010 緊急手術
「この中世チックな世界で、臓器移植手術を受けろというの?」
第1クール後半の主題歌はこれでいこうと思います。
https://www.youtube.com/watch?v=e2zGdYU4L8k
それは一月も終わり頃。
私たちが寝静まっていた夜中、バタンとドアが開けられた。
そこに立っていたのはバル。
「クロエはいるか!」
?
「ふぁい」なんでバルがいるの?
バルはつかつかと部屋を横切ると、おもむろに私を立たせ、
「こい」
と一言。
後ろに付き従っていたシスターは涙目だ。
ぐいっと引っ張られ、引きずられるように部屋を出た。
シスター
「アンヌとクララは子供たちを寝かしつけなさい!」
________________________________________
神殿には急ごしらえのベッドが二台設えられており、そこには少女が……眠っている?
アンヌが駆け寄ってきた!
「リナ! リナじゃない! どうしたの?!」
バルは低い声で言った。
「その少女は既に死んでいる。」
クララもいた。震える声で 「……どういうことですか……! あなたが何かしたのですか!」
怒りの声だ。
アンヌも睨んでいる。
「その少女は、本日夕刻に息を引き取った。
病からくる衰弱死だと聞いている。
私も医師の連絡を受けた後、再度診察したが、脳の死、心の臓の停止、血液およびマナの循環が完全に停止しており、完全な死亡状態にあると言える」
「だが、お前たちも魔法院に進学すれば習うが、魔臓はマナを排出するまで時間がかかるため、まだ半死状態にある」
「……したがってだ」
「まって!」
次の言葉が判ってしまったクララが叫ぶ! 「リナを切り刻むつもりなの!!!」
……
「そうとも言える」
「…………許せない!」
アンヌはリナに縋って、ただ泣いている…………
バルは言う
「お前たちがとやかく言う資格はないが、一応言っておこう……
このリナという少女が生き返ることは既にない……
しかし、クロエという死にかけの少女を救うことはできる。
死者を一人にとどめるか、それとも二人に増やすのか。
それが、今この場で選べる唯一の選択肢だ。」
「!!!」
クララ、アンヌ
……
二人はシスターに連れられ、神殿を去った…………
________________________________________
リナちゃん、ごめんね。
でも、私にも選択肢はなさそうだ。
既に隣のベッドに拘束されている……
リナちゃんへの申し訳なさも感じるけれど、
その前に、(ごくっ)
この中世チックな世界で、臓器移植手術を受けなければならない事態で
恐怖に塗り込められていく……
神殿の石床が、やけに冷たそうに見えた。
バルは
手術器具らしいものを並べ、さらに
「ふむ。スリープの強度は最大で行くか……
術後のキュアは初回は最大値で、経過を見て強度を変えて重ねがけする必要があるな……それから……」
やめてー
お前ろくにやったことないだろー
人体実験かよー!
ふいにバルが振り向く。にや。(笑顔が怖いよー)
「水よ…………スリープ!」
そのあとの意識はない。
________________________________________
幕間
神殿提出用緊急報告書(写)
提出先:王都教区 神殿学術局
提出者:王都教区助祭 バルディーニ
件名:緊急医療介入およびマナ循環改善処置について
対象個体識別符号:K-07(通称:クロエ)
________________________________________
Ⅰ.発生経緯
対象個体K-07において、
生命維持に必要な最低限のマナ循環量を下回る兆候を確認。
当該状態は、短期間で致死的状況に移行する可能性が高いと判断した。
同日、町内において未成年個体一名の死亡を確認。
当該個体において、魔臓機能が一時的に保持されている状態を確認した。
________________________________________
Ⅱ.対応内容
神殿医療規範第七条
「例外的処置(緊急時)」に基づき、
対象個体K-07に対し、魔臓移植手術を実施。
当該処置は、
対象個体K-07の生命維持を目的とする緊急措置である。
________________________________________
Ⅲ.術後初期観測
•マナ循環の再開を確認
•拒絶反応は現時点では未確認
•生命兆候は安定傾向にある
なお、移植された魔臓については、
長期的な適合性および影響について、継続的観測を要する。
________________________________________
Ⅳ.考察(暫定)
対象個体K-07は、
従来のマナ発現理論に完全には適合しない特異例である。
今回の処置が、
一時的な延命措置であるのか、
あるいは恒常的な循環改善につながるのかについては、
現時点での判断は保留とする。
________________________________________
Ⅴ.結論
本件は、緊急処置としては成功と判断する。
ただし、
当該事例は通常の『魔法選別の儀』基準に照らした評価が困難であり、
今後の処遇については、継続観測結果を踏まえた判断を要する。
________________________________________
Ⅵ.備考
本報告書は、緊急対応後の事後提出である。
詳細な検証は次回定期報告にて行う。
以上。
________________________________________




