第80話 灯りを求めたのに否定された記録
裁判所や役所の対応に怒りを覚えた後、私は別の方法で心の灯りを求めた。
それが、電話占いだった。
私はただ、離婚できるかどうかを知りたくて、現状、気になってることだけを聞けたら、それでよかったのに、返ってきたのは、私の性格や態度を否定するような言葉ばかりだった。
「あなたは、思い通りに物事が動かないと、どうのこうの」
「そんなんじゃ、コミュニケーション取れないよ」
「冷静になって話し合え」
完全に私の性格を否定しているように聞こえ、心底ムカつき、怒りを覚えた。
それに加え、
「あなたは真面目すぎて、融通が効かない」
とも言われた。
「私はそんなことを言われるために、あなたを選んで電話したわけじゃない」
「それに、真面目さは私の灯りでもある」
「それを『欠点』のように言われたら、心が踏みにじられるように感じる」
そう思った。
家庭環境のことも話し、良くなかったことも、ちゃんと伝えたのに
「あなたの親は、過保護なのでは?」
と言われ、その言葉に『カチン』ときた私は、はっきり言った。
「過保護と過干渉では、全く意味が違うから」
と言うと、その言葉には反論してこなかった。
きっと、私の言葉に『本質を突かれた』からだと思う。
何度も言うが、
過保護は『守りすぎる』こと。
過干渉は『支配しようとする』こと。
暴力がある時点で、それはもう『保護』ではなく『支配』だ。
そこに『愛』や『保護』なんてものは存在しない。
和馬と一緒に住んでた時、私はずっと振り回されてきた。それなのに
「あなたも、ちゃんと彼の主張聞いてた?」
なんて言われて、まるで私が一方的だったみたいな言い方。
占い師のくせに、そこまで見抜けないなんて、
「この人も、まだまだ素人だな」
と思った。神通力を売りにしてたが、灯りどころか、影を落とされた気分だったし、
「そんなにあいつの肩を持つなら、あなたが代わりに引き取って結婚してよ」
そう言ってやりたい気分だった。
私が質問したことに対する返答ではなく、どこか、明後日の方向にずれた返答ばかり。
「この人、絶対、人の話を聞いてないだろう」
と強く感じたし、もはや鑑定というより、ただの押し付けだった。
「思い通りに動かないと…」
って言うけど、そんなの人間なら、誰しもあることでしょ。これまで
「自己主張した方がいい」
と言われてきたのに、いざ言えば
「冷静になれ」
と言われる。
「じゃあ私は、どうしたらいいんだよ。あんたの言い分だと、私がどれだけ『理不尽だな』と感じても、その感情に対して、見て見ぬフリをして、ロボットのように振る舞えとでも言うんですか?」
そう叫びたくなった。
それと同時に、心の奥に溜め込んでいた言葉が、さらに溢れてきて、
「まれに、酷いことを言われても何も言い返さずにスルーしたら、
『何も言わないあなたも悪い』
って言ってくる人がいるけど、言い返したら言い返したで、今度は
『あーだこーだ言う前に落ち着け』
って説教してくる。
『言い返しても悪い』
『言い返さなくても悪い』
言ってること矛盾してるし、それってある意味、卑怯なのでは?」
実際のところ、口にはしてないが、この人と話せば話すほど、私のヒステリーが浮上しそうになった。
それに
「生まれ持った性格を変えろ」
と言われても、そんなの無理な話。
「それを言うなら、あなたはそう言われたら、素直に受け止めて変えられるんですか?」
そう聞き返したくなった。
最後には
「私のアドバイスで、間違ったこと言ってるでしょうか?」
と聞いてきたが、正直、モヤしか残らなかった。
それを言ってくる時点で、単なる押し付けにしか聞こえなかった。
電話を切った後、この人の
「私の言ってることは間違っているのか」
の問いに、ふと頭をよぎった言葉があった。
「人に言いたいことは、自分に言いたいこと」
まさにこの日、話した占い師にピッタリだった。
「冷静になれ」
「思い通りにいかないと、どうのこうの」
それはむしろ、この人自身が抱えている未整理な感情だったのだろう。
普段からいい評価をもらっているせいか、完全に
「天狗になっているな」
と感じた。鑑定料金は完全に無駄になった。
「あなた方、占い師にとっては、鑑定料金をもらうことなんて当たり前なのかもしれないけど、私にとっては、貴重なお金だったんだよ」
通話を終えた後、口コミにそう投稿した。
私は灯りを求めて電話しただけであり、くだらない説教をされるために、電話したわけじゃない。
話せば話すほど、
「この人、私を怒らせたいのかな?」
と思った。
「占いを通して私を見ているのか、単なる好き嫌いで私と話しているのか?」
そう感じても過言ではない鑑定だった。
けど、私は違和感を見過ごさなかった。
言葉にして、線を引いた。
それは、怒りを抱えながらも『見抜く力』を取り戻した記録でもあったのでした。




