第73話 声を上げた日
その日もまた、おじさんから電話がかかってきて、案の定、彼女の愚痴を散々聞かされたあと、電話を切る際にこう言われた。
「こういう時、あなたと繋がっておいて良かった」と。
その言葉を聞いた瞬間、私は怒りを覚えた。
「所詮、私を利用してるだけじゃないか」
そう思わずにはいられなかった。
以前、おじさんは
「合法的に苦しめることができる知人がいる」
と言ってたことがあったが、その話は絶対嘘だ。
と言うのも、このおじさんは、人の話を自分の話にすり替える癖がある。
誰かの話を持ち出して、自分の知識のように語られても、信じる気にもなれなかった。
だからまた、電話がかかってきた時、私は決めていた。
「もう2度と会うことはないだろう」
と思ったから、この際、言い返してやることにした。
「そんなどうでもいいことで、毎回連絡してこないでよ。前から思ってたけど、『余裕がない』って言いながら、毎日のように送金してるのはおじさんの方でしょ? 親切に見えるかもしれないけど、私には、自分の首を絞めてるようにしか聞こえない。それを辞められないなら、これからも『余裕がない』って言いながら、送金し続けるしかないんじゃない。最初は、少しだけ共感してたし、おじさんには、すごくお世話になったし、感謝もしてる。
けど、それって、本当に『助けてる』って言えるの? ただの『依存』じゃないの? しかも、毎回、その愚痴を私にぶつけてくるけどさ。私の方が、離婚の件で問題抱えてて、おじさん以上に余裕がないし、私の問題に比べれば、おじさんの問題なんて、タカがしれてると思うね!
そんな時に、くだらない話を毎回聞かされるのは、正直しんどいし、もし逆の立場だったら、『辞めればいいじゃん』って絶対言うよね? それって、自分の言動にも、同じことが言えませんか? それに、聞けば聞くほど、おじさんがやってることは、矛盾してるとしか思えない。そんなに嘆くくらいなら、私の離婚問題にも協力してよ」と。
まさか、私が感情的に声を上げると思ってなかったからなのか、それ以降、おじさんからの連絡は途絶えたが、思ってることを口にした瞬間、胸の奥が少しだけ軽くなったのを感じた。
私は、誰かの感情処理係じゃない。
今は、自分の人生を守ることが最優先だ。
「助けて」
って声を上げれば、すぐ助けてくれる人がいる彼女。
それに比べて、私はいつも1人だった。
たとえ相談には乗ってくれても、結局誰も協力してくれない。
「やっぱり、私は孤独なんだな」
そう思わずには、いられなかったのでした。




