第72話 彼女への不満
おじさんの話によると、彼女は、私のいないところで、思いっきり悪口を言ってたらしい。
「おじさんは、愛羅さんばっかり可愛がる」
そう言ってたそうだが、おじさんの話によると、彼女は、おじさんから給料とは別に、毎月お小遣いをもらっていたそう。
彼女は、普段から無駄遣いが多く、携帯代を何度も滞納しては、おじさんに肩代わりしてもらっていたらしい。
私はおじさんと親しくしていても、給料とは別に、お小遣いをもらったことなんて一度もないし、むしろ欲しいくらいだった。自分が援助を受けている立場なのに、それを棚に上げて
「愛羅さんばかり」
と言うのは、お門違いだ。
さらに彼女は、私がお金を持ってるかのような言い方をおじさんにしてたらしく、その時は、心底ムカついた。私は誰にも頼れず、自分でやりくりしているだけなのに、
「お金がないなら、無駄遣いなんてするな」
そう言ってやりたかった。
私は困った時、誰からも援助を受けられず、自力で工面してきたから、彼女の発言は
『ふざけている』
としか思えなかった。
おじさんだって、私が前借りしてたことを知ってるはずなのに、彼女の言葉を、鵜呑みにしたことに対し、ものすごく腹が立った。
彼女は、弁護士事務所からも滞納通知が、毎月届いてたから、
「いい歳した大人なら、自分のことくらい、自分で管理しろよ」
そう思わざるを得なかった。
何度も言うが、普段から、無断欠勤や楽をすることばかり考えている連中に、あれこれ指図されても、説得力がない。
実際、助けてもらってばかりいるのは、彼女の方だ。それに比べ、私は自分で何とかするしかなかった。
また、ある時、私が業務内容のことで、ちょっとしたグチを漏らしていた時、彼女は、
「私の時もこうだったんだから」
って、いかにも自分の苦労を『特別視』してるような発言を、何度かしてきたことがあった。
それは、裏を返せば
「私の苦労に比べ、あなたの苦労なんて、大したことない」
って言われてるような気分だった。
だから私も、そんな彼女に対して、
「私も、どんなに苦しい状況に遭遇しても、自分でやりくりしてきたんだから、あんたも人に頼ってばかりいないで、自分の管理くらい、自分でできるようになれ」
「あんたは、私より仕事もできて、頭がいい自信があるんでしょ。だったら、自分の管理もできて当然でしょ」
って、そっくりそのまま言い返してやりたい気分だった。
おじさんから、彼女の言動を聞けば聞くほど、
「寄生虫夫とやってることが同じだな」
と思えてきた。
自分のことしか考えず、フォローの言葉もなく、ただ依存するだけ。
さらに、おじさんの話によると、彼女は
「実家に住民票を置けないから、果樹園に住民票を置いたままにしてほしい」
とお願いしてきたことがあったそうだ。
その発言に対し、私は
「きっとこの彼女も、異性問題などで、和馬みたいに、見え隠れしているだけなのでは?」
と、直感的にそう思った。
バカップルの2人も、私が辞めた後に続いて辞めたらしいが、彼女は辞めた後も、おじさんに金銭的に迷惑をかけていたらしい。
それなのに、おじさんは
「余裕がない」
と言いながら、彼女に対する愚痴を、いつも私に電話越しにぶつけてくる。
「余裕がないなら、無視すればいいじゃん?」
と私が言うと、その度におじさんは
「困ってる人を放っておけない性分だから」
と言うけど、結局は自分の首を絞めてるようにしか聞こえない。それを『美徳』のように語られても、聞かされる側からしたら、たまったもんじゃない。
それに、その選択をしているのは自分自身なのに、なぜか、私が『愚痴の受け皿』にされる。
私は、自分の人生がかかっている状態なのに、そんなどうでもいいことで、いちいち連絡してこないでほしかったし、
「余裕がない」
と言いながら、それを好き好んでやっているのは自分でしょ。
「だったら、私の離婚問題にも協力してよ」
そう思わずには、いられなかったのでした。




