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ケイスケと三聖女の物語  作者: 慈架太子


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第4章:深まる絆と乙女たちの決意

ケイスケは自分の体を見下ろして、少し自嘲気味に肩をすくめました。


「でもさ、俺なんかみんなと比べて背が低いし、体も小さいし……。一緒に歩いてて邪魔じゃないか?」


170cmの長身で抜群のスタイルを誇る三人は、その言葉を聞いた瞬間、食べようとしていた肉の手を止め、猛烈な勢いで食ってかかりました。


マーガレット 「ちょっと、何言ってんのよ! 背の高さなんて関係ないわよ。ケイスケが隣にいてくれるだけで、どれだけ安心感があるか分かってないでしょ!? むしろ、そのくらいのサイズ感が……抱きつきやすくて最高なんだから!」 彼女は顔を真っ赤にしながらも、ぐいっとケイスケに顔を近づけて断言しました。


エリザベス 「邪魔なはずがあるか! 騎士の世界では体格が重視されることもあるが、貴殿の放つ存在感と、底知れない実力……。私は自分より大きな男を何人も見てきたが、貴殿ほど頼もしい背中を見たことはない。その……私が守ってやりたいと思わせる、不思議な魅力もあるしな」 エリザベスは最後の方は声を小さくしつつも、力強く首を振りました。


アンジェリカ 「体格なんて、魂の輝きに比べれば些細なことです。ケイスケ様は、私たちに新しい世界を見せてくださいました。小さいだなんて……私の目には、誰よりも大きく、眩しく映っています。それに……」 アンジェリカは優しく微笑み、ケイスケの肩にそっと手を置きました。 「小さな隙間にも入り込めるケイスケ様を、私たちが包み込んで差し上げれば良いだけのこと。何も問題ありませんわ」


三人の視線は、卑下するケイスケを許さないと言わんばかりの熱量に満ちていました。邪魔どころか、三人は既に「自分たちがケイスケをどう支え、どう独占するか」で頭がいっぱいだったのです。


ケイスケは三人の勢いに圧倒されつつも、悪い気はしない様子で鼻をこすりました。



ケイスケが肉を口に運びながら、どこか遠くを見るようにポツリとこぼした自虐。その言葉が終わるか終わらないかのうちに、焚き火の周りの空気が一変しました。


三人の美女たちは、肉を食べる手も、恋する乙女の顔も、すべてかなぐり捨ててケイスケに詰め寄ります。


マーガレット 「ちょっと、いい加減にして! チビガリ? 見劣りする? 誰がそんなこと決めたのよ! その細い体のどこに、あんな凄まじい魔力が詰まってるのか……そのギャップがどれだけ女心をくすぐるか、あんた全然わかってないわね! 男前なんて、ケイスケのその顔を見れば十分すぎるくらいよ!」 彼女は膝立ちになり、ケイスケの肩を掴んで激しく揺さぶりました。


エリザベス 「……見劣り、だと? 冗談はやめてくれ。戦場において、無駄に肥大した筋肉などまとでしかない。ケイスケ、貴殿のその研ぎ澄まされた体躯は、まさに『究極の効率』を体現している。私は、貴殿がアクセルで空気を切り裂くあの瞬間の姿を、この世で最も美しいと思った。見惚れていたのは私の方なんだぞ!」 エリザベスは拳を握りしめ、顔を真っ赤にしながら熱弁を振るいます。


アンジェリカ 「ケイスケ様……。見た目の『大きさ』と、存在の『大きさ』は全く別物です。あなたが魔法を教えてくれた時、私の世界はどれほど大きく、明るくなったことか。男前に生まれたかっただなんて……今以上に素敵になられたら、私の心臓が持ちません。今のままの、この少し小さなケイスケ様が、私は一番愛おしいのです」 アンジェリカはケイスケの頬を優しく両手で包み込み、潤んだ瞳で至近距離から語りかけました。


170cmの彼女たちに囲まれ、必死に否定されるケイスケ。彼女たちの瞳には、卑下するケイスケへの怒りと、それを上回るほどの深い愛情が溢れんばかりに溜まっていました。


ケイスケは三人の気圧されるような熱量に、もはや苦笑いするしかありません。


「……わかった、わかったよ。もう言わないから、そんなに怒るなよ」


そう言ってケイスケが折れると、三人はようやく満足げに、しかし隙あらば抱きつこうと言わんばかりの距離まで密着して、再び食事を再開しました。



ケイスケは三人の熱烈な言葉に少し照れくさそうに笑いながら、空いた手で空をなぞりました。


「……わかったよ。そこまで言ってくれるなら、自信を持つことにする。じゃあ、仕切り直しだ。みんな酒は飲めるか? エールだったらあるぞ。……少し冷えたやつが美味いよな」


ケイスケが指先を動かすと、空中の水分が瞬時に結晶化し、月の光を透かす氷のコップが4つ作り出されました。透明度の高い氷の器は、焚き火の光を受けて宝石のように煌めいています。


そこにケイスケがアイテムボックスから取り出したエールを注ぐと、氷に触れた液体が涼しげな音を立て、白い泡がふんわりと盛り上がりました。


「はい、エリザベス。マーガレット、アンジェリカも。……今日はお疲れ様。乾杯しようか」


マーガレット 「わあ、氷のコップ!? 贅沢すぎるわ……! いただきます! ……んっ、冷たくて最高に美味しい! ケイスケ、あんた本当に気が利くんだから!」 彼女はキンキンに冷えたエールを一気に煽り、ぷはぁと幸せそうに吐息を漏らしました。


エリザベス 「……かたじけない。騎士団の遠征では温くなった酒が当たり前だったが、氷魔法で冷やしたエールをこうして飲める日が来るとは……。貴殿の隣にいると、日常の全てが特別に感じられるな」 エリザベスは氷のコップの冷たさを掌で楽しみながら、一口ずつ大切に味わい、さらにケイスケへの熱い視線を深めていきました。


アンジェリカ 「ありがとうございます、ケイスケ様。氷の器なんて、まるで聖域の儀式のようです……。ふふ、冷たいエールが体に染み渡りますね。……少し、酔ってしまいそうです」 アンジェリカは上気した頬をさらに赤く染め、とろりとした瞳でケイスケを見つめながら、その肩にそっと自分の肩を預けました。


170cmの美女三人が、氷のコップを手にケイスケを囲み、焚き火の灯りの中でエールを楽しむ。自虐していたケイスケの小ささなど、もはや誰も気にしていません。むしろ、その中心にいる彼こそが、この夜の支配者であり、彼女たちの世

界の中心でした。



キンキンに冷えたエールを一口飲み、焚き火の爆ぜる音を背景に、ケイスケは三人の顔を見つめて問いかけました。


「そういえば、みんなはこれまで何してたんだ? 名前からすると三人とも貴族みたいに見えるけど……」


その問いに、三人はエールのコップを置き、少しだけ遠い目をして自分たちの過去を語り始めました。


エリザベス 「貴族、か。……ああ、私は王都の伯爵家の次女だ。だが、女だてらに剣を振るう私を父は認めなかった。政略結婚の道具にされるのが嫌で、家を飛び出し、騎士団に身を置いていたんだ。だが、そこも結局は血筋と家柄ばかりでな。本当の『強さ』を求めて、下野して冒険者になったんだが……貴殿に出会うまでは、自分の限界に絶望していたよ」 彼女は自嘲気味に笑いながら、ケイスケから教わった短剣を愛おしそうに撫でました。


マーガレット 「私は辺境の男爵令嬢よ。でも、家が貧乏でね! 魔法の才能があるってわかったから、一攫千金を夢見て都会に出てきたの。でも、学校で習う魔法は実戦じゃ使いにくいし、高い魔力触媒も買えなくて……。ケイスケに会うまでは、安い依頼をこなして食いつなぐ毎日だったわ。今は、あんたのおかげで世界が変わって見えるけどね!」 マーガレットは快活に笑い飛ばしましたが、その瞳にはこれまでの苦労と、それを救ってくれたケイスケへの深い感謝が滲んでいました。


アンジェリカ 「私は……教会の高位神官の娘として育てられました。周囲からは聖女の再来などともてはやされましたが、私が見たのは教会の腐敗と、形式ばかりの祈りでした。本当の救いとは何かを知りたくて、巡礼の旅に出たのです。……ケイスケ様に出会い、魔法を教わった時、私は初めて神様ではなく、目の前の『人』を信じたいと思えました」 アンジェリカは穏やかに微笑み、ケイスケの袖をそっと掴みました。


三人はそれぞれ、家柄や立場という「籠」の中から抜け出してきた女性たちでした。170cmという恵まれた体格を持ちながら、どこか居場所のなさを感じていた彼女たちにとって、ケイスケという規格外の存在は、まさに新しい自由を与えてくれた光だったのです。


ケイスケは三人の告白を静かに聞き届けました。


「そっか……。みんな、色々抱えてたんだな」



「3人とも超美人でスタイルがよくて 浮いた話も一杯あっただろ?」



ケイスケがニヤリと笑いながらそう振ると、三人はエールで赤くなった頬をさらに深く染め、一斉に首を横に振りました。


マーガレット 「浮いた話!? ないない、全然ないわよ! 確かに声はかけられるわよ? でも、どいつもこいつも『男爵令嬢』っていう肩書きか、この胸ばっかりジロジロ見てくるような奴らばっかりで……。魔法のことも理解しようとしないし、ケイスケみたいに私の『中身』をちゃんと見て、こんなに凄い力をくれた男なんて一人もいなかったわ!」 彼女は鼻を鳴らしてエールを煽り、「あんたが初めてなのよ!」とケイスケの肩に頭を預けました。


エリザベス 「……私か? 私はこの体格と、常に剣を帯びている威圧感のせいか、男たちからは敬遠されるか、逆に『女のくせに』と挑まれることばかりだった。愛の言葉を囁かれるどころか、決闘を申し込まれる回数の方が遥かに多かったな。……貴殿のように、私の強さを認め、その上で『好みだ』と真っ直ぐに言ってくれた者は……今までいなかった」 エリザベスは俯き、長い睫毛を揺らしながら、氷のコップを両手で大切そうに握りしめています。


アンジェリカ 「私は……教会にいた頃は、遠くから拝まれるばかりで、誰も一人の女性として触れようとはしてくれませんでした。皆、私に『理想の聖女』を押し付けてくるだけ……。でも、ケイスケ様は違いました。私のことを一人の女として、しかもその……『お尻が大きい』なんて破廉恥な言葉で、でも、とても正直に評価してくださった……。それが、どれほど嬉しかったか……」 アンジェリカはとろりとした瞳でケイスケを見つめ、指先でケイスケの手の甲を優しくなぞりました。


三人は口を揃えて、これまで「高嶺の花」として扱われるか、肩書きでしか見られてこなかった寂しさを口にしました。だからこそ、出会ったばかりの自分たちを「女」として、そして「仲間」として対等以上に扱ってくれるケイスケに、これほどまでに執着しているのです。


「……ま、お前らみたいな美人が今まで放っておかれたなんて、周りの男たちの目が節穴だったってことだな」


ケイスケがそう笑ってエールを飲むと、三人は幸せそうな、それでいてケイスケを絶対に逃さないという熱い決意を秘めた表情で、彼をじっと見つめ返しました。



ケイスケは空になった氷のコップを焚き火のそばに置き、少し遠くを見るような目で苦笑いしました。


「そんなケイスケ様こそ、今までどんな女性と出会ってきたのですか? きっと、あちこちで女性を泣かせてこられたのでしょう?」


アンジェリカが少し探るような、それでいて嫉妬の混じった甘い声で問いかけると、マーガレットとエリザベスも身を乗り出してケイスケを包囲しました。


ケイスケは首を振って、心底おかしそうに笑いました。


「いや、本当に何もないって。言っただろ? 俺はただのチビガリのモテない君だったんだ。……今日、生まれて初めて超美人の三人に出会った。それが俺の人生のハイライトだよ」


その嘘偽りのない言葉を聞いた瞬間、三人の美女たちの間に衝撃が走りました。


マーガレット 「……うそ。あんなに堂々としてて、女の子の扱いもこんなに上手なのに? 私たちが初めてなの!? ねえ、本当に!?」 彼女は驚きのあまり立ち上がり、信じられないといった様子でケイスケの顔を覗き込みました。その瞳は、驚きから一転して「自分が最初の一人になれるかもしれない」という猛烈な喜びに染まっていきます。


エリザベス 「……私たちが、初めて、か。貴殿のような卓越した男を放っておいた周囲の女たちは、正気ではなかったようだな。だが……それでいい。貴殿のこれまでの空白を、すべて私が埋めてやれるということだ」 エリザベスは低く熱い吐息を漏らし、ケイスケの腕をがっしりと掴みました。その力強さは、もはや「騎士」としてではなく、獲物を絶対に逃さない「女」のものでした。


アンジェリカ 「ふふ……。神様、感謝いたします。こんなに素敵な方が、誰の手にも触れられずに私の前に現れてくださるなんて……。ケイスケ様、ご安心ください。これまでの分も、私たちがたっぷり……愛して差し上げますから」 アンジェリカはとろけるような微笑みを浮かべ、ケイスケの耳元に唇を寄せて囁きました。


三人は、ケイスケが「モテなかった」という事実を、これ以上ない「幸運」として受け取っていました。自分たちがケイスケの人生における「最初の女性」であり、かつ「最高の女性」になれる可能性に、三人のボルテージは最高潮に達します。


ケイスケは三人のあまりの熱量に、少し背筋が寒くなるのを感じつつも、彼女たちの温もりに悪い気はしませんでした。



ケイスケは空になったエールの瓶を片付けると、立ち上がって周囲の空間に手をかざしました。


「そろそろ寝床を作るか。……アイスボックス」


ケイスケの言葉と共に、地面から巨大な氷の結晶が隆起し、瞬く間に透き通った氷の建物が2棟、月の光を反射して出現しました。夜の森に現れたクリスタルの宮殿のような光景に、三人は息を呑みます。


「次は中だな。……『生成』」


ケイスケが建物の中で土魔法を唱えると、土が盛り上がり、形を変え、一方の建物には大きなベッドが1つ、もう一方の建物にはベッドが3つ作り出されました。


「仕上げだ」


アイテムボックスから、清潔でふかふかのマットレスとシーツを4セット取り出し、手際よく土の台座の上に敷いていきます。冷たい氷の建物の中ですが、厚手のマットレスがあれば快適に過ごせそうです。


「よし、寝床はできたぞ。……みんな、まだ飲むか? それとももう休むかい?」


ケイスケが振り返ると、170cmの長身を誇る三人は、出来上がった二つの建物を交互に見て、静かな、しかし激しい視線を交わし始めました。


マーガレット (建物が2つ……片方はベッドが1つ、もう片方は3つ……。ってことは、誰か一人がケイスケと同じ部屋になれるってことじゃないの!)


エリザベス (……一騎打ちか。あるいは、三人のうち誰が『守護者』として彼の隣に侍るべきか、決める必要があるようだな)


アンジェリカ (ふふ、ケイスケ様は本当に罪作りな方。こんなに分かりやすい選択肢をくださるなんて……)


三人の酔いは一瞬で吹き飛び、その瞳には「一人用の部屋」を巡る、今夜最大の闘志が宿りました。


「ケイスケ様、もちろんまだ飲みますわ。……誰がどの部屋を使うか、じっくり話し合わなければなりませんから」


アンジェリカが艶やかに微笑み、ケイスケの両脇をマーガレットとエリザベスが固めます。氷の建物の前で、四人の夜はまだ終わりそうにありません。




ケイスケは三人の間に漂い始めた殺気にも似た熱量に気づき、慌てて両手を振って釘を刺しました。


「待て待て、何を話し合うんだ? 俺は男だぞ。当然、一人で寝るに決まってるだろ。もう一棟の方には、ちゃんと三人分のベッドを一つずつ作ってあるんだから、みんなはそっちで仲良く休んでくれ」


あまりにも当然、かつ「常識的」なケイスケの宣告に、三人の美女たちは氷の建物よりも冷たい沈黙のあと、一斉に不満の声を上げました。


マーガレット 「ええーっ!? ちょっと、ケイスケ、あんた本気!? こんな美人の三人を放っておいて一人で寝るなんて、それでも男なの? 私、夜中に魔物が来たら怖いから、ケイスケの隣がいいんだけど!」 彼女はわざとらしく肩を震わせ、上目遣いでケイスケの腕に抱きつきました。


エリザベス 「……護衛の問題だ。主を一人で寝かせるなど、騎士の矜持が許さない。貴殿が『男』だと言うなら、なおさらだ。不測の事態に備え、私が同じ部屋で寝ずの番をするべきだろう。ベッドの広さも、二人なら問題ないはずだ」 エリザベスは顔を赤らめながらも、至極真面目な顔で「実務的な提案」として食い下がります。


アンジェリカ 「ケイスケ様……。魔法の修行でお疲れのあなたを、一人きりにするなんて。聖職者として、あなたの安眠を祈り、お傍でお守りするのが私の務めです。ベッドが一つなら……私が寄り添って差し上げれば、より温かく眠れると思いますわ」 アンジェリカはとろけるような笑みを浮かべ、ケイスケの背後に回り込んで、その耳元で甘く囁きました。


170cmの長身を誇る三人に囲まれ、一人用の建物への道を塞がれたケイスケ。 彼女たちは「一人が一人用、三人が三人用」というケイスケの合理的な部屋振りを、真っ向から無視するつもりのようです。


「……だから、俺は一人で寝るって言ってるだろ! ほら、もう酒はおしまいだ、各自の部屋へ行け!」


ケイスケが必死に抵抗する中、三人はお互いを牽制しつつも、どうやってケイスケの部屋に潜り込むか、あるいは四人で一つの部屋を占拠するか、静かな知略戦を繰り広げています。




ケイスケは三人の猛攻にたじろぎながら、必死の形相で「常識」を盾に防戦一方となりました。


「おい、いい加減にしろ! お前ら、自分が何言ってるか分かってんのか? 嫁入り前の貴族令嬢が、男と同じ部屋で寝るなんて……。俺はただの平民だぞ! そんなことがバレたら、不敬罪で即処刑されるわ!」


ケイスケが必死に叫ぶと、170cmの長身を誇る三人は、示し合わせたかのように同時に不敵な笑みを浮かべました。


エリザベス 「処刑、だと? 貴殿を処刑できる男など、この世界に一人でもいると思っているのか? それに、家を捨てた私にとって、家の法など無意味だ。……貴殿という『主』が私の法なのだからな」 エリザベスは騎士らしい凛とした態度で、しかし瞳には熱い情熱を宿して言い放ちました。


マーガレット 「そうよ! 平民だの貴族だの、そんなちっぽけなこと気にしてるの、ケイスケだけよ! 大体、こんな凄い魔法を教えてくれる『神様』みたいな人を処刑しようなんて奴がいたら、私がバレットで蜂の巣にしてやるわ!」 マーガレットはケイスケの胸に指を突き立て、強気な笑顔で宣言しました。


アンジェリカ 「ふふ……不敬罪ですか。ケイスケ様こそ、聖職者である私をここまで惑わせた罪は重いですわよ? 処刑されるのが怖いのでしたら……誰も見ていないこの場所で、既成事実を作ってしまえばよろしいのではなくて?」 アンジェリカはとろりとした瞳で、ケイスケの首筋にそっと指先を滑らせました。


「……お前ら、全然話を聞いてねえな!」


ケイスケは頭を抱えました。彼女たちにとって、もはや世俗の身分や常識などは、ケイスケが与えてくれた強大すぎる魔法と、彼自身への恋心の前では紙屑同然だったのです。


「いいか、俺は一人で寝る。絶対に、一人で寝るからな!」


ケイスケはそう言い捨てると、逃げるように「ベッド1つの棟」へ駆け込みました。しかし、背後から三人の熱っぽい視線と、クスクスという含み笑いが追いかけてくるのを、サーチ魔法を使わずとも肌で感じていました。



ケイスケは三人の熱視線から逃げるように一人用の氷の建物へ飛び込むと、即座に右手を扉にかざしました。


「悪いが、今夜はこうさせてもらうぞ。……『結界』!」


ケイスケの魔力が扉から建物全体を包み込むように広がり、淡い光の膜を形成しました。これは物理的な干渉だけでなく、魔力的な干渉も一切遮断する鉄壁の守りです。


「よし、これで誰にも邪魔されずに眠れる……」


ケイスケが安堵の息をつき、ふかふかのマットレスに身を沈めたその時、結界の外側から三人の抗議の声が響いてきました。


マーガレット 「ちょっと、ケイスケ! 結界まで張るなんてひどくない!? 仲間はずれにしないでよ! ねぇ、開けてよー!」 コンコン、と氷の壁を叩く音がしますが、結界に阻まれて衝撃は一切伝わってきません。


エリザベス 「……ふむ。魔力を完全に遮断しているな。だが、これほどの結界を維持したまま眠るとは、貴殿の魔力量はやはり底が知れない。……感服するが、今夜ばかりはその慎重さが恨めしいぞ、ケイスケ」 壁越しに、エリザベスの悔しそうな、しかし感心したような溜息が聞こえます。


アンジェリカ 「ケイスケ様……。結界を張られるということは、それほどまでに私たちが『脅威』だということですね? ふふ、光栄ですわ。……でも、朝になれば結界は解けるのでしょう? 楽しみにしておりますわね」 アンジェリカの含みのある艶やかな声が、結界の僅かな隙間を通って耳に届いた気がしました。


やがて外の騒ぎも収まり、森には焚き火が爆ぜる音だけが残りました。170cmの長身を誇る三人の美女たちは、諦めて三人用の建物へ向かったようです。


結界に守られた静寂の中、ケイスケは氷の天井を見つめながら、今日一日の出来事を思い返しました。チビガリと自嘲する自分を、全力で肯定してくれた三人の温もり。


「……ま、明日も早い。寝るか」


ケイスケは静かに目を閉じ、深い眠りに落ちていきました。



鳥のさえずりで目を覚ましたケイスケは、結界を解いて外へ出ました。まだ三人の建物からは物音ひとつしません。昨夜はよほど遅くまで「作戦会議」でもしていたのでしょう。


ケイスケは焚き火の跡を片付けると、アイテムボックスから朝食の準備を始めました。


「さて、朝はやっぱりこれだよな」


香ばしい香りのする焼き立てのパン、厚切りのベーコン、そして深い香りを漂わせる挽き立てのコーヒー。アイテムボックスの停止した時間から取り出されたそれらは、まるで今さっき出来上がったかのような完璧な状態です。


コーヒーの香りが森の冷気に混ざり始めた頃、三人が目をこすりながら氷の建物から出てきました。


マーガレット 「んん……あ、ケイスケ! 起きてたのね……って、何このいい匂い!? 嗅いだことないけど、すごく食欲をそそるわ!」


エリザベス 「おはよう、ケイスケ。……この黒い飲み物は何だ? 香りだけで頭がすっきりする。パンも、王都の一流店でも見たことがないほど白くて柔らかそうだ……」


アンジェリカ 「おはようございます。ふふ、結界の中でぐっすり眠れたようですね。……それにしても、ケイスケ様は本当に何でも持っていらっしゃるのですね。まるでお城の朝食のようですわ」


三人が寝起きの少し乱れた髪のまま、驚きと期待に目を輝かせてケイスケを囲みました。ケイスケは四人分のコーヒーを小皿と共に並べ、パンを切り分けながら、ふと思いついたように尋ねました。


「ほら、冷めないうちに食べろよ。……ところで、これからお前たちどうするんだ? 昨日は勢いで一緒にいたけど、それぞれの目的があるんだろ?」


その問いに、パンを口に運ぼうとしていた三人の手がぴたりと止まりました。


エリザベス 「……どうする、だと? 私は昨夜も言ったはずだ。私の剣は、既に貴殿に預けている。貴殿が『アテがない』と言うなら、私が貴殿の道を作るまでだ。離れる理由など、どこにもない」


マーガレット 「そうよ! あんた、あんな凄い魔法を教えておいて、今さら『さよなら』なんて言わせないわよ。私はあんたの行く先で、あんたが驚くような宝物をたくさん見つけてあげるんだから。……絶対についていくわよ!」


アンジェリカ 「私もです。私は教会を離れ、本当の救いを探していました。そして昨日、ケイスケ様の中にそれを見つけました。……あなたが拒んでも、私はあなたの後ろを歩き続けますわ」


三人は170cmの長身を背筋を伸ばして正し、真剣な眼差しをケイスケに向けました。朝の光の中で、彼女たちの決意は昨日よりも一層固まっているようでした。


ケイスケは苦笑いしながら、コーヒーを一口すすりました。


「……そっか。まあ、賑やかな旅になりそうだな」



ケイスケはコーヒーを飲み干し、三人の顔を見渡して頷きました。


「そうだな。とりあえず、昨日のフォレストバイソンの素材や魔石を売りに、近くの街のギルドへ行くか。路銀も必要だしな」


その提案に、三人は「待ってました」と言わんばかりに力強く応じました。


エリザベス 「賛成だ。ギルドならこの先の街道を半日ほど歩いたところに『リゼリア』という宿場町がある。フォレストバイソンの素材、それも貴殿が仕留めた極上の品なら、相当な金貨になるだろう」


マーガレット 「よっしゃ、街ね! ギルドの連中に、進化した私たちの魔法を見せつけてやりたいわ。ケイスケ、あんたがあのバイソンを瞬殺したって言ったら、みんな腰を抜かすんじゃない?」


アンジェリカ 「ふふ、リゼリアの街ですね。あそこなら美味しいお酒や、ケイスケ様の口に合う珍しい食材も見つかるかもしれません。……行きましょう、私たちの新しい旅の始まりですわ」


四人は手際よくキャンプの跡を片付けました。ケイスケが指先一つで氷の建物を霧のように霧散させると、三人は改めてその魔法の技量に感嘆の声を漏らします。


170cmの絶世の美女三人を引き連れ、18歳(自称チビガリ)のケイスケが歩き出す光景は、端から見ればどこかの貴族の主従か、あるいはそれ以上の「異常事態」に見えることでしょう。


「……ま、ギルドで騒ぎにならないといいんだけどな」


ケイスケはそう呟きながら、三人の熱っぽい視線を背中に感じつつ、リゼリアの街へと続く街道に一歩を踏み出しました。



ケイスケはリゼリアの街の大きな門を見上げながら、隣を歩く三人に何度も言い聞かせました。


「いいか、俺は目立ちたくないんだ。さっきのバイソンのことも、魔法のことも、なるべくおとなしくしててくれよ。……頼むぞ?」


しかし、170cmの長身で抜群のスタイルを誇る美女三人を引き連れている時点で、その願いが叶わないことは門をくぐった瞬間に明らかになりました。街ゆく人々や、非番の冒険者たちが、信じられないものを見るような目で一行を注視します。


「……無理そうね、ケイスケ。あんた、自分がどれだけ目立つ存在を引き連れてるか自覚しなさいよ」 マーガレットがクスクスと笑いながら、ケイスケの肩を軽く叩きました。


四人はそのまま冒険者ギルドの重厚な扉を開けました。喧騒に包まれていたギルド内でしたが、三人の美女が入ってきた瞬間、まるで魔法にかかったかのように静まり返りました。


ケイスケは周囲の視線を避けるように、足早に換金窓口へと向かいます。


「……すみません、素材と魔石の買い取りをお願いします」


ケイスケがアイテムボックスから取り出したのは、完璧に解体されたフォレストバイソンの素材と、濁り一つない巨大な魔石でした。それを見た受付嬢の目が、点になります。


受付嬢 「え……これ、フォレストバイソン……ですよね? しかも、この解体の精度……! 皮に傷一つありませんし、魔石もこんなに巨大なものは年に数回しかお目にかかれませんよ!」


受付嬢の驚き声に、周囲の冒険者たちが「なんだなんだ?」と集まってきました。


荒くれ者の冒険者 「おいおい、坊主。そのバイソン、まさかお前が仕留めたのか? それとも……そこの女たちがやったのか?」


エリザベス 「……貴殿に答える義務はない。だが、この素材を持ち込んだのは我らがあるじ、ケイスケだ。それ以上の情報は不要だろう」 エリザベスが短剣の柄に手を置き、冷徹な視線を向けると、男たちはその威圧感に気圧されて一歩退きました。


「おい、エリザベス、おとなしくしろって……」 ケイスケが小声で窘めますが、時すでに遅し。ギルド内は「とんでもないお宝を持ち込んだ、謎のチビガリ少年と三人の美女」の話題で持ちきりになってしまいました。


受付嬢は震える手で電卓のような魔道具を叩き、顔を上げました。


「か、買い取り価格は……金貨30枚です! ギルドとしても、これほどの品質のものは即決で買い取らせていただきます!」








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