば・私は人である」 →これは成立するとは限らない。


裏 :「私が人ではない・ならば・生まれることができた(生後まもなく死ぬことはなかった)」 →これも成立するとは限らない。


しかし対偶は必ず成立する。即ち、

……

……

……

対偶:「私が生まれることができた(生後まもなく死ぬことはなかった)・ならば・人ではない」


やっぱり。

私は人に似た「なにか」なの? 例えば……クローン、いや、中世的世界では、ホムンクルス?なの?

(!!!)

私は声にならない叫びを上げた。


________________________________________


今日は朝から外出許可をもらい、町にお買い物だ。

まず、助っ人に会いに行く。もちろん知り合いの大人と言えばソフィさんだ。


「どうしたの?クロエちゃん。朝からずっと元気ないよ?」

「心配しなくても、同級生はほとんど知り合いだ。アタシたちに任せとけば大丈夫だぞ。」

「ありがとう……」

私は力なく答えた。


ソフィさんは気合いが入っている。

「ヴィクトールさんから、アンヌちゃんの支度金は預かっているわ。

クララちゃんもアドリアンさんとイリスさんの遺産があるからね。

そして、クロエちゃんは私から出させて欲しいの。ね、お願い。」


「いえ……そういうわけには……神殿から支度金を頂きましたので……」

ソフィさんも私の沈んだ様子に気がついた。

「クロエちゃん、何かあった?」

「いろいろ心配事ができてしまって……」

「あら…………私に話してみない?

できることは何でもしてあげるわ。」


アンヌが心配する。

「クロエが落ち込むなんてあんまりないから。ほんとに何があったんだよ?」

クララ うんうん

「まだ朝早いわ。お店に行く前におうちにいらっしゃい」ソフィさんは誘ってくれた……


裏通りのアパルトマンの3階。

リビング、ダイニング、キッチンが一緒になった大きい部屋と寝室。それにシャワーやトイレ。

ここで死別した旦那様とソフィさん、そしてリナちゃんと暮らしていたそうだ。

「クロエちゃん、いつも元気なのに……具合が悪いわけではないのね?」

「……はい」

「何でも良いから、思いついたことをお話しできる?」

クララ「昨日バルディーニ様からこれからの神殿での暮らしを教えて頂いていたようでしたが……」

アンヌ「でも、ペンと紙をもらって『これで整理ができる』って張り切ってたよな?」

……

アンヌの言葉がきっかけになった。

「うん……これまで疑問に思ってたことを……紙に書き付けたの……」

「うん、うん」ソフィさん

「……

魔臓がないのになんで生きていたのか、とか……」

「うん」

「孤児院で目が覚めるまでの記憶……

まったくないの……」

「わたしに、お、お母さんていたのかな、と、とか」

涙があふれてくる

「浮かんでくるのは、へ、変な言葉ばっかり!」

ソフィさんが私も手を握る

「か、神さまのことも、し、信じてない!!」

ソフィさんの手に力がこもる

「わ、わたしって、き、きっと! 「ひと」じゃないんだ!!」

ばっ ソフィさんが私を抱きしめた。

「クロエちゃんは私の娘です!」

「何の心配もないのよ」


私は、ただ泣きじゃくった。


________________________________________


気持ちが落ち着くまで大分時間がかかった。


4人で町の古着屋へ行き、制服に当たるローブを2着ずつ買った。

制帽も買った。(アメリカ学生の四角い帽子、「モルタルボード」のようなもの)

中に着るシャツやスカート、下着も買った。

それに靴と靴下!孤児院・神殿では裸足がつらかったので、これは本当にうれしかった。

筆記具・ノート(のようなもの)も買った。私も少し買い足した。


三人分の買い物はかなりの量になった。

ソフィさん、

「私も昔入学したけど、他に何が必要かは思い出せないの。

入学したら、またすぐここにおいでなさい。

すぐに買い足すからね」

私たちはソフィさんがいてくれて、本当に助かった。

「ローブは卒業生のお下がりだから、あなたたち用に裾上げが必要ね。

今日はアパルトマンに置いて帰りなさい。

3日くらいで、全部直してあげるわ」

クララ「申し訳ないです。裾上げなら自分でやりますので」

「魔法院の入学準備は親の仕事よ。

三人とも私に任せてね!」

……

「それと……クロエちゃんは今日はここに泊まっていきなさい。」

「ぜひそうさせてもらえ」アンヌ

「孤児院には私たちが連絡しますから大丈夫です」クララ

「そうそう、入学準備の品揃えで時間が足りなくなったって言っとくよ」

いいのかな?

もじもじ

「……いいの?」

ソフィさんはがっちり私の手を掴んでいる」

「帰ってはいけません」

「ありがとう」(おかあさん)


________________________________________


アンヌとクララは大きく手を振って帰って行った。


私はシャワーを使わせてもらった。

暖かい


一緒にご飯を作った。

暖かい


一緒にごはんを食べた。

暖かいしとてもおいしい


「ベッドが一つしかないの。昔は親子三人で寝ていたからね。

クロエちゃんと二人でも大丈夫よ~」

一緒のベッドで眠った。

暖かいよ。おかあさん。

「いままで大変だったのね」おかあさんは、私を抱きしめてくれた……


挿絵(By みてみん)

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