表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
灯りの記録 〜見て見ぬフリをしてきた過去と向き合うために〜   作者: なかみね ひまり


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

68/83

第68話 スナックのママのような女将


「来月は休館日が多い」


と聞いてはいたが、面接時に質問しても、曖昧な返答しかなく、実際に就業が始まるまで、具体的な日程までは知らされていなかった。



教育の時は


「分からないことは、いつでも聞いて」


「ゆっくりでいいよ」


と、みんな口を揃えて言うのに、いざ現場に入ると


「こないだ教えたでしょ」


と冷たく突き放される。事前に休み希望も伝えてたはずなのに、共有すらされてなかったから、その度にモヤモヤが募った。



「あなたみたいに、ペースが遅い人は初めてだ」


と女将から嫌味を言われたが、私からすれば、


「こんなに受け入れ体制が悪く、バイトを無下にするような職場は初めてだった。女将は、今後もバイトを雇っては、自分のペースについて来られない人は、切り捨てていくのだろう」


と、何となくではあったが、そう思った。



退寮の際、宅急便の申し込みが一部しか通ってなく、事務所に伝票をもらいに行くと、顔を合わせたくない女将がいた。すると


「あなたここで働いて、散々迷惑をかけたのだから、お礼くらい言うべきでしょ」


と当然のように言われ、私は心底イラッとし、


「私の人生、舐めないでくれる? おばさん」


そう思った。



旅館やホテル関係の仕事は、


『待遇が良くない』


という理由から、次の日にはとんずらする人だって多い業界なのに、


「なぜ、私だけが非常識扱いされるのか?」


「むしろ、不愉快な思いをさせられたのは、私の方だ」


そう思った。



その場には、他の従業員もいたため、あえて言い返さなかったが、心の中では、この時、ハマって見てたあるドラマのヒロインになりきり、自問自答しながら、その瞬間を乗り越えた。



人間関係が原因で、精神的に辛い職場だったが、1人だけ救いとなる人がいた。寮の立ち会いをしてくれた年配の方が


「ここでの就業は大変でしたよね。バイトだとギャップを感じて辞めていく人も多いんですよ」


と気遣ってくれた。その言葉が嬉しく、短い間だったが、その人には


「ありがとうございました」


とお礼を伝えた。



出ていく時に、指導してくれた方にも遭遇したから、とりあえず挨拶はしたが、その人も内心では


「辞めてくれてせいぜいした」


と思っていたかもしれない。悪い人ではなかったが、せっかちな性格だったため、じっくり覚えたい私とは合わなかった。



ただ、この職場で働いて、改めて思った。


「私には接客という仕事は向いてない。人と接点の少ない裏方の仕事の方が、精神的に楽だ。今後は、もっと慎重に仕事を選んでいこう」


そう思った。



そして、最後に率直な感想を言えば、


「この女将は、まるでスナックのママのような雰囲気の人だな」


そう実感したのでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ