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灯りの記録 〜見て見ぬフリをしてきた過去と向き合うために〜   作者: なかみね ひまり


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第81話 市役所で相談したときのこと


ある日、市役所に用事があって訪れた時、福祉課で離婚の相談ができることを知った。



受付の方に声をかけると、担当の川上さんという女性の方が、急なお願いだったにもかかわらず、丁寧に対応をしてくれた。


「今日の夕方なら可能ですが、いかがですか?」


その言葉に、少しだけ救われた気がした。


「冷たい制度の中にも、人の温度がある」


そう思えた瞬間だった。



夕方に再び福祉課に訪れると、川上さんのほかに、高畑さんという女性の方も同席した。


少し驚いたが、戸籍や制度に詳しい方だと聞いて


「まぁいっか」


と思い、了承した。静かな空間で、私はこれまでの経緯を、時系列に説明した。



「結婚後、夫から生活費を渡されず、私の貯金を切り崩して、生活する日々が続いたこと。その度に


「返すから」


と脅すように言いながら、返済はされることなく、借金やツケが積み重なり、金銭的に依存されてたこと。それが原因で、精神的にも限界を感じ、別居に至ったこと。別居時には、


「婚姻費用を支払う」


と約束してたのに、一切支払ってくれず、それどころか、連絡も遮断されたこと。直近まで弁護士を雇ってたが、親身になってもらえず、解任したこと。その後も、複数の弁護士事務所に問い合わせても


「お金がない人は承れない」


と断られたり、夫を擁護するような発言をされ、深く傷ついたこと。



裁判を検討しても


「相手の身元が確認できないと、進められない」


と言われ、『公示送達』という制度があるにもかかわらず


「自分で調査するか、調査会社に依頼を」


と無理強いなことを言われ、突き放されたこと。警察に相談しても


「相手が『教えるな』と言えば、居場所は伝えられない」


と言われ、所在確認は困難だったこと。どこに行っても、制度の壁に阻まれ、解決につながる支援は得られなかったこと。そのせいで、精神的にも経済的にも疲弊を感じ、今に至ること」


これらを担当者に伝わるように、包み隠さずに話した。



川上さんはうなずきながら、最後まで聞いてはくれたが、結局は


「無料の弁護士相談を受けてみては」


と勧められた。


私はこれまで、弁護士に蔑ろにされてきたことを思い出し、涙がこぼれた。



私の表情に対し、川上さんは


「よっぽど、辛い思いをしてきたんだね」


と共感してくれたが、同時に


「でも、この街の弁護士が、あなたが出会ってきた人たちと同じとは限らないよ」


とも言ってきた。



高畑さんは


「まず、戸籍や附票を取るところから始めてみては」


と提案してくれた。一辺に何でもやろうとせず、段階を踏むことが大切だと。


私は指示通り、戸籍を取ることにしたが、和馬は結婚後も、実家に住所を置いたままだったから、住民票を取ったところで、所在が判明するわけではない。

 


さらに、戸籍は遠方にあり、私は『住民票閲覧制限』をかけているため、今住んでる市役所では戸籍を取得できなかった。


結果として、戸籍が置いてある地域の市役所に申請をして取り寄せるという、時間のかかる流れになったのでした。

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