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チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project


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18/21

018 ♪この世界は、変だ~♫

「ふんふん、鼻歌が出てくるよ……」

新曲作りました!このエピソードでクロエが歌っています。聴いてね!

https://www.youtube.com/watch?v=WN2IvDfrpPU

「………………」

「………………」

「………………ん、ん」 とバルディーニ。


神殿の奥、主賓室の中。


司祭 「………………」

パオロ 「………………」

バルディーニ 「クロエについては、『魔法選別の儀』において、属性魔法は授からなかった………

そう記録してかまわないでしょうか。」


司祭は、ふぅーっと大きくため息をつき、

「確かに。儀式上の判断はそうなるかのぅ………」

パオロ

「しかし! あの光は………いったい、何だったのでしょうか………?

私はまだ、震えが止まりません………」

バルディーニ

「おそらく、単純なマナの大量放出ではないかと推測されます」

「この孤児院においては、王都教区の命を受け、昨年秋から孤児たちのマナ値を計測しております。」

と、計測結果を取り出した。


「マナ値の増加傾向と、説話の時間、説話の内容等の相関関係を求め、今後の魔法関連施策に反映するための資料となりますが………」

バルディーニはクロエの計測結果を指し示す。


「クロエのマナ値は、当初生存が危ぶまれるほどの低域帯にありました。

肺胞における空気中のマナの体内摂取も非常に低調でしたが、その後、致命的なことに魔臓の欠落が確認されました。」

「なんと!」 と、司祭。

パオロ 「それで、『魔法選別の儀』の年齢になるまで生きていられたのですか!」

バルディーニは平然と続ける。

「その後、偶然にも町中で一人の少女の死亡が確認されたため、急遽魔臓移植手術を実施することになり、

司祭 「待て!」 と声が大きくなる。

「魔臓移植手術じゃと?」 「そんな話は聞いておらんぞ!」 とバルディーニを睨む。


「魔臓移植手術は王都教区の中枢での研究です。本来の目的は、戦闘等で魔臓に重大な損傷を受けた人員の生存を確保するための研究です。」

「近年、王国国境に出現が増加している、マナ異常種との戦闘における生存率向上を目的としておりますが、研究段階にあり、まだ公に発表されておりません。」

「今回は緊急性があり、かつ極秘情報であるため、報告は控えさせていただきました。

お二人にはやむを得ず明かしましたが、極秘情報であることをくれぐれもご理解願います。」

「うむ」「わ、わかりました」


バルディーニは続ける。

「話がそれましたが、魔臓は無事定着し、クロエの移植手術は成功したと判断しております。」

「その後、クロエのマナ値は測定器の限界を超えるまでに上昇しております。」

パオロ 「その少女の魔臓が高い機能を持っていた、ということなのか……?」

「いえ、ご承知の通り、マナ値の低下は身体の抵抗力を落とします。

そのため、子供や老人の死亡率は高い。

この少女も直接の死因は風邪が重症化したためですが、遠因は魔臓のマナ貯蔵能力の低さが抵抗力を低め、衰弱死という結果につながったと考えられます」

二人は事実の消化に精一杯の様子。

司祭 「では、先ほどの現象が説明つかないのではないか?」


バルディーニ

「そのとおり。従って、魔臓移植研究のためにも、マナ値向上施策のためにも、

今後もクロエの経過観察が必要でしょう。」

パオロ 「では、具体的にどうすればいいのでしょうか? 属性魔法が未発現では、魔法院で教えることが叶わないのではないかと……」

……

………

…………

その後も会議は続いていった。


________________________________________


一方、

祭壇下、身廊(堂内中央部)では、クロエが目覚めていた。

倒れた場所に近い座席に移されていたようだ。

「おお…知ってる天井パート2だ…」

「クロエ、大丈夫?」 あ、アンヌだ。

「私寝てた?」

「うん、瞑想の途中で、倒れちゃったみたいなの。」 クララ

「気分はどう?」

私 「うん、すっきり。どれくらい眠ってたの?」

クララ 「ほんの少しね。まだ、10分くらいかしら?」

私 「みんなは?」

クララ 「司祭様、バルディーニ様、魔法院の先生はこの奥で打ち合わせ中なの。」

アンヌ 「クロエがすごかったからな~。色々決めなきゃいけないのかもね!」

「そうだ!私の魔法属性は?」

アンヌはクララを見る。

「わかりません。真っ白い光があふれたので、どの属性か奥で判定されているのだと思います……」


「シスターもいないね」

アンヌ「孤児院の方に帰ったよ。ほら、ちびたちの世話があるだろ?」

「そうだ!あたしとクロエは、会議が終わるまで神殿の奉仕をしてろってさ。」

「あ~ さっきおしゃべりしてたの睨んでたから。罰ってことかな?」

クララ 「私も一緒にやりますね!」


みんなで燭台磨きだ。

燭台を柔らかい布で乾拭きし、ホコリや汚れを取り除く。

ふきふき。

磨き剤を布に適量取り、燭台を包み込むように優しく磨く。

ごしごし。

あ~、なんか癒やされるね。

この単純作業、けっこう好きかも。

マナ、いっぱい出たからな……なんか便秘が解消された後みたいに快調だ!


ふんふん、鼻歌が出てくるよ……

♫(この世界は、へーんだ。炎がただ、燃え~る)

アンヌの炎かっこよかったよ。

♬(水は流れ星みたい、土が動き出す、風が囁く)

クララは凄かったな!

♫(私の頭の中、周期表が、さーわぐ!)

水は原子で良いって言ったのにさ!

♬(昔の神話が、答えのフリをする)

アルテミス様大目に見てよ~


挿絵(By みてみん)


いつのまにか声になってた。

♬♬♬「嘘だね、嘘だね、魔法の名前で、全部を包んでる」

♬♬♬「嘘だね、嘘だね、四つに分けたら、安心できるだけ!」

ばっ!アンヌに口を塞がれた!

(ばか!神殿でなんて歌うたってんだ!)

(クロエちゃん、「しー」っです。神さまを軽んじちゃだめ!)

(あ、ごめんね。)

(詳しくは夜の女子会でな。)

(クロエちゃん……気をつけてね。ほんとにハラハラしちゃうよ……)


________________________________________


神殿奥のドアが開いた!

バルが口を開く。

「シスターは?」

クララ「孤児院に行かれました」

「わかった。

クロエよ、祭壇の手前で跪き、祈りの姿勢をとりなさい」

あ、「はい」


「司祭殿、シスター・マルティーナには私から後ほど伝えます……

『魔法選別の儀』の完了をお告げください。」


司祭は祭壇の定位置につき、厳かに述べた。

「クロエは、残念ながら、どの主神からも属性魔法を授けられなかった!」

(あー やっぱりそうなるか~)

「属性魔法を授からないものは、農場にて労働奉仕することが決められておるが、

これは、マナによる社会奉仕が望めぬための代替処置である!」

「クロエの場合、マナ自体は多量に発動が望めるため、

魔法院にて聴講生となることが認められた!」


魔法院教師パオロが補足する。

「え~ 風の属性魔法の中には、己の体内のマナを風の力で他者に譲渡する魔法があります。

クロエには、この魔法を取得し、他の魔法師にマナを供給する可能性が認められました。」

「なお、魔法院では、学生は寮に入り、三年間に渡って集団生活を行い、公私ともに魔法師としての素養を身につけることが義務づけられていますが、聴講生は今回特例として設置するものとなります。

従って、クロエは、神殿から魔法院に通院することと致します。」


さらにバルディーニ

「お前は孤児院から神殿に移り、神殿業務の補助を担ってもらう。

魔法院の勉学のため、引き続き神殿図書室の使用は続けてかまわない。

(にや)

「また、今回の事例調査のため、今後も10日おきにマナ値調査は継続する。」

(あー こりゃ、バルの魂胆だね。)


司祭

「これにて『魔法選別の儀』を終了する!

一同解散!」


こうして、波瀾万丈の儀式は終了した。


このエピソードでクロエが歌っている曲はこちら。聴いてね!

https://www.youtube.com/watch?v=WN2IvDfrpPU

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