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チートなんてない!(連載)  作者: ayane_project


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001 プロローグ:アンチマジック宣言

魔法が当然とされる世界で

ひとりの少女が「それは本当に魔法なのか?」と

疑ったところから始まる物語です。

物語はまず、世界が壊れる瞬間から描かれます。

主題歌をどうぞ

https://www.youtube.com/watch?v=EVh1A4dDRSI

挿絵(By みてみん)

最初に消えたのは、火だった。


魔法兵が掲げた聖杖の先で、

赤い炎が生まれかけ——

そして、何も起きなかった。


ざわり、と空気が揺れる。

信じられないものを見る視線が、一斉に私へと向けられた。


「……何をした」

神殿騎士の声は、かすかに震えていた。


私は、何もしていない。

ただ——信じなかっただけだ。


ここは聖堂。

孤児院の子供たちが神に選ばれる

「魔法選別の儀」の場。

火、風、水、土。

神はそのいずれかを与え、

選ばれた子供は祝福され、

選ばれなかった子供は——消える。


私の最初の友達、サチもそうだった。

マナを感じない。

魔法の才がない。

それだけの理由で、首輪をはめられ、農奴として連れ去られた。


それが、この世界の“正しさ”。


「サチを返して」

思ったより、冷たい声が出た。


「神の裁定に逆らうつもりか」

床を踏み鳴らすと、石壁がせり上がる。


——でも、私は知っていた。

もし、信じる力が魔法になるのなら。

疑う力は、

それを否定する力になる。


「……魔法じゃない」

強く否定した瞬間、石壁は途中で崩れ落ちた。

石は“壁であること”を忘れ、ただの瓦礫になる。


「ば、馬鹿な……!」

強化兵が突っ込んでくる。

筋力を高め、反射神経を引き上げる魔法。


——そんなこと、あるわけがない。

私は彼を“強化されていない人間”として念じた。

次の瞬間、

兵は自分の脚に躓き、床に倒れ込んだ。


聖堂が、静まり返る。

「異端者だ!」

「思想汚染だ!」

「拘束しろ、処刑台へ——」


叫び声の中で、私はサチの手を掴んだ。


細くて、冷たい手。


「行こう」

「……ん」

私たちは走り出す。


炎は燃えず、

風は吹かず、

水は形を保てず、

土は崩れる。


信じられないものは、存在できない。

それが——

アンチマジック。


背後で大聖堂が崩れ落ちる音を聞きながら、私は思った。


もしこれが罪なら。

もしこれが異端なら。

——私は、この世界そのものを否定する。


そして。

時間は、物語の始まりへと遡る。

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