012 協力支援金
「落ち着く前に金の話をすれば、ソフィさんもいい気はしないだろう……」
第1クール後半の主題歌はこれでいこうと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=e2zGdYU4L8k
数日後、
神殿の一室。
司祭とバルディーニ助祭が同席している。
衛士長であるヴィクトールの前には、小さな革袋。
「これは……?」
「協力支援金です」
司祭が答える。
「ヴィクトール殿は、亡くなったお子さんのご家族と親しくされていたと聞き及んでおります。
申し訳ありませんが、こちらをお渡し願います」
ヴィクトールは黙り込む。
……
「…………承りました」
革袋を手に取った瞬間、
ヴィクトールは思ったよりも重いと感じた。
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孤児院に一人の客が来た。
「あれ?父ちゃん、どうしたの孤児院まで」
ヴィクトールは衛士長だ。
町の門衛を統括しているが、それだけではなく、普段は門衛は部下に任せ、この地域全体の境界門で警備についている。
そのため、2年前母親が死亡した際に、アンヌの養育が問題となった。
家族ぐるみで親しくしていたクララの両親も同時に死亡してしまい、クララの孤児院入りが決まった際、アンヌも頼み込んで孤児院に入れてもらった経緯がある。
「めずらしいね、町に戻るの。
しばらくいられるの?」
「おう!アンヌ、元気にしてたか?
その件だが、わりぃ、慌てて帰ってきたから、また戻らなきゃいけねえ。」
「えぇー!せっかく会えたのに!」
「ほら、リナちゃんが死んじまったって聞いてな……
もっとも葬式には間に合わなかったがな……」
「そう…………おばさんも一人になっちゃうね……」
「ソフィさんには会ってきたが……大分気落ちしていたな。」
「でもなんでここに?普段はアタシからうちに行くのに」
「司祭様に呼ばれたんだよ、今聖堂の方でお会いしてきた。」
「へー、私たち、ここに2年いるけど直接話したことないよ。」
「なんか、協力支援金という名目の金をソフィさんに渡してくれって、金を預かってきた。」
声を潜めて、(なんかあったのか?)
「うん」
アンヌも声を潜めた。
(なんかね、リナちゃんの魔臓をここにいる女の子に移植したんだよ)
(隠さなきゃいけないことなのか?)
(うーん、わかんない。けど、おおっぴらにすることじゃないと思う)
ヴィクトールは声を戻すと、
「まあ、気持ちが落ち着く前に金の話をすれば、ソフィさんもいい気はしないだろう……様子を見て渡すよ。」
「お前の『魔法選別の儀』はいつになるんだ?延期になったんだろ?」
「うーんわかんない。来年になっちゃうかも」
「お前の場合は、金払って孤児院に入れてもらってるんだが、養育費もう一年払わなくていいのか?」
「それはいいみたい。なんかねー、王都教区の偉そうな助祭の研究のためなんだって!
だから延長期間のお金は、そこから出るらしいよ~」
「この!『助・祭・様!』
助祭様のことを悪くいうんじゃねえ!」
と、ヘッドロックをかましてきた!
「イタイ、イタイ!」
……
…………
親子の交流?のあと、ヴィクトールは帰って行った……
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その日の夜。
「ねえ……クロエ、いつ戻るんだろ」
アンヌの声は小さい。
「……わからないよ」
クララは答える。
アンヌ 「でも、生きてるよね?」
クララ 「手術後会えていないけれど、失敗なら孤児院がこんなに静かなままではないと思う」
そのとき、クロエが戻ってきた。数日ぶりだ。
ただ、クロエは深い眠りについたままだ。
アンヌ「……ちゃんと、息してる」
付き添ってきたバルディーニ助祭は、
「容態が回復した。
これから2~3日ここで様子を見る。
徐々に睡眠魔法の強度を下げるので、
目覚めたら呼ぶように。」
必要なことのみ話し、去って行った。




