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ケイスケと三聖女の物語  作者: 慈架太子


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第1章:運命の邂逅と新たな術理

深い森の静寂を切り裂くように、金属音と魔法の詠唱が響き渡ります。


冒険者パーティー:森の激闘

エリザベス(剣士の娘) 最前線で鋭い剣筋を見せる。父譲りの確かな剣術で、迫りくる魔物の爪を弾き返す。その瞳には、仲間を守る強い意志が宿っている。


マーガレット(魔法使いの娘) 中距離から魔法と弓を使い分ける器用な戦い手。放たれた矢は青白い魔力を帯び、正確に魔物の急所を貫く。呪文を唱えれば、周囲の木々が呼応するように敵の足を止める。


アンジェリカ(神官の娘) 後方で聖印を掲げ、戦況を冷静に見つめる。仲間が負ったかすり傷を聖なる光で即座に癒やし、パーティー全体に加護の結界を張る。彼女の祈りが、二人の力を極限まで引き出していく。



深い霧が立ち込める「迷いの森」。 エリザベスが剣を構え直し、背後の二人に声をかけます。


「来るわよ! 右から二体、左から三体!」


マーガレットが素早く弓を引き絞り、魔力の矢を番えます。 「左の三体は私が止める。アンジェリカ、強化魔法バフをお願い!」


アンジェリカは静かに頷き、祈りの言葉を紡ぎ始めました。 「聖なる光よ、彼女たちの道筋を照らし、仇なす者を退けたまえ――」



深い茂みをなぎ倒し、二種類の魔物が三人を包囲するように現れました。


迫りくる脅威

ワイルド・ボア(猪の魔物) 丸太のような牙を持ち、全身を硬い剛毛で覆われた巨大な猪。地響きを立てながらの突進は、大木をも粉砕する破壊力を秘めています。


フォレスト・ウルフ(狼の魔物) 猪の突進に呼応するように、影から影へと音もなく移動する俊敏な狼。集団で連携し、獲物の隙を突いて喉元を狙おうと低く唸り声を上げています。


戦闘の展開

エリザベスは正面から突進してくる猪の魔物に対し、剣を低く構えて踏ん張ります。


「直進しかできないなら、捌くのは難しくないわ! マーガレット、横から狙ってくる狼をお願い!」


「了解! ちょこまか動くのは得意じゃないけど、魔法で追い詰めるわ!」


マーガレットは弓を構えつつ、空いた手で魔法のルーンを刻みます。放たれた矢が空中で三つに分かれ、影に潜む狼の足を焼き払いました。


その後方で、アンジェリカが凛とした声を響かせます。


「聖域の盾よ、理不尽な牙を跳ね返せ――『サンクチュアリ・ガード』!」


アンジェリカが放った光の障壁が、猪の猛烈な突進を真っ向から受け止めました。衝撃に怯んだ猪の眉間を、エリザベスの鋭い一撃が貫こうとしています。



猪の魔物を仕留めた直後、背後の茂みが音もなく左右に割れました。 逃げ遅れた狼たちが尾を巻いて逃げ出し、森全体が静まり返ります。


出現:森の主「グレート・ベア」

現れたのは、見上げるような巨躯を持つ漆黒の大熊でした。 特別な魔法や変異はないものの、ただそこにある「野生の重圧」だけで三人を圧倒します。


鋼の肉体: 幾多の修羅場を潜り抜けてきた証である古い傷跡が、鎧のような筋肉に刻まれています。


圧倒的な破壊力: 巨大な前足が地面を叩くだけで、周囲の土が爆ぜ、衝撃波が足元を襲います。


三人の対峙

「……ただの熊じゃない。こいつ、この森の『主』よ……!」 エリザベスは剣を正眼に構え、重心を低くします。先ほどまでの猪とは比較にならない威圧感に、喉が乾くのを感じていました。


「矢が通るかしら……いえ、通してみせるわ! アンジェリカ、援護を!」 マーガレットは震える指先で矢を番え、同時に弓に魔力を収束させます。一撃で仕留めなければ、次はないことを悟っていました。


アンジェリカは一歩も引かず、二人を包み込むように聖印を高く掲げます。 「神の慈悲、そして揺るがぬ加護を。……大丈夫、私たちの絆なら勝てます!」



絶体絶命の窮地

グレート・ベアの咆哮が森を震わせ、一気に距離を詰めてきました。


エリザベスが剣を盾に防戦しようとした瞬間、丸太のような豪腕が横から振り抜かれます。 「くっ……ああっ!」 まともに衝撃を食らったエリザベスは、木の幹まで吹き飛ばされました。受け止めた腕の骨が軋み、剣を握る握力が急激に失われていきます。


「エリザベス! ……聖なる光よ、癒やしを……!」 アンジェリカが必死に手を差し伸べますが、指先から漏れる光は弱々しく、すぐに霧散してしまいました。度重なる防御魔法の使用で、彼女の魔力は底を突いています。 「だめ……魔力が……足りない……」 膝をつくアンジェリカの目の前で、大熊が再びその巨大な前足を持ち上げます。


「させないわ!」 マーガレットが残る魔力をすべて絞り出し、弓を引き絞りました。 「貫け! 氷結の矢!」 放たれた矢は正確にグレート・ベアの眉間を捉えますが、鋼のような毛皮に弾かれ、浅い傷を負わせるに留まります。


「嘘でしょ……今の直撃でも、止まらないの……!?」 矢を使い果たし、魔法の破壊力も底をついたマーガレット。


目の前には、傷を負ってさらに凶暴さを増した森の主。 エリザベスは倒れ、アンジェリカは祈る力を失い、マーガレットの手元にはもう有効な攻撃手段がありません。


大熊が、最後の一撃を振り下ろそうと大きく立ち上がりました。




グレート・ベアの巨大な前足が、動けない三人へ向かって振り下ろされようとしたその瞬間。


頭上から鋭い風を切る音が響き、一筋の閃光が大熊の鼻先を掠めました。


「おっと、危ない……! 間に合ってよかった」


どこか場違いなほど軽やかな声と共に、三人と大熊の間に一人の青年が舞い降ります。


謎の青年の介入

彼は特別な鎧を纏っているわけでもなく、ごく普通の旅装束に身を包んでいました。しかし、その手には抜身の剣が握られ、大熊の威圧感に気圧される様子もありません。


軽やかな身のこなし: 怒り狂う大熊の連撃を、青年はまるでダンスでも踊るかのように紙一重でかわし続けます。


正確な牽制: 剣筋は鋭く、大熊が三人に近づこうとするたびに、その足元や鼻先を正確に切り裂いて足止めをします。


三人の救出

「……誰、なの……?」 アンジェリカが朦朧とする意識の中で問いかけます。


青年はちらりと肩越しに視線を送り、困ったように笑いました。 「ただの通りすがりの旅人だよ。……君たち、かなり無茶をしたね。ここは僕が引き受けるから、今のうちに下がって」


「でも、あなた一人じゃ……!」 マーガレットが叫びますが、青年はすでに大熊の懐へと鋭く踏み込んでいました。魔力による派手な演出こそありませんが、その無駄のない動きは、この「主」を相手にするのに十分な技量を感じさせます。


エリザベスは、自分たちを窮地に追い込んだ怪物を相手に、涼しい顔で立ち回る青年の背中を、言葉を失って見つめることしかできません。



青年は、大熊の猛攻をひらりとかわしながら、空いた左手を無造作に突き出しました。


「――ファイアバレット」


短い詠唱と共に、青年の指先から凝縮された炎の弾丸が放たれます。それは小さな見た目とは裏腹に、大熊の分厚い脂肪と筋肉を易々と貫通し、着弾した瞬間に内部から爆発しました。


「ガアアアッ!?」


鋼の毛皮を誇った森の主が、その一撃でたまらず大きく仰け反ります。


魔法と剣の連携

「魔術師……? いいえ、でもあんなに速い発動なんて……!」 マーガレットが驚愕の声を上げます。彼女のような魔法使いの娘から見ても、青年の放った魔法は予備動作がほとんどなく、あまりに練度が高すぎました。


青年は大熊の隙を見逃さず、今度は剣を振るいます。 「今のだよ。エリザベス、君ならもう動けるだろ? 右の脇腹……さっきの僕の火弾で毛皮が焼けて柔らかくなってる。そこを突いて!」


彼はただ助けるだけでなく、三人の状況を冷静に観察し、反撃の糸口まで作り出していました。



青年は、怯んだグレート・ベアの動きを見極め、迷いなく追撃を放ちます。


「悪いが、ここで終わりだ」


彼は一歩踏み込み、大熊の頭部へ向けて、残る魔力の全てを込めるかのように立て続けにファイアバレットを撃ち込みました。


一発、また一発と放たれた炎の弾丸は、その度に大熊の巨体に深くめり込み、内部で炸裂します。 最後のファイアバレットが眉間に吸い込まれた瞬間、大熊の頭部は激しい光と熱を発し、見るも無残に爆散しました。


地響きと共に森の主が崩れ落ち、周囲に熱風と土煙が巻き起こります。 あたりには、焦げ付いた肉の臭いが立ち込め、静寂が戻りました。


戦いの後

青年は、剣を鞘に収めると、ふっと息をつき、三人の元へ歩み寄ります。


「……なんとか間に合ったみたいだね。みんな、大丈夫かい?」


その顔には、戦闘の疲労は見えず、どこか飄々とした笑顔が浮かんでいました。 エリザベスは、折れた腕を庇いながらも、その圧倒的な力を目の当たりにし、ただ呆然と立ち尽くしています。 アンジェリカは魔力切れで座り込んだまま、青年が放った最後の光景を信じられないといった表情で見上げていました。 マーガレットは、手にしていた弓を取り落とし、青年の背中を凝視しています。自分たちの全力を遥かに超える一撃で、たった一人で森の主を仕留めたその事実に、言葉が出てきません。




青年は大熊の死骸を一瞥すると、動けないでいる三人の元へ歩み寄りました。


「ひどい消耗だね。……少し手伝うよ」


青年はまず、魔力が底をついたアンジェリカに向かって右手をかざしました。


「――ホーリーバレット」


放たれたのは、攻撃用ではなく純粋な聖魔力の塊でした。光の弾丸がアンジェリカの胸元に吸い込まれた瞬間、彼女の体内で枯渇していた魔力が、まるで泉が湧き出るように急速に満たされていきます。


「え……魔力が、戻っていく……!? 他人の魔力を直接譲渡するなんて、そんな……」 アンジェリカは驚きに目を見開きました。魔力枯渇は命に別状こそないものの、通常は休息でしか回復しないはずのものです。それを一瞬で満たした青年の底知れぬ力に、彼女は言葉を失います。


次に青年は、腕を痛めて蹲っているエリザベスに向き直りました。


「――ヒールバレット」


放たれた緑色の光弾がエリザベスの腕に命中すると、バキバキと音を立てて骨が接合し、腫れ上がっていた皮膚が瞬く間に元の白さを取り戻しました。


「……治った。さっきまで動かなかったのに、まるで怪我なんてしなかったみたいだわ」 エリザベスは信じられない様子で拳を握り締め、その感触を確かめます。


完璧に治癒され、立ち上がることができた三人は、改めて青年の前に並びました。


「私は剣士のエリザベス。……あなたの腕前と、この恩、一生忘れないわ。本当にありがとう」 エリザベスは剣を帯に納め、武人としての敬意を込めて深く頭を下げました。


「マーガレットです。攻撃魔法だけでなく、回復まで『弾丸バレット』として扱うなんて……。あなたは私の想像を遥かに超える魔法使いです。ありがとうございました!」 マーガレットは興奮を抑えきれない様子で感謝を伝えます。


魔力を取り戻したアンジェリカも、丁寧に裾を整えて一礼しました。 「私はアンジェリカ。あなたの『ホーリーバレット』に救われました。神官である私でも見たことのない奇跡です。……もしよろしければ、お名前を伺わせてください。この恩に報いたいのです」


青年は、三人の真剣な眼差しを浴びて、少し困ったように頬を掻きました。


俺は ケイスケ よかったら俺の魔法を覚えてみないか?



「ケイスケ」と名乗った青年は、気負うことなくさらりと言ってのけました。


その言葉を聞いた瞬間、三人の間に衝撃が走ります。 魔法や技術というものは、普通は何年も修練を積み、師匠から弟子へと厳格に受け継がれるもの。それをたった今出会ったばかりの自分たちに教えるという提案は、あまりにも破格でした。


マーガレット(魔法使いの娘) 一番に身を乗り出しました。「えっ、いいの!? あんなに速くて強力なファイアバレットや、属性の違うホーリーバレットを……私たちが覚えてもいいの?」 彼女の瞳は、未知の知識への渇望で輝いています。


エリザベス(剣士の娘) 驚きつつも、自分の剣を見つめます。「私のような剣士でも……魔力が乏しくても、あなたのあの『バレット』が使えるようになるのかしら?」 もしあの魔法を組み込めれば、自分の剣術はさらに高みへ行ける。そう直感していました。


アンジェリカ(神官の娘) 「ケイスケ様……」 彼女は一歩前に出ると、畏敬の念を込めて青年の目を見つめました。「神殿の教えとは全く異なる術理。ですが、あなたの魔法には人を救い、悪を討つ確かな力があります。もし許されるのなら、ぜひ学ばせてください」


ケイスケは焚き火の準備をしながら、軽く手を振ります。


「そんなに堅苦しく考えなくていいよ。コツさえ掴めば、君たちならすぐに形にできるはずだ。まずは、魔力の『収束』と『放出』の形を変えるところから始めようか」


森の主を倒した夜。 暗い森の中で、小さな焚き火の明かりを囲みながら、三人の少女たちへの「ケイスケ流・魔法講座」が始まろうとしています。




俺の魔法は この世界の魔法とは違う。 覚えている魔法の事はいったん忘れて この世界にはどこにでも魔力はある。さっきのホーリーバレットの魔力は俺から譲渡したものではなく空気中から取り込んだものだ。 このことを知っておくと魔力切れなんてことは起きなくなる




ケイスケのその言葉に、三人は言葉を失い、顔を見合わせました。この世界の常識では「魔力は個人の体内に宿るもの」であり、使い果たせば休息が必要なのが当たり前だったからです。


「……世界中のどこにでも、魔力がある?」 マーガレットが、信じられないといった様子で周囲の空気を手で仰ぎました。


ケイスケは焚き火の火を眺めながら、淡々と説明を続けます。


新たな術理の伝授

常識の打破 「今覚えている魔法のことは、いったん忘れて。この世界の魔法体系とは根本的に考え方が違うんだ。君たちがさっき魔力切れになったのは、自分の中にある限られた『器』の魔力だけを使おうとしたからだよ」


外部魔力の取り込み 「さっきのホーリーバレットも、俺の魔力を分けたわけじゃない。ただ空気中に漂っている魔力を集めて、形を変えて撃ち込んだだけだ。蛇口をひねるように、周りから取り込む方法さえ知っておけば、魔力切れなんて起きなくなる」


三人の反応

アンジェリカ(神官の娘) 「空気に溶けている魔力を……直接……。そんなことが可能になれば、救える命がどれほど増えるか……」 彼女は自分の震える手を見つめ、ケイスケが示した「無限の可能性」に戦慄していました。


マーガレット(魔法使いの娘) 「どこにでもあるものを集めるだけ……。それが、あんなに強力なバレットになるの? 魔法の概念がひっくり返っちゃうわ……!」 彼女は必死にケイスケの言葉を理解しようと、目をつぶって「空気中の気配」を感じ取ろうとし始めました。


エリザベス(剣士の娘) 「魔力切れが起きない……。それなら、私は一生剣を振り続けられるっていうこと?」 実戦を重んじる彼女にとって、その技術は最強の戦士への鍵に見えました。


ケイスケは三人の様子を見て、少しだけ口角を上げました。


「さて、理屈はこれくらいにして、実際に感じてみようか。まずは呼吸を整えて……」


俺の魔法にコツは 信じる事 イメージする事 これだけだ


ケイスケは焚き火に薪をくべながら、驚きに固まる三人を一人ずつ見つめて語りかけました。


「難しく考える必要はないよ。コツはたった二つ。『信じること』と、『イメージすること』、これだけだ」


「魔法ってのは、複雑な詠唱や回路で動かすもんじゃない。そこに魔力があることを当然だと信じ、それがどういう形になるかを強く思い描く。……やってみせるよ」


ケイスケが指先を鳴らすと、小さな光の粒が空中に現れ、生き物のように三人の周りを飛び回りました。


信じること 「『魔力は自分の外にある』と疑わずに信じれば、世界は君たちに魔力を貸してくれる」


イメージすること 「火なら熱を、光なら輝きを、バレットなら鋭い貫通力を。どれだけ鮮明にその結果を頭の中で描けるか。それが魔法の質を決める」


三人はケイスケの言葉を反芻し、それぞれのやり方でイメージを膨らませ始めました。


マーガレット 「信じる、イメージ……。ただの弾丸じゃない、私の矢のように鋭く、すべてを貫く一筋の光……!」 彼女が目をつぶると、周囲の空気がわずかに震え始めました。


エリザベス 「私の剣が折れない、止まらないイメージ……。魔力が空気に満ちているなら、私の腕は、その魔力を剣に伝えるための『導管』になればいいのね?」 剣の柄を握る手に、かつてないほど自然な熱が集まり始めます。


アンジェリカ 「女神に祈るのではなく、この世界そのものに感謝し、溶け合うイメージ……。聖なる癒やしが、空気に乗って皆に届くのを信じます」 彼女の周囲の空気が、柔らかく黄金色に輝き始めました。


ケイスケは満足げに頷きます。


「いい感じだ。常識を捨てて、自分と世界を繋げてごらん。……さあ、誰から最初に『バレット』を放ってみる?」


まずは 身体強化アクセル 筋肉強化マッスル 浮遊レビテーション


ケイスケは立ち上がると、三人の前に立って実演を始めました。


「複雑な攻撃魔法の前に、まずは自分の体に作用する基礎からいこう。『アクセル』『マッスル』『レビテーション』。この三つだ。いいかい、これも自分の魔力じゃなく、周りにある魔力を体に『纏わせる』イメージでやるんだ」


ケイスケが軽く足を踏み出すと、目にも止まらぬ速さで移動し、巨大な岩を片手で軽々と持ち上げ、そのままふわリと宙に浮いてみせました。


ケイスケの基本三法

身体強化:アクセル(Accel) 「神経と血管に魔力が流れ込み、加速するイメージだ。世界がゆっくり見えるようになるまで信じろ」


筋肉強化:マッスル(Muscle) 「筋肉の繊維一つひとつを魔力で補強するイメージ。鋼のバネを体に仕込むと思えばいい」


浮遊:レビテーション(Levitation) 「自分を地面から押し上げる空気の力を信じる。重力から解き放たれる自分をイメージするんだ」


三人の挑戦

常識を捨て、ケイスケの言葉を信じた彼女たちに、すぐに変化が現れました。


エリザベス(剣士の娘) 「……体が、軽い! 『アクセル』!」 彼女が地を蹴ると、残像を残して森の中を駆け抜けました。剣士として鍛えた体が、魔力を纏うことで爆発的な推進力を得たのです。


マーガレット(魔法使いの娘) 「次は私ね。……『マッスル』!」 細い腕に魔力を集中させ、先ほど自分を吹き飛ばした大熊の巨大な腕を、軽々と持ち上げてみせました。「信じられない……魔法で身体能力をここまで引き上げられるなんて!」


アンジェリカ(神官の娘) 「私は……『レビテーション』」 アンジェリカが静かにイメージを固めると、その体は重力を無視して地上数メートルまで浮き上がりました。「空気が私を支えてくれています。ケイスケ様、本当に……どこにでも魔力があるのですね」


三人は自分たちの身に起きた劇的な変化に、子供のように目を輝かせています。これまでの厳しい修行は何だったのかと思うほどの即効性に、彼女たちの価値観は完全に塗り替えられました。


ケイスケはそれを見て、小さく頷きます。



ケイスケはエリザベスの方を向き、さらりと驚くべき数値を口にしました。


「エリザベスさん、君は剣士だったよね。今の**『アクセル』と『マッスル』**はまだ入り口だ。イメージを深めて極めていけば、速さも力も今の5、6倍どころか、20倍以上まで跳ね上がるよ」


その言葉に、エリザベスは息を呑みました。20倍。それは、常人の域を遥かに超え、伝説の英雄ですら到達できるか怪しい領域です。


「……20倍? そんなことが本当に……」


「ああ、自分に限界があるなんて思わないことだ。それと、**『レビテーション』は単体だと浮かぶだけだけど、風のイメージを合わせれば自由自在に空を飛べるようになる。……理屈はいいから、まずは『アクセル』**を全開にするイメージで、あっちの広場まで走ってみて」


エリザベスは頷き、剣を強く握り直すと、深く息を吸い込みました。


エリザベスの激走

「……信じる。世界には魔力が満ちていて、私はただ、その流れに乗るだけ……!」


彼女が地面を蹴った瞬間、爆音とともに土煙が舞い上がりました。


音を置き去りにする速度 エリザベスの姿が、文字通り「消えました」。次の瞬間、彼女は数十メートル先の広場に到達しており、移動した軌跡には空気が切り裂かれたような衝撃波の跡が残っています。


制御される肉体 急停止した彼女の周囲では、風が渦を巻いています。本来なら急加速と急停止で肉体が悲鳴を上げるはずですが、**『マッスル』**で補強された筋繊維が、その凄まじい負荷を完璧に受け止めていました。


「……はあ、はあ……っ! ケイスケ、今……景色が、止まって見えたわ!」


エリザベスは自分の手を見つめ、興奮で肩を揺らしました。今まで必死に磨いてきた剣術が、この「魔法」という翼を得て、全く別次元のものに進化しようとしているのを肌で感じていました。


ケイスケはそれを見て、満足げに手を叩きます。


「いい走りだ。20倍への第一歩だね。……さて、次は誰の番にする?」


マーガレット:自分も加速して、空中で矢を放つ練習をしたいと志願する。


アンジェリカ:レビテーションと風魔法を組み合わせた「飛行」を試してみたいと言う。


ケイスケの指導:さらに高度な「魔法の組み合わせ」について教え始める。



ケイスケは焚き火の前に立ち、三人の視線を集めると、右手のひらを上に向けて静かに差し出しました。


「理屈よりも、まずは感覚を共有しよう。俺の真似をしてくれるか?」


ケイスケが短く「火」と呟くと、その手のひらの上に、赤々と燃える完璧な球体の火玉が浮かび上がりました。


詠唱も、魔法陣の展開も、魔力を練る予備動作も一切ありません。ただ言葉を発した瞬間に、そこに「火」という現象が固定されたかのような、あまりに自然で、かつ濃密な魔法でした。


「……信じることと、イメージ。ただそれだけで、こんなに純粋な火が出るなんて」


マーガレットが吸い込まれるようにケイスケの手元を見つめます。 彼女たちが今まで知っていた魔法は、複雑な手順を経て「捻り出す」ものでしたが、ケイスケのそれは世界から「引き出す」もの。


「さあ、やってみて。空気中の魔力を一箇所に集めて、それが熱を持ち、輝く球体になるのをイメージするんだ」


三人はケイスケの火玉にならうように、それぞれの手を差し出しました。


マーガレット 魔法使いとしての経験が、逆に「手順」を探そうとさせてしまいますが、彼女はそれを振り払い、ただ純粋な熱の塊を念じました。


エリザベス 剣士らしい直感で、火の「鋭さ」をイメージします。


アンジェリカ 温かく、周囲を照らす優しい光としての火を思い描きます。



ケイスケは、自分と視線が近い位置にある三人の火玉を見渡しました。


三人はそれぞれ170cmほどの、女性としては高くすらりとした見栄えのする体躯の持ち主です。その整った容姿に、赤々と燃える火の光が反射し、神秘的な美しさを際立たせています。


その三人が今、それぞれの手のひらの上に、ケイスケが示したものと同じか、それ以上に密度の高い火玉を出現させていました。


「……できた。本当に、願っただけで……!」 マーガレットが自らの手の上で踊る炎を見つめ、高揚感に頬を赤らめています。


「熱くない……不思議な感覚だわ。私の意志が、外にある魔力と繋がっているのがわかる」 エリザベスも、その美しい顔を火光に照らしながら、力強く頷きました。


「世界は、こんなにも優しさに満ちていたのですね」 アンジェリカの手の上の火玉は、まるで彼女の心を映すように、黄金色の暖かな光を放っています。


ケイスケは、その光景を眺めて満足げに笑いました。


「三人とも、筋がいいなんてレベルじゃないな。170cmの長身に見合うだけの、堂々としたイメージ力を持ってる。……一度コツを掴めば、もう魔力切れを恐れる必要はないよ」




ケイスケは流れるような動作で、次々と新しい属性を顕現させていきます。


「火ができたなら、他の属性も本質は同じだ。どんどんいくよ。……水、風、土、光、闇、雷、重力」


ケイスケの周囲に、透き通った水の球、渦巻く突風、宙に浮く土塊、眩い閃光、すべてを飲み込むような黒い霧、パチパチと弾ける紫の電光、そして周囲の空間が歪むほどの重力波が同時に現れました。


これまでの常識では、一生をかけて一つの属性を極めるのが魔法使いの限界。しかし、ケイスケが見せているのは、全属性を自在に操る神業かみわざでした。


三人の驚愕と挑戦

「……全属性を同時に!? しかも詠唱なしで……」 マーガレットは、目まぐるしく変わる魔力の色彩に圧倒されながらも、必死にその感覚を焼き付けようと目を見開きます。


「重力……重さまで魔法で変えられるなんて。これを剣に乗せれば、どんな盾も紙屑同然だわ」 エリザベスは、重力によって地面がわずかに沈む様子を見て、戦士としての本能を昂ぶらせています。


「光と闇……対極にある力も、世界には等しく存在しているのですね」 アンジェリカは、ケイスケが放つ光と闇が互いを打ち消さずに共存している様子を見て、深い感銘を受けていました。


修行の深化

ケイスケは浮かせた属性の塊を三人の前に差し出しました。


「さあ、自分のイメージに合うものから順に触れて、その性質をコピーしてみて。火と同じだ。そこに『ある』と信じて、形を思い描く。難しく考えるなよ」


170cmの長身を誇る三人の美人は、決意を秘めた表情でそれぞれの属性に手を伸ばします。


マーガレットは、火の対極にある**「水」**に。


エリザベスは、重厚な**「土」と鋭い「雷」**に。


アンジェリカは、清らかな**「光」と、未知の「重力」**に。


森の夜は、色とりどりの魔力の光に照らされ、幻想的な修行場へと変わっていきます。






「筋がいいね。これで基礎的な身体機能は格段に上がった。……さて、次はどうする? このままこの三つを組み合わせて実戦的な動きを試してみるか。」


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