14章:特権の終焉と王都の最終清掃
ケイスケは監獄村の跡地に立ち、粉砕した聖遺物の灰を風に散らしました。
「……枢機卿、とか言ったか。神の名を借りて、裏でこんな薄汚い実験を主導してた野郎が、聖都のふかふかの椅子に座ってやがる。……お前ら、次は本丸だ。聖都のゴミを根こそぎ片付けに行くぞ」
ケイスケの瞳には、これまでで最も鋭い「掃除屋」の光が宿っていました。
1. 聖都への進撃:デタラメの断罪
四人は迷うことなく、大陸の宗教的中心地である「聖都」へと向かいました。白亜の城壁と荘厳な大聖堂。しかし、ケイスケのサーチはその華やかな表向きの裏に隠された、ドロドロとした欲望と腐敗を正確に捉えています。
「エリザベス、正面突破だ。アンジェリカ、影で逃げ道を塞げ。マーガレット、教会の地下にある『隠し財産』を全部地上に引きずり出せ!」
エリザベス(聖都の門破り): 「承知した! 信仰を汚す不浄の徒に、真の正義を刻んでくれよう!」 彼女の一振りが、聖都の「不落」と言われた巨大な門を紙のように両断しました。
マーガレット(真実の露呈): 「綺麗事ばっかり並べて、地下にこんなに溜め込んで! 全部民に返しなさい!」 大地の振動と共に、教会の地下に隠されていた莫大な金貨と、人体実験の記録が広場へと競り上がりました。
2. 枢機卿への「直談判」
大聖堂の奥深く、震えながら神に祈るふりをする枢機卿の前に、ケイスケが音もなく現れました。
「おい、神様はお前の声なんて聞いてねえよ。お前が監獄村で殺した連中の悲鳴で、耳が塞がってんだよ」
「な、何を……! 私は神の代理人……!」 枢機卿の言葉が終わる前に、ケイスケは彼の喉元にダークバレットを突きつけました。
「代理人なら、今すぐ神様に会いに行って、自分のやらかしたデタラメを報告してこい。……だがその前に、お前の『地位』と『権力』、そしてその『傲慢な記憶』を全部、俺がゴミ箱に捨ててやる」
3. アンジェリカの「審判」
アンジェリカが枢機卿の影を掴み、彼がこれまで隠蔽してきた全ての罪状を、聖都の空に巨大な「幻影」として映し出しました。
「聖都の人々に、あなたの『神々しい正体』を見せて差し上げましょう。……絶望の中で、自らが作り上げた虚像が崩れる音をお聞きなさい」
聖都の住人たちは、自分たちが信じていた教会のトップが、実は監獄村で子供たちを実験台にしていた事実を知り、その怒りは瞬く間に聖都を包み込みました。
聖都の腐敗を象徴する大聖堂が崩れ落ち、枢機卿がその権力を失って民衆の怒りに晒される中、ケイスケは一切の未練を見せずに背を向けました。
「聖都の再建なんてのは、残ったまともな奴らがやればいい。俺たちの仕事は『ゴミ拾い』だ。溜まったゴミを片付けたら、次の現場へ行く。……行くぞ、お前ら」
ケイスケは再び**『超広域サーチ』**を全方位に展開し、世界の「歪み」を探ります。
1. 次なる目的地:絶望の「採掘都市」
ケイスケのサーチが捉えたのは、聖都から南へ下った不毛の山岳地帯。そこには、軍事大国によって「兵器の素材」を掘り出すためだけに、近隣の村から攫ってきた人々を死ぬまで働かせている採掘都市ガンドールがありました。
「……次は南だ。そこじゃ、毎日何十人もが落盤や過労で使い捨てられてる。しかも、その影で兵器商人が、掘り出した鉱石を使って『自律型の殺戮兵器』をテストしてやがる」
「自律型の殺戮兵器……人の心を持たぬ機械が、無辜の民を狩るというのか。許し難い……!」 エリザベスが腰の剣を鳴らし、その瞳に静かな怒りを宿しました。
2. 弱者救済行脚・南進開始
四人は荒野を突き進み、巨大な煙突から黒煙を吐き出すガンドールの入り口へと到着しました。
「マーガレット、お前は採掘現場の『崩落』を防ぎながら、奴隷たちの逃げ道を確保しろ。アンジェリカ、お前は影に潜んで、殺戮兵器の『核』を内側から腐らせろ」
「はい、ケイスケ様! 鉄の塊なんかに、私たちの『芯』が負けるわけないわ!」 「ふふ……。無機質な機械に、死の恐怖を教えて差し上げますわね」
二人は風のように散り、それぞれの持ち場へと向かいました。
3. ケイスケとエリザベスの「門番破り」
ケイスケは、重武装の守備兵と自動砲台が並ぶガンドールの正門前に、エリザベスと共に堂々と姿を現しました。
「おい、そこのデタラメな鉄クズども。俺が今からこの街を『掃除』する。命が惜しい奴は、そのガラクタを捨てて今すぐ逃げろ」
警告を無視して一斉に火を噴く自動砲台。しかし、ケイスケは一歩も動かず、右手を軽く掲げました。
『重力障壁』
放たれた砲弾はすべてケイスケの足元に力なく落下し、エリザベスがその間を縫うように跳躍しました。 「主の道を塞ぐ無粋な盾、我が一撃で塵に帰せ!」
ケイスケは黒煙を上げる工場の中心部で、マーガレットとアンジェリカを呼び寄せました。
「おい、この山をただの『死の山』で終わらせるんじゃねえぞ。これからは、奪うためじゃなく、この街の連中が自立するための宝の山に変えてやる。マーガレット、アンジェリカ、準備はいいか!」
1. マーガレットの「神速採掘」
マーガレットが地面に両手を突き、魔力を地底深くまで浸透させます。
「任せて! 機械なんかに頼らなくたって、大地の声を聞けばどこに何があるか全部わかるんだから! 『ガイア・ドリル・ハーベスト』!」
大地が生き物のようにうねり、地中深く眠っていた希少鉱石が、マーガレットの土魔法によって次々と地表へと押し出されていきます。落盤の危険がある坑道は即座に強固な岩盤で補強され、労働者たちが命を懸けていた作業が、一瞬で、安全かつ完璧に行われていきました。
2. アンジェリカの「聖なる製錬」
地表に積み上げられた粗悪な原石の山。そこへアンジェリカが手をかざし、清浄な光を降り注がせます。
「不純物も、これまでの怨念も、すべてこの光で消し去りましょう。……『ピュリフィケーション・リファイニング』」
アンジェリカの浄化魔法が、原石に含まれる不純物を分子レベルで分離・消滅させます。高熱の炉も、有害な煙を出す化学薬品も必要ありません。広場には、純度100%の、美しく輝く**純金・魔銀・オリハルコンのインゴット(金塊)**が、瞬く間にピラミッドのように積み上がっていきました。
3. ケイスケの「分配」と「引導」
ケイスケは積み上がったインゴットを見上げ、呆然と立ち尽くす元労働者たちに叫びました。
「おい、これがお前らが命を削って掘らされてたものの正体だ。……今まではあの商人の懐を肥やすためだったが、これからは違う。これはお前らの『命の代償』だ。一人残らず、これからの生活に必要な分を持っていけ!」
その横で、全財産と兵器を失い、腰を抜かしている支配者の商人に、ケイスケは冷たく言い放ちました。
「お前が愛した鉄クズは、アンジェリカが綺麗に『浄化』して、民の道具に作り直してやるよ。お前はこれから、その空っぽになった倉庫で、自分がどれだけ価値のねえ人間だったか、一生かけて数えてな」
ケイスケは、どす黒い煙を吐き出す工場と、労働者たちを苦しめてきた険しい岩山を見上げ、静かに右手を掲げました。
「……この山そのものが、ここの連中にとっては『地獄の象徴』なんだな。なら、思い出ごと全部消してやるよ。お前ら、下がってろ。この地形を根こそぎ書き換える」
1. 「天地崩壊」の更地化
ケイスケの足元から、漆黒の魔力が波紋のように広がっていきました。
『ヴォイド・グラビティ:ワールド・レベリング』
ケイスケが拳を地面に叩きつけると、巨大な山脈がまるで見えない巨人の足に踏みつけられたかのように、音を立てて圧縮されていきました。突き出た岩壁は粉砕されて砂となり、深い谷は一瞬で埋め立てられていきます。
数分後、そこには険しい山など影も形もなく、地平線まで続く**「真っ平らな更地」**が広がっていました。
2. 聖女たちによる「環境再編」
山が消え、広大な平地が現れたのを見届け、三人の聖女が仕上げに入ります。
マーガレット(大地定着): 「更地にしただけじゃ、風で砂が舞っちゃうわ。……目覚めなさい、新しい命の根っこ!」 彼女が地を叩くと、圧縮された大地の底から豊かな養分が噴き出し、更地は瞬く間に「建築に適した強固な地盤」と「柔らかな緑の平原」に分かれました。
アンジェリカ(大気浄化): 「長年の煙で汚れた空気も、わたくしが洗い流しましょう」 彼女が両手を広げると、聖なる雨が降り注ぎ、更地の上に溜まっていた煤煙や毒素を完全に浄化。空には澄み渡るような青空が戻りました。
エリザベス(区画整理): 「主が作られたこの平地、一寸の狂いもなく区画を割ろう」 彼女が神速の剣筋で地面に線を引くと、そこには整然とした都市の設計図が物理的に刻まれました。
3. 「新しい世界」の始まり
元労働者たちは、自分たちを閉じ込めていた監獄のような山が一瞬で消え去り、目の前に輝くような大平原が広がった光景に、腰を抜かして震えていました。
ケイスケは、アンジェリカがインゴット化した金銀の山を指差しました。
「おい。山は消した。邪魔な工場もガラクタもねえ。ここにあるのは、無限の土地と、お前らがこれから家を建てるための金だけだ。……自分たちの手で、今度こそ『住みたい街』を作ってみろ」
ケイスケはジョッキを置き、鋭い眼光をセドリックと文官たちに向けました。
「更地にしたからって、あそこにすぐ住めるわけじゃねえ。長年の採掘で地脈も空気も荒れてる。まずは掘削民全員を、一時的にこの自由都市へ避難させるぞ。セドリック、受け入れ態勢を整えろ。空き家も食い扶持も、さっきのインゴットがあればお釣りが出るだろ」
1. 「風の街道」による緊急避難
ケイスケは、南の拠点で呆然としていた元労働者とその家族たち、数千人を呼び集めました。
「おい、お前ら! ここはまだ生活できる環境じゃねえ。まずは俺たちの本拠地、自由都市へ連れてってやる。荷物をまとめて、あの『風の街道』の入り口に並べ!」
アンジェリカの「風の輸送」: 「皆様、荷物ごとわたくしの風にお乗りなさい。一瞬で、温かい風呂と食事のある街へお連れしますわ」 アンジェリカが巨大な風のクッションを作り出し、数千人の避難民を安全かつ迅速に、自由都市へとスライド移動させました。
ケイスケの「一括転送」: 自力で動けない重病者や、積み上げられたインゴットの山を、ケイスケが空間ごと固定して自由都市の広場へ転送しました。
2. 自由都市での受け入れ
自由都市の門では、クラリスとセドリックのチームが不眠不休で働いていました。
「こちらへどうぞ! 暖かいスープと着替えを用意しています!」 「名前と人数を教えてください。すぐに住居を割り当てます!」
元労働者たちは、かつて自分たちを使い捨てにしていた「役人」とは正反対の、親身になって動く文官たちの姿に、ようやく自分たちが救われたことを実感し、次々と涙を流しました。
3. 聖女たちによる「休養」の提供
マーガレット: 避難してきた人々のために、疲労回復に特化した薬草スープと、新鮮な野菜料理を大量に振る舞う。
エリザベス: 慣れない街で混乱する避難民の間を歩き、その圧倒的な存在感で安心感を与え、トラブルを未然に防ぐ。
4. ケイスケの「再確認」
「……よし。これで避難は完了だ。6,000人から一気に1万人近くまで増えたが、今のこの街なら耐えられる。……セドリック、クラリス。こいつらが心身ともに回復するまで、しっかり面倒見てやれよ。その間に、俺たちはあの更地を『本当に住める場所』に作り直す」
ケイスケは自由都市の広場に積み上げられた、目も眩むような金・魔銀・オリハルコンのインゴットの山を指差し、隣にいたクラリスを呼び寄せました。
「おいクラリス。……これを受け取れ。全部お前に託す」
1. 統治者としての「重み」を渡す
あまりの輝きと量に、クラリスは息を呑んで立ち尽くしました。王宮にいた頃でさえ、これほどの純度と分量の資源が目の前に並んだことはありません。
「ケイスケ様……これは、あまりにも……」
「勘違いするなよ。これはお前に贅沢をさせるための金じゃねえ。この街の5,400人と、今避難してきた数千人の掘削民……合わせて1万人近い人間の『命』だ。こいつらを食わせ、学ばせ、新しい街を建てるための資材に変えろ。……お前がこの街の『芯』になるなら、この程度の重さに負けてんじゃねえぞ」
2. クラリスの決意
ケイスケの厳しい、しかし信頼の籠もった言葉に、クラリスはゆっくりと、だが力強く頷きました。
「……はい。承知いたしました。この資源は、民が二度と誰かに搾取されることなく、自らの知恵で生きていくための礎にします。セドリック様と協力し、一リーブラの無駄もなく、正しく運用することを誓います!」
彼女の瞳からは、かつての「ポンコツ王女」の面影は消え、一人の「指導者」としての鋭い光が宿り始めていました。
3. 三聖女の見守り
「ふふ……。いい顔になりましたわね、クラリス様。使い道を間違えた時は、わたくしのサーチですぐに分かってしまいますから、お気をつけになって」 アンジェリカが優しく釘を刺すと、マーガレットが背中を叩きました。 「大丈夫よ! あんたが困ったら、私たちがまた美味しい野菜でも持って助けに来てあげるからさ!」 エリザベスもまた、静かに頷きました。 「主が託されたその重み、汝の誠実さで支えてみせよ」
4. ケイスケの「一仕事終わり」
「……よし。これで俺がこの金を持って歩く必要もなくなったな。重くてかなわねえ。……セドリック! クラリスの計算が合ってるか、しっかり見ててやれよ。ミスったらお前の責任だぞ」
セドリックは苦笑いしながら一礼しました。 「仰せの通りに。……さて、クラリス様。まずは避難民の冬の備えと、更地への再入植資材の算出から始めましょうか」
ケイスケはセドリックから手渡された最新の報告書に目を落とし、さらに「超広域サーチ」で都市内の状況を確認しました。
「よし、現状を数字で出すぞ。避難民を受け入れたことで、この街の『芯』もまた大きく様変わりしたな」
【自由都市・最新ステータス(ASCIIレポート)】
1. 総人口: 9,200人
内訳:
自由都市・旧来住民: 約 5,400人
南の採掘都市・避難民: 約 3,800人
現状: 急激な人口増に対し、ケイスケが建てた石造りの集合住宅と、クラリス・セドリックによる迅速な割り当てにより、路上生活者はゼロ。
2. 識字率: 72%(平均)
自由都市・旧来住民: 95% (クラリスの徹底教育により、子供から大人までほぼ全員が読み書き可能に)
南の採掘都市・避難民: 35% (長年労働のみを強いられてきたため、当初は5%以下だったが、到着直後からの集中講義で急速に向上中)
教育方針: 「知恵は誰にも奪われない財産だ」というケイスケの教えに基づき、食事の配給を待つ間も青空教室で文字を学ぶスタイルを徹底。
ケイスケの分析
「旧い住人が、新しく来た奴らに文字を教えてる光景があちこちで見られる。いい傾向だ。……だが、避難民の3割強しか読み書きができねえってのは、まだ『デタラメ』が残ってる証拠だな」
ケイスケは隣で集計を続けるクラリスとセドリックを振り返りました。
「識字率が100%になるまで、あのインゴットを惜しみなく使え。紙もペンも、必要なら俺がいくらでも調達してきてやる。……文字が読めねえってことは、騙されても気づけねえってことだ。そんな奴を、俺はこの街に一人も残したくねえ」
聖女たちの動き
アンジェリカ: 「教育の合間の集中力を高める香油を精製しましたわ。これで避難民の方々の学習効率も上がるはずです」
マーガレット: 「お腹が空いてちゃ頭に入らないでしょ! 勉強した子には特別な果物をあげるって約束してきたわ!」
エリザベス: 「読み書きができるようになった元労働者を自警団の見習いに採用した。彼らには新たな『誇り』が芽生え始めている」
ケイスケは、山積みの報告書を前に深夜まで議論を交わしているクラリスとセドリックを眺め、ニヤリと笑いました。
「おい、お前ら。……ちょっと休憩だ。少しは『芯』を緩めねえと、いい仕事はできねえぞ」
ケイスケは三人の聖女に目配せを送りました。
1. ケイスケの「お節介」
「クラリス。お前、さっきから計算を間違えてるぞ。セドリック、お前も顔色が悪い。……アンジェリカ、あいつらに取っておきのワインを出してやれ。マーガレット、一番いい肉を焼いて、こいつらの仕事机を片付けろ。……今夜、ここの部屋は『立ち入り禁止』だ」
ケイスケは強引に二人のペンを奪い取ると、背中を押して並ばせました。
「クラリス、お前はこの街の『知恵』だ。だが、その知恵を一番近くで支えてきたのは誰だ? セドリック、お前もだ。こいつの無茶な理想を形にできたのは、お前の実務能力があったからだろ。……お前ら、お互いがいなきゃ、この街の1万人はとっくに路頭に迷ってるんだよ」
2. 聖女たちのバックアップ
アンジェリカ: 「ふふ……。リラックス効果のあるハーブを焚いておきましたわ。クラリス様、セドリック様……今夜は仕事の話ではなく、お互いの『心』の話をなさってはいかが?」 影魔法で灯りを少し落とし、親密な雰囲気を作り出します。
マーガレット: 「はい、これ! 最高のベヒーモスステーキよ! 二人で仲良く食べないと、大地が怒っちゃうんだからね!」
エリザベス: 「……外の警護は私が引き受けよう。ネズミ一匹、この部屋の邪魔をさせぬと誓う。……セドリック殿、男の『覚悟』、期待しているぞ」
3. 二人の「芯」が重なる瞬間
真っ赤になって俯くクラリスと、珍しく冷汗をかきながら眼鏡を直すセドリック。
「ケイスケ様……その、私たちは……」
「いいから食え。……クラリス、お前がこれからもこの街を導くなら、隣に信頼できる『連れ合い』がいるのはデタラメじゃねえ。……セドリック、お前がこいつを支え続けるっていうなら、それはもう仕事の範疇を超えてるんだよ。……あとは自分たちで話しな。俺たちは外でエールを飲んでるからよ」
ケイスケは三人を引き連れ、部屋の扉を静かに、しかししっかりと閉めました。
ケイスケは、山積みの報告書を前に深夜まで議論を交わしているクラリスとセドリックを眺め、ニヤリと笑いました。
「おい、お前ら。……ちょっと休憩だ。少しは『芯』を緩めねえと、いい仕事はできねえぞ」
ケイスケは三人の聖女に目配せを送りました。
1. ケイスケの「お節介」
「クラリス。お前、さっきから計算を間違えてるぞ。セドリック、お前も顔色が悪い。……アンジェリカ、あいつらに取っておきのワインを出してやれ。マーガレット、一番いい肉を焼いて、こいつらの仕事机を片付けろ。……今夜、ここの部屋は『立ち入り禁止』だ」
ケイスケは強引に二人のペンを奪い取ると、背中を押して並ばせました。
「クラリス、お前はこの街の『知恵』だ。だが、その知恵を一番近くで支えてきたのは誰だ? セドリック、お前もだ。こいつの無茶な理想を形にできたのは、お前の実務能力があったからだろ。……お前ら、お互いがいなきゃ、この街の1万人はとっくに路頭に迷ってるんだよ」
2. 聖女たちのバックアップ
アンジェリカ: 「ふふ……。リラックス効果のあるハーブを焚いておきましたわ。クラリス様、セドリック様……今夜は仕事の話ではなく、お互いの『心』の話をなさってはいかが?」 影魔法で灯りを少し落とし、親密な雰囲気を作り出します。
マーガレット: 「はい、これ! 最高のベヒーモスステーキよ! 二人で仲良く食べないと、大地が怒っちゃうんだからね!」
エリザベス: 「……外の警護は私が引き受けよう。ネズミ一匹、この部屋の邪魔をさせぬと誓う。……セドリック殿、男の『覚悟』、期待しているぞ」
3. 二人の「芯」が重なる瞬間
真っ赤になって俯くクラリスと、珍しく冷汗をかきながら眼鏡を直すセドリック。
「ケイスケ様……その、私たちは……」
「いいから食え。……クラリス、お前がこれからもこの街を導くなら、隣に信頼できる『連れ合い』がいるのはデタラメじゃねえ。……セドリック、お前がこいつを支え続けるっていうなら、それはもう仕事の範疇を超えてるんだよ。……あとは自分たちで話しな。俺たちは外でエールを飲んでるからよ」
ケイスケは三人を引き連れ、部屋の扉を静かに、しかししっかりと閉めました。
ケイスケは、少し気恥ずかしそうに連携を深めているクラリスとセドリックを見て、不敵に笑いながらテーブルを叩きました。
「おい、いい雰囲気じゃねえか。だが、お前ら二人だけが幸せになっても、この街の1万人の『芯』は太くならねえ。……よし、新しい組織を作るぞ。**『結婚斡旋ギルド』**だ!」
1. 「縁」を結ぶ、新たな知恵の形
ケイスケの突拍子もない提案に、文官たちが一斉にざわつきました。
「いいか、自由都市の住民と、南から来た避難民。こいつらがいつまでも『旧住民』と『よそ者』で分かれてちゃ、いつかデタラメな火種が生まれる。……なら、強制じゃねえ、お互いが惚れ合って家族になるための場を作ってやるんだ」
クラリスの役割(教育と交流): 「素敵です、ケイスケ様! 読み書きの教室を、独身の男女が自然に協力し合える『共同学習の場』に作り替えましょう。知恵を共有する時間は、心の距離を縮めるはずです」
セドリックの役割(生活保障): 「実務的にも理にかなっていますな。新しく家族を持つ者には、あのインゴットを元手に、新居の提供や出産・育児の助成金を出す『婚姻支援制度』を法として組み込みましょう」
2. 聖女たちのアシスト
「ふふ……。わたくしのサーチで、性格や魔力の相性が良い方々を密かにマッチングして差し上げますわ。お節介という名の、聖なる導きです」 アンジェリカが影で糸を引くように微笑みます。
「お祝いの席の料理なら任せてよ! お腹も心も満たされる『縁結びのフルコース』を、ギルドの食堂で出せるようにしておくわ!」 マーガレットは早くもメニュー作りに取り掛かりました。
「自警団の中にも、色恋に疎い無骨な者が多い。私が直々に、身だしなみと礼節、そして愛する者を守るための覚悟を叩き込もう」 エリザベスは、なぜかいつになく気合が入っています。
3. ケイスケの「芯」
「デタラメな政略結婚じゃねえ。自分の意志で誰かを選び、支え合う。それが本当の自立だ。……このギルドを通して、自由都市と南の更地は一つの『家族』になるんだよ」
ギルドの設立により、街には活気ある交流が生まれ、新しく生まれた家族たちは「自分たちの街をより良くしよう」という強い責任感を持つようになりました。
ケイスケは広域サーチの範囲をさらに広げ、かつて自分がデタラメを掃除したはずの「王都」の現状を捉えました。
「……ケッ、腐った根っこを抜いても、まだ泥水が溜まってやがる。王都の隅っこじゃ、食い詰めた兵士が野垂れ死に、娼婦や奴隷が絶望の中で使い捨てられてる。……お前ら、最後の一仕事だ。王都のスラムにいる奴ら、全員この街へ引っ張ってくるぞ」
1. 「救済の嵐」:王都スラムの一掃
ケイスケたちは再び風の街道を駆け抜け、王都の闇へと降り立ちました。
ケイスケの「一括収容」: 「おい、ゴミ溜めのような暮らしは今日で終わりだ。文句がある奴は俺が黙らせる。全員、俺の魔力の圏内に入れ!」 スラムに住む数千人の困窮者、地下に繋がれていた奴隷たちを、ケイスケが重力魔法でふわりと浮かせ、一箇所に集めます。
アンジェリカの「影の回廊」: 「王都の衛兵に見つかるのは無粋ですわ。皆様、わたくしの影を通って、光の差す場所へ向かいなさい」 迷路のようなスラムの路地を影で繋ぎ、衛兵が気づく前に、数千人の人間を「風の街道」へと流し込みました。
エリザベスの「断罪」: 「抵抗する奴隷商や汚職兵士は私が引き受けよう。……汝らに、この人々を縛る資格などない!」 彼女の剣気がスラムの鎖をすべて断ち切り、追っ手を一歩も寄せ付けませんでした。
2. 自由都市、人口2万人への挑戦
数日かけて、王都から流れ込んできた「社会の底辺」と呼ばれた人々が自由都市へ到着しました。
「ケイスケ様! さ、さすがに今度は数が多いですが……やります! やってみせます!」 クラリスが目を白黒させながらも、セドリックと共に受付を指揮します。
娼婦・奴隷の再生: 「知恵」を学び、アンジェリカの浄化で心身を癒やした彼女たちは、その細やかな手先を活かしてインゴットの精密加工や、結婚斡旋ギルドの運営スタッフへと転身。
食い詰めた兵士の更生: エリザベスが彼らの腐った根性を叩き直し、自警団の「正規雇用」として採用。守るべき家族(避難民の女性たち)を見つけさせる。
3. 社会構造の完全書き換え
「いいか。王都じゃ『ゴミ』扱いされてた奴らも、この街じゃ貴重な『芯』だ。……マーガレット、食料の充足率はどうだ?」
「大丈夫! さっきの更地に新しい農場を広げたから、あと1万人増えても全員デブにさせてあげられるわ!」
4. ケイスケの「芯」
「……これで、この大陸の『負の遺産』はだいたい回収したな。あとはこいつらが、自分たちの手でメシを食い、家族を作り、文字を書く。……デタラメな王都なんかより、ずっとマシな世界だ」




