第38話 私は道具でもロボットでもない
私は、とある田舎町の次女として生まれた。
2番目ということもあり、両親にとって私は
『最初の子ども』
でもなければ、祖父母たちにとっての
『初孫』
でもなかった。
だからなのか、両親にとって私は、いてもいなくてもどっちでもいい存在。
分かりやすく言えば、
「できちゃったから、仕方なく産んであげた」
ような扱いだった。
物心ついた頃から家を出るまでの間、母は私の幼少期の話になるたびに、
「お前が小さい時は、苦労させられた」
「お前が生まれてこなければ、絵に描く理想の家庭だった」
そんな言葉を、何度も何度も聞かされるたびに私は、自分の存在が否定されるような気持ちになり、小さい頃の話を聞くのが、どんどんしんどくなっていった。
ちょうどその頃から、精神的・身体的な暴力が始まった。
家族全員が、私をロボットのように扱うようになり、少しでも私が良いことを言えば、すぐにバカにされ、
「そんなこともできないのか。社会に出たら笑われるぞ!」
と、見下されることもあった。
特に両親は、自分たちの価値観を一方的に押し付けてきては、
「自分が子どもだった頃はこうだったから、お前もそうしろ」
「自分のことは自分でやってたし、親の言うことをちゃんと聞くいい子だった」
そう言って、注意されるたびに人格まで否定するような言い方をしてきた。
けど、私は内心思った。
「別にあんたらができて、私にできなくても、そんなことで笑う人はいないし、みんながみんな、あんたらみたいに何でもできる人ばかりじゃない!」
「自分の価値観を一方的に押し付けるのは、立派な虐待だ。いくら家族でも、やっていいことと悪いことがあるでしょ!」
また、私は昔から、ホコリが舞う環境が苦手で、身の回りを清潔に保つことにこだわりがあり、特に手は、いつも念入りに洗っていた。
それに対して両親は、
「お前は潔癖症すぎる」
と言って、私が掃除や手洗いをするたびに否定してきた。
けど、いざGが出現した時にギャーギャー騒ぐのは、いつも自分たち。それをろくに対処もできず、結局業者に頼んでは高いお金を払う。
私にとっては、そっちの方がよっぽどバカバカしく感じたし、
「普段から身の回りをキレイに保っていれば、そんな物体は出てこない。ギャンギャン指摘してくる暇があるなら、私みたいにもう少し清潔を心がけたらどうなの?」
そう思ってた。
一時期、パンデミックが流行していた頃は、手洗いうがいが徹底されてたから、私にとっては、むしろその頃の方が生きやすかったし、
「潔癖症だね」
と言われると、否定された気分になるのは、私が
『自分の感覚』
を守ってきた証でもあるからだった。
『子どもは、親の道具でもなければ、自分たちの思い通りに生きる為のロボットでもない!』
と、心の中でいつも叫んでいたのでした。




