第49話 灯りの陰に潜む影
金さんが帰国して、数週間が経ったある日。
休憩中、1人でクッキーを食べながらホッと一息ついていた私に、ある男性が声をかけてきた。
彼の名前は、私の後の旦那となる『小島和馬』
和馬は私より4つ年上で、草刈りや落ち葉の掃除、石畳の整備など、庭の手入れを中心に黙々と働いていた。無口で、話し方もボソボソしてるから、聞き取りづらい一面はあったけど、仕事はそれなりにこなしてたから、第一印象は悪いものではなかった。
私は受付業務がメインだったから、和馬の存在は知ってはいたけど、これまでほとんど会話を交わすことはなかった。
そんな和馬が突然、
「愛羅さんって笑顔が素敵ですね。受付の仕事、向いてると思います」
といきなり声をかけてきたから、正直びっくりした。
話を聞くと、知人に誘われて参加したイベントで、和馬はくじ引きに当たり、有名ホテルの食事券(それも2名分)を手に入れたらしいが、誘う相手がいなかった和馬は、たまたま近くにいた私に
「良かったら、一緒に行きませんか?」
と声をかけてきた。私は
「タダで、お食事ができるならいっか」
と思い、快くOKした。
後日、高級ホテルで食事してる際に、和馬が私に
「愛羅さんって、今付き合ってる人いる?」
と聞いてきたから、正直に
「いないけど」
と答えると、和馬も
「俺もいない」
と言ってきたが、和馬は勢いのまま
「俺たち付き合う?」
と聞いてきた。けど私は、
「これまで和馬とは接点がなかったし、お互いのことを何も知らないのに」
という理由から、その問いには答えられず、そっとスルーした。
ただ、これを機に和馬からメッセージを通して、猛アタックが始まった。けれど、私の中には、どこか違和感があった。
「この人を選んで、私は本当に幸せになれるのだろうか?」
運命の人って、出会った瞬間に『ピン』とくるって言うけど、和馬に対しては、それが湧かなかった。外見も私の好みではなく、話し方も聞き取りづらい。それでも、
「一緒に食事した時、不快感はなかった」
という曖昧な感覚が、私の判断を鈍らせていた。
断り切れないまま、心の中に灯った小さな違和感。それを見逃さないために、私はある方に相談することにした。
だけど、和馬との出会いが、私の灯りを守るための、静かな闘いの始まりとなったのでした。




