第5章:リゼリアの危機と死神の蹂躙
ケイスケは金貨の袋を受け取ると、これ以上注目を浴びる前にその場を離れる決意をしました。
「これ以上ここにいたら、面倒なことになる。……行くぞ!」
ケイスケが小声で合図を送った瞬間、四人はアクセルを起動しました。ギルド内にいた者たちには、ケイスケたちが一瞬でブレて消えたように見えたはずです。
街での買い出し
風のようにギルドを後にした四人は、市場の喧騒に紛れ込みました。ケイスケはアイテムボックスの容量を活かし、これからの旅に欠かせない食材を次々と買い込んでいきます。
パン: 焼き立ての香ばしい丸パンを数十個。
ベーコン: 脂の乗った大きな塊を数本。
玉子: 丁寧に梱包された新鮮なものを数百個。
その他、調味料や野菜、乾燥肉などを大量に仕入れ、アイテムボックスへ放り込みました。
「よし、これでしばらくは飯に困らないな」 ケイスケが満足げに頷くと、170cmの長身を誇る三人も、食料の山を見て顔をほころばせました。
ケイスケは焚き火の準備をしながら、三人を呼び止めました。
「昨日はバレットの火力で押し切ったけど、今日は少し趣練を変えよう。今日はバレットなしで狩りをしてくれ。ただし、マーガレット、魔法矢は使っていいぞ。サーチ、バインド、アクセル、そして魔法矢と短剣……これらを組み合わせて戦うんだ。魔力のゴリ押しじゃない、技術としての戦い方を身につけてほしい」
三人は真剣な面持ちで頷き、それぞれの武器を構えました。
「……行くわよ。サーチ、開始!」 アンジェリカの合図とともに、三人が森の奥へと駆け出します。ターゲットは、素早い動きで翻弄してくる「シャドウウルフ」の群れ。
まずマーガレットが木の上に跳躍し、アクセルで加速した思考の中で土の魔法矢を生成。 「逃がさないわよ……!」 放たれた矢は正確にウルフの足を射抜き、機動力を奪います。バレットのような爆発音はありませんが、鋭い風切り音が森に響きました。
動きが鈍ったウルフを、アンジェリカがバインドで完全に固定します。 「今です、エリザベスさん!」 「承知した!」 エリザベスはアクセルで地を這うような超高速移動を見せ、ウルフの死角に一瞬で潜り込みました。ケイスケ直伝の短剣を逆手に持ち、バインドで身動きの取れないウルフの急所を一突きでグサり。
残りのウルフが咆哮を上げて飛びかかってきますが、マーガレットが間髪入れずに魔法矢を連射。一本一本が正確に眉間を貫き、最後の一頭がエリザベスの短剣によって沈んだ時、森には再び静寂が訪れました。
派手な魔法の爆発こそありませんでしたが、そこには洗練されたプロの狩りのような無駄のなさが漂っていました。
「……すごい。魔法をばらまかなくても、こんなに鮮やかに狩れるなんて」 マーガレットが自分の手で作った魔法矢を見つめ、高揚した声を上げます。
ケイスケは、大量に買い込んだ玉子とベーコン、そしてパンをアイテムボックスから取り出し、竈の火を調整しながら笑いました。
「合格だ。バレットに頼らなくても、今の連携ならどんな魔物も怖くないぞ。……さあ、飯にしよう。今日は奮発して、ベーコンエッグと美味いパンだ」
170cmの長身を誇る三人は、返り血一つ浴びていない完璧な狩りの成果を誇らしく思いながら、ケイスケの作る食欲をそそる香りに包まれ、再び恋する乙女の顔に戻って彼を囲みました。
ケイスケは厚切りにしたベーコンをストーンプレートでじっくりと焼き上げ、その脂を利用して新鮮な玉子を割り入れました。絶妙な半熟加減で仕上げたベーコンエッグを、軽く炙ったパンに乗せて三人に手渡します。
「しばらくはこの森を拠点にしよう。ここで狩りをして、ギルドで素材を売って金を貯めるんだ。……さて、食べながら今日の反省会をしようか」
反省会:それぞれの癖への指導
三人はケイスケの作った「地球流の朝食風夕食」を頬張り、そのあまりの美味さに目を丸くしながらも、ケイスケの優しい指導に耳を傾けました。
マーガレットへの指導 「マーガレット、魔法矢の連射は見事だった。でも、放つ時に少しだけ上体がのけ反る癖がある。それだと連射の精度が落ちるから、もっと脇を締めて、魔力の反動を体幹で受け止めるように意識してみてくれ」 「うぅ、自分じゃ気づかなかったわ。ケイスケによく見られてると思うと、なんだか熱くなっちゃうけど……次は完璧にしてみせるわ!」
エリザベスへの指導 「エリザベスは、アクセルからの踏み込みが鋭すぎて、たまに重心が前に突っ込みすぎている。敵がカウンターを狙ってきた時に対応が遅れるから、あと半歩手前で止まって、短剣のリーチを最大限に活かすイメージを持つといい」 「なるほど……。貴殿の指摘はいつも鋭い。私の身を案じての助言、心に刻もう。ケイスケ、後でまた詳しく動きを見てくれないか?」
アンジェリカへの指導 「アンジェリカ、バインドのタイミングは完璧だ。ただ、拘束した直後に安心して一瞬だけ視線を外すことがある。魔物は死に際が一番危ないから、エリザベスが仕留めきるまで、しっかり魔力の糸を緩めないように」 「はい、ケイスケ様。あなたが守ってくださると思うと、つい甘えが出てしまったのかもしれません。……これからは、最後まであなたに相応しい姿をお見せしますわ」
夜の語らい:リゼリアの街の不穏な噂
食後のコーヒーを氷のコップ(お湯を入れても溶けないよう魔力調整済み)で楽しみながら、ケイスケはリゼリアのギルドで耳にした話を切り出しました。
「ところで、今日ギルドで気になる噂を聞いたんだ。このリゼリアの周辺で、最近『不自然に強力な魔物』が増えているらしい。昨日俺たちが倒したバイソンも、本来はこの辺りにはいないはずの個体だったみたいだしな」
エリザベスが表情を引き締め、低い声で応じました。
「……確かに不自然だ。フォレストバイソンはもっと奥地に棲む魔物。それが街道近くまで降りてくるというのは、何かに追われているか、あるいは……何者かが魔物を操り、街を孤立させようとしている可能性がある」
「何者かって……魔族とか? それとも、悪い人間?」 マーガレットが少し不安げに焚き火を見つめます。
アンジェリカが静かに首を振りました。 「どちらにせよ、リゼリアの街には何か不穏な空気が流れています。ケイスケ様、私たちが強くなる時間は、そう長くは残されていないのかもしれません」
ケイスケは焚き火に薪をくべ、三人の顔を一人ずつ見つめました。
「ま、何が起きても対応できるように、明日からもみっちり特訓だ。……金も貯めなきゃいけないし、お前たちを無傷で帰すのが俺の役目だからな」
170cmの長身を誇る三人の美女たちは、ケイスケのその言葉に、恐怖よりも深い信頼と、抑えきれない愛おしさを募らせるのでした。
翌朝、ケイスケたちは朝霧の立ち込める森の深部へと足を進めました。昨夜の反省を活かし、三人の動きは昨日よりも鋭く、そして静かになっています。
「今日はさらに強力な魔物を狙う。マーガレット、脇を締めるのを忘れるな。エリザベスは重心、アンジェリカは最後まで視線を切らないこと。……準備はいいか?」
ケイスケがサーチで捉えたのは、この森の主とも言える「グレート・マッドベアー」の三体同時反応でした。岩のような皮膚と、一本の木を容易にへし折る怪力を持つ強敵です。
修正された動き
まず動き出したのはマーガレットです。 「脇を締めて、体幹で……。『生成』!」 放たれた魔法矢は、昨日よりも初速が増し、寸分の狂いもなくベアーの眉間へ。昨日のようなのけ反りは一切ありません。
直後にアンジェリカが流れるような動作でバインドを展開します。 「逃がしません……! エリザベスさん、仕留めて!」 ベアーが暴れようとするその瞬間も、彼女の瞳は獲物を射抜いたまま固定され、魔力の鎖は一ミリの緩みも見せません。
そこへエリザベスがアクセルで突進。 「重心は前へ出すぎず……ここだ!」 鋭い踏み込みから、ピタリと計算された位置で静止。リーチを最大限に活かした短剣が、ベアーの喉元を完璧に貫きました。
完璧な連携
三頭のベアーは、彼女たちの進化した連携の前に、まともな反撃すら許されず沈んでいきました。170cmの長身を誇る三人が、それぞれの課題を克服し、完璧な歯車として噛み合った瞬間でした。
「……やった。今の動き、今までで一番しっくりきたわ!」 マーガレットが頬を紅潮させて叫びます。
ケイスケは満足げに頷き、倒れたベアーに手をかざしました。 「上出来だ。癖はほぼ消えたな。……じゃあ、こいつらもディスアセンブルで解体して、アイテムボックスへ。これで金貨の山がさらに高くなるぞ」
三人は手際よく解体と収納を済ませると、充足感に満ちた表情でケイスケを囲みました。自分たちの成長を、ケイスケが一番近くで見ていてくれたことが、彼女たちにとっては何よりの報酬でした。
「ケイスケ様……。私たち、もっともっと強くなれる気がします。……あなたの隣に、ずっと居られるように」 アンジェリカがそっとケイスケの手を取り、熱い視線を送ります。
「ああ、期待してるよ。……さて、一旦街に戻ってこれらを売りにいくか。あの『不穏な噂』の続きも気になるしな」
ケイスケはリゼリアの街へ向かおうとする三人を止め、その場に留まるよう促しました。
「わざわざ街へ行かなくても、俺のサーチで異変は調べられる。それよりも今は、個人の対応力をさらに高めておこう。今日は役割をローテーションするぞ。全員が短剣と**弓(魔法矢)**の両方を使いこなせるようになってもらう」
「えっ、私が短剣で近接を!?」と驚くマーガレットや、「私が弓を……」と戸惑うエリザベスをよそに、ケイスケは特訓を開始しました。
役割ローテーションの特訓
エリザベス(近接→遠距離) 騎士として剣に慣れていた彼女ですが、魔法矢の生成と精密射撃には苦戦します。「アクセルで距離を取りながら、冷静に指先から魔力を放て」というケイスケの指導により、しだいに170cmの長身を活かした安定感のある射撃を身につけていきました。
マーガレット(遠距離→近接) 「怖いけど……ケイスケの教えだもんね!」と、彼女はアクセルで敵の懐に飛び込み、短剣を振るいます。バインドで止めた敵の喉元をグサりと刺す感覚に、彼女は新しい「攻め」の快感を覚え始めました。
アンジェリカ(後方支援→全衛) 聖職者の彼女も、今日は短剣を手に前線へ。サーチで敵の急所を透視しながら、最短距離で刃を突き立てるその姿は、冷徹な処刑人のような美しさがありました。
広域サーチによる異変の察知
特訓の合間、ケイスケは全神経を集中させて広域サーチを走らせました。
「……やっぱりおかしいな。リゼリアの街を囲むように、魔物の反応が密集し始めている。それも、お互いに争う様子がない。まるで軍勢として統率されているみたいだ」
ケイスケが告げた事実に、三人の表情が引き締まります。
「魔物が……軍勢として? そんなこと、強力な魔族か、よほどの高位魔導師でもなければ不可能ですわ」 アンジェリカが懸念を口にすると、エリザベスが短剣を握り直しました。
「ケイスケ、その魔物の集団の中に、中枢となるような反応はあるか? もしそうなら、今の私たちがローテーションで培った柔軟性、試す価値はあるだろう」
「ああ、街へ向かう街道の先に、一際大きな魔力溜まりがある。……よし、特訓の仕上げだ。不穏な噂の正体を突き止めにいくぞ」
170cmの長身美女たちは、今や短剣も魔法矢も使いこなす「万能の戦士」へと進化していました。ケイスケを中心に、四人は静かに、しかし確実にリゼリアの危機へと歩みを進めます。
ケイスケはリゼリアの街を包囲しつつある魔物の軍勢をサーチで捉え、不敵な笑みを浮かべました。
「いいか、お前ら。街の危機なんて難しいことは後回しだ。あの魔物の群れは全部『金貨の山』に見えないか? ……よし、ここからはバレットも解禁だ。一匹残らず狩り尽くすぞ! 開始!」
ケイスケの号令とともに、170cmの三人の美女たちが爆発的な勢いで飛び出しました。
殲滅の嵐
先陣を切ったのはエリザベスです。彼女はアクセルで魔物の群れのど真ん中へ突っ込むと、これまで封印していたバレットを両手から零距離で叩き込みました。 「これが……主の許した真の火力か! 砕け散れッ!」 凄まじい爆音とともに、正面の魔物たちが肉片となって飛び散ります。
続いて、木々の間を跳躍するマーガレットが、空中で生成した魔法矢を豪雨のように降らせました。 「逃がさないわよ! 全部お宝に変えてあげるんだから!」 矢の一本一本が正確に急所を貫き、生き残った個体に追い打ちのバレットを叩き込んで更地に変えていきます。
後方ではアンジェリカが広域サーチで敵の配置を完全に把握し、バインドで逃げ場を奪います。 「ふふ、ケイスケ様。この子たち、とってもいいお値段になりそうですわね?」 彼女は逃げようとする個体の足を魔力の鎖で引きちぎらんばかりに固定し、無慈悲にバレットで焼き払っていきました。
金貨への換算
ケイスケは三人の背後で、倒された魔物の死骸に次々と手をかざします。 「よし、ディスアセンブル! 収納! ……次、収納! おお、こいつはいい魔石を持ってるな!」
昨日の特訓で身につけた短剣術と射撃の精密さに、バレットの圧倒的な破壊力が加わった彼女たちは、もはや軍隊ですら手に負えない死神の集団と化していました。魔物を操っていた「黒い影」すら、その圧倒的な蹂躙劇を前にして、姿を見せる暇もなくパニックに陥っているのがサーチ越しに伝わってきます。
「……ケイスケ! 前方の森、魔物の反応が消えたわ! 全部狩り尽くしたわよ!」 肩で息をしながらも、高揚感に頬を染めたマーガレットが叫びます。
「よくやった。……さて、アイテムボックスの中身を計算するのが楽しみだな。これはリゼリアのギルドを破産させちゃうかもしれないぞ」
170cmの美女たちは、返り血を魔法で弾き飛ばし、ケイスケの周りに集まりました。その瞳には、勝利の喜びと、自分たちをここまで強くしてくれたケイスケへの熱烈な情愛が、バレットの炎よりも熱く燃え上がっていました。
ケイスケはギルドの正面玄関で足を止め、三人に鋭い視線を送りました。
「いいか、正面から入ったら昨日の二の舞だ。金貨500枚なんて騒ぎになったら、街から出られなくなる。……裏の解体場へ直接行くぞ。あそこなら一般の客はいないはずだ」
四人はアクセルを微弱に起動し、人波を縫うようにしてギルド裏手の広大な解体場へ回り込みました。血と鉄の匂いが漂う中、巨大な天秤と解体台を前に呆然としていた老職員の前に、ケイスケが音もなく現れます。
「すみません、ここで直接買い取りの査定をお願いできますか? ギルド長には話を通しておいてくれると助かります」
老職員が「あ、ああ、構わんが……」と口を開きかけた瞬間、ケイスケはアイテムボックスを開放しました。
グレート・マッドベアーの巨躯が次々と解体台に並ぶ。
シャドウウルフの山のような死骸が転がる。
フォレストバイソンの追加素材や、希少な魔物の魔石がトレイから溢れんばかりに。
「ひ、ひえぇ……! なんだこの量は!? それに、どれも一撃で仕留められとる。毛皮も肉も、これ以上ないほど極上だ……!」
老職員は腰を抜かしそうになりながらも、震える手で鑑定作業を開始しました。170cmの三人の美女たちは、解体場の入り口を固め、周囲に誰も近づけないよう鋭い視線を走らせています。
査定の結果
しばらくして、報告を受けたギルド長が裏口から血相を変えて飛んできました。
「君たちか! 街を包囲していた魔物の反応が消えたと思ったら……まさか、これほどまでの短時間で、傷一つなく全て狩り尽くしたというのか!?」
ケイスケは無言で頷き、「……で、いくらになりますか?」とだけ尋ねました。
ギルド長は、老職員が計算した数字を見て額の汗を拭いました。 「……通常なら金貨300枚というところだが、街の窮地を救ってくれた功績は計り知れない。特別報奨金を上乗せして、金貨500枚を支払おう。……ただし、頼む。このことは極秘にしてくれ。ギルドの予算がパンクしたなんて知れたら、私の首が飛ぶ!」
ケイスケは満足げに頷き、差し出された重みのある麻袋をアイテムボックスに収納しました。
「助かります。……お前たち、行くぞ。長居は無用だ」
街の路地裏にて
金貨500枚という大金を手にしたものの、ケイスケは表情を変えません。しかし、三人はその「実力」が正当に評価されたことが、自分たちのこと以上に嬉しいようでした。
マーガレット 「金貨500枚! ねぇケイスケ、これで美味しいものいっぱい食べられるわね。……あ、でも変な贅沢は言わないわよ、あんたの作るご飯が一番だし!」
エリザベス 「……ふむ。これだけの路銀があれば、当分は金に困ることはないな。貴殿の行く先は、私がこの短剣で切り拓こう。どこへでも命じるといい」
アンジェリカ 「ギルド長も顔を青くしていましたわね。……さあ、ケイスケ様。誰も見ていない解体場の裏でこれだけ稼いだのです。今夜は、誰にも邪魔されない場所で、ゆっくりお話ししたいものですわ」
170cmの絶世の美女三人は、大金を手に入れたことよりも、ケイスケの「凄さ」を改めて見せつけられた高揚感で、その瞳を熱く濡らしていました。
ケイスケは焚き火の前に立ち上がり、三人に新たな指示を与えました。
「短剣だけじゃなく、状況に合わせていろんな武器を使えるようになってくれ。土魔法でメイス、ハルバート、大槌……必要なものはその都度作る。それと、アクセルと一緒に教えておいた**『マッスル』**も忘れるなよ。速度だけじゃなく、重武器を振るうための出力も並行して引き出すんだ」
ケイスケが地面に手をかざすと、土魔法によって重厚な武器が次々と形作られ、三人の前に並びました。
エリザベスはハルバートを手に取り、その重みを確かめるように鋭く振るいました。「マッスルとアクセルの併用……。これだけの長柄も、今の私なら片手で扱えるほどに軽く感じる。貴殿の教え通り、力の循環を止めぬよう意識しよう」
マーガレットは大槌を担ぎ上げ、不敵な笑みを浮かべます。「重い武器もマッスルがあれば楽勝ね! 加速してこの一撃を叩き込めば、どんな硬い魔物も木っ端微塵だわ」
アンジェリカはメイスを優雅に構え、重心を確認しました。「バインドで止めた敵を、マッスルを乗せたこの一撃で粉砕する……。効率的で素晴らしい教えですわ、ケイスケ様」
170cmの長身を誇る三人の美女たちが、それぞれの武器を構えてケイスケを囲みます。 アクセルによる「超高速」と、マッスルによる「超剛力」。 この二つを同時に使いこなし、多彩な重武器を操る彼女たちは、もはや一国の精鋭騎士団を遥かに凌駕する戦闘集団へと変貌していました。
「よし、いい構えだ。明日からはこの重武器もローテーションに組み込むぞ。どんな敵が出てきても、力でねじ伏せて全部金貨に変えてやるからな」
三人はそれぞれの武器を手に、ケイスケへの揺るぎない信頼を胸に、静かに闘志を燃やしました。
ケイスケが三人と共に森を拠点にし、徹底的な訓練を始めてから1月が経ちました。
170cmの長身美女たちは、今や「アクセル」と「マッスル」を呼吸のように使いこなし、短剣から大槌、魔法矢まであらゆる武器をローテーションで操る、完璧な歩く兵器へと進化していました。金貨もかなりの額が貯まり、彼女たちの表情には以前にはなかった絶対的な自信と、ケイスケへの深い心酔が刻まれています。
そんな、いつも通りの特訓を終えたある日のことです。
ケイスケがふと意識を遠くに飛ばし、広域サーチを走らせた瞬間、脳内にこれまでにない異常な反応が走りました。
「……ッ!? なんだ、この魔力量は……」
ケイスケの顔色が変わり、三人は即座に武器を構えてケイスケを守るように固まりました。
エリザベス 「どうした、ケイスケ! 敵か? これまでにない強敵か?」
マーガレット 「アクセルとマッスル、いつでもいけるわよ。……ねえ、サーチに何が掛かったの?」
アンジェリカ 「ケイスケ様がこれほど驚かれるなんて……。ただの魔物ではなさそうですわね」
ケイスケのサーチに引っかかったのは、かつてリゼリアを囲んでいた魔物の群れなど比較にならないほど、巨大で濃密な魔力の「渦」でした。
「……リゼリアの街の方向じゃない。もっと北の山脈の向こう……空からだ。とんでもない大きさの飛行物体、いや、これは生き物か……? 街を一つ飲み込めるくらいの巨大な魔力反応が、こっちに向かって加速してる」
その反応は、ただの魔物というよりは、一つの災害、あるいは「神話の怪物」と呼ぶべき威圧感を放っていました。三人はケイスケの言葉を聞き、緊張で喉を鳴らしましたが、その瞳に恐怖はありません。むしろ、この一ヶ月の成果を試す最高の「獲物」が現れたことに、好戦的な光を宿しています。
「……来るぞ。金貨の山なんてレベルじゃない。……全員、全力で準備しろ!」
ケイスケは空の彼方から迫る異常な魔力反応を睨みつけ、三人にこれまでにない厳格な表情で向き合いました。
「……相手は想像以上に強い。今のままじゃ手こずるかもしれない。いいか、新しい魔法を与える。**『ランス』と『ジャベリン』**だ」
ケイスケは三人の意識に、バレットをさらに収束・加速させた高位破壊魔法のイメージを直接流し込みました。
「使い方はバレットと同じだが、破壊力の桁が違う。ランスは一点突破の貫通力、ジャベリンは着弾後の広域破砕だ。……ただし、これだけは肝に銘じておけ。使いどころを間違えたら、リゼリアの街なんて一瞬で消し飛ぶ。絶対に街を壊すなよ。いいな?」
170cmの三人は、その魔力の奔流を感じ取り、戦慄しながらも力強く頷きました。
エリザベス 「……なんという魔圧だ。掌の中で、巨大な城門を貫く槍が脈打っているのがわかる。街を壊さぬよう、この力……必ずや制御してみせよう」 ハルバートを構え、その先端に超高密度の魔力を纏わせます。
マーガレット 「バレットが小石に思えるくらいの威力ね。……わかったわ、ケイスケ。街の方角には絶対撃たない。このジャベリンで、あのデカブツを空中で仕留めてやるわ!」 大槌を担ぎ直し、空から迫る影を真っ向から見据えます。
アンジェリカ 「……この力を私たちに預けてくださるのですね。ケイスケ様、ご安心ください。街への余波は、私のバインドと結界の応用で最小限に食い止めます。……さあ、参りましょう」 メイスを掲げ、瞳には慈愛と冷徹な殺意を同時に宿します。
空を覆う巨大な影が、ついにリゼリア上空の雲を割り、その姿を現しました。街の人々が悲鳴を上げ、絶望に包まれる中、森の拠点から四人の「死神」が飛び出します。
アクセルで地を駆け、マッスルで跳躍し、ケイスケが与えた「街を滅ぼす槍」を携えて。
「……行くぞ! 街には指一本触れさせるな。全部叩き落として、最高の報酬に変えてやる!」
ケイスケたちはアクセルで街道を駆け抜け、リゼリアの街の正門から数キロ手前の平原へと先回りしました。空を覆うのは、雲を割り、街を飲み込もうとする巨大な古龍です。
「よし、ここなら街への余波は出ない。アンジェリカ、止めろ!」
ケイスケの指示に、アンジェリカは無言で手をかざしました。即座に発動した**『バインド』**が、空中を滑空していた古龍の巨体を力ずくで停止させ、平原の上空に固定しました。
「今ですわ!」
その合図と同時に、エリザベスとマーガレットがマッスルで地を蹴り、弾丸のように跳躍しました。二人は空中で古龍の眼前に到達すると、同時に右手を突き出しました。
エリザベスの手から放たれた**『ファイアランス』が一点に収束し、古龍の急所を貫通。その直後、マーガレットが内部を破壊するよう正確に『ファイアジャベリン』**を撃ち込みました。
ドォォォォォォォォォン!!
空中で爆発が起こりますが、二人は爆風を真上へと逃がし、地上への被害を完璧に抑え込みました。ケイスケは即座にディスアセンブルを発動。霧散しかけた古龍の巨体を瞬時に解体し、素材ごとに仕分けしてアイテムボックスへ回収しました。
巨大な魔石: 夕日のような輝きを放つ、見たこともないサイズ。
古龍の牙と爪: 鋼をも容易に切り裂く、伝説級の武具素材。
古龍の皮: あらゆる魔法を弾き返す、極上の防具素材。
古龍の肉と内臓: 滋養強壮に優れ、市場には出回らない超高級食材。
ケイスケはこれら全てを鮮度を保ったまま収納し、着地した三人と合流しました。
「よし、街は無傷だ。素材も全部回収できたぞ。お前ら、今の制御は完璧だったな」
170cmの三人は、絶大な破壊力を制御しきった達成感と、ケイスケの役に立てた喜びを瞳に宿し、誇らしげに彼を囲みました。
ケイスケはアイテムボックスに収まった「国家予算級」の素材と巨大な魔石の感触を確かめ、不敵な笑みを浮かべました。
「さて、素材も揃ったし、これをギルドに持ち込むか。……あのギルド長、破産しなきゃいいけどな」
四人は再びリゼリアの街へと向かいました。前回同様、目立たないよう裏の解体場へ直接乗り込みます。アクセルを微弱に使い、人の目を盗んで奥へと滑り込むと、そこには前回の「マッドベアーの山」でまだ疲れが取れていない様子の老職員がいました。
「……またあんたらか。今度は何を――」
老職員が言いかけた言葉は、ケイスケがアイテムボックスから取り出した**「古龍の爪」**一本を見ただけで、喉の奥に消え去りました。
「ひ、ひっ……!! こ、これは……古龍の……!?」
ケイスケは無造作に、次々と素材を並べていきました。
重厚な輝きを放つ古龍の皮。
山刀のような鋭さの牙。
そして、解体場の薄暗い空間を真昼のように照らす、巨大な古龍の魔石。
報告を受けたギルド長が、今度は顔面を蒼白どころか、土気色にして震えながら走ってきました。
「……君たち、本気か? あの古龍を……。街の危機が去ったと思ったら、まさか素材を全部持ってくるとは……。これは、うちのギルドどころか、国の中央ギルドを二、三軒潰しても足りない額だぞ!」
ギルド長は膝をつき、計算機を弾く手さえ止まっています。
マーガレット 「あら、この間はあんなに威勢よく『特別報奨金』なんて言ってたじゃない。さあ、きっちり査定してよ」 170cmの長身を悠然と預け、面白そうにギルド長を見下ろします。
エリザベス 「我らが主、ケイスケが仕留めたものだ。相応の対価を用意してもらわねば、我らも納得がいかぬな」 腰の短剣を軽く叩き、無言の圧力をかけます。
アンジェリカ 「ふふ、ギルド長さん。破産が怖いのでしたら、国に泣きついてでも用意していただけますわよね?」 柔らかな微笑みを浮かべながらも、その瞳は逃がさないと言わんばかりに据わっていました。
「……わかった、わかったよ! ギルドの貯蓄、街の予備費、それに私の退職金まで全部かき集めてやる! ひとまず、今すぐ用意できる金貨2000枚を内金として受け取ってくれ! 残りは国からの送金を待ってもらうしかない!!」
ギルド長は涙目で金庫の鍵を開けに走り、リゼリアのギルドは事実上の「支払い停止(破産寸前)」状態に陥りました。




