第22話 不安にさせるプロとマザコン男の記録
家庭環境を告白してから、中級編を受講する頃には、担当の田口さん、通称『不安にさせるプロ』は、私に対して、徐々に塩対応になっていき、私がどんなことを呟いても
「ふーん」
と素っ気ない反応だったり、
「相手のことを、もう少し考えてあげるべき」
と、まるで私の感情を否定するような言い方をしてくるようになった。
ちょうどその頃、私はある男性と交際をしていたが、そいつは、年上の割には自分勝手で、とことん振り回される日々。何でも知りたがるくせに、自分のことは話したがらない。
良くも悪くも図々しく、しかも
「俺にはママがすべて」
と言い切るマザコンでもあり、どうしても信用できなかったし、一緒にいると、ものすごく疲れた。おまけに、価値観も合わず、最後に会った時には、心がズタボロになるような言葉を浴びせられた。
「この自己中心的な性格が災いして、結婚適齢期を迎えても結婚できないんだろうな」
と、私は思った。
また、こいつ自身も
「結婚するなら、ママの面倒を見てくれる人がいい」
と言ってきたから、
「ならいっそのこと、ママと結婚すれば?」
と思ったほど。
あまりにも気持ち悪くて、思い出すだけで吐き気がするような存在だったから、私は1日でも、このマザコン男のことを忘れたくて、占い師に相談した。
占い師さん曰く、
「この男とは、別れて正解だったよ。こいつ、ずるいところがあるし、もし関係を続けてたら、あなた自身が大変なことになっていたかもしれない」
その言葉に少し救われて、
「しばらく恋愛はもういいかな」
と思うようになった。
一方で、私がコミュニティで何も呟かなくなったことを不思議に思ったのか、受講時に、私の表情が思い悩んでいるように見えたのか、不安にさせるプロは、脅すような口調でこんなことを言ってきた。
「悩んでることがあるなら言って。言わないと、中野さんみたいに肌がもっと酷くなるよ」
その言葉に押されて、マザコン男との出来事や、占い師に相談したことを報告した。
すると
「こんなに悩んでたのに、気づいてあげられなくてゴメンね」
と言ってきたが、不安にさせるプロは、普段はネガティブで疑い深いくせに、恋愛になると超ポジティブ思考。
独身時代は、恋人が途切れたことがないらしく、恋愛に対してものすごく自信があり、経験人数は、3桁を超えていると自慢してきたほどで、
「下手なヤツはあり得ない!」
と断言してたこともあり、それを聞いて私は
「意外と尻軽なんだな」
と思い、正直ドン引きした。
また、少し古風な価値観を持ってて、
「相手を立てるのが当然」
という考え方もあり、
「ゴメンね」
と謝ってきたくせに、その後には
「あなたが悪い」
と私を責め立てるようなメッセージが届き、私は混乱していた。
「あいつに酷いことを言われた」
と泣きながら話したのに、不安にさせるプロから返ってきた言葉は、
「けど、あなたもいい思いしたことがあったよね? だったら、いい出来事にフォーカスしてみなよ」
「あなたは少々わがまま過ぎるのでは?」
「私も昔、付き合ってた人はみんなそうだったし、男はみんなマザコンなんだから」
そんな言葉ばかりで一切同情してくれず、
「ちゃんと話聞いてないでしょ?」
「この期に及んでまで、相手中心に考えろって言うんかよ」
「結局、私のことはどうでもいいんだな」
と思い、更に
「占いはあくまで統計学だから、悩み事は占い師じゃなくて、私に相談して」
と根に持つような言い方をされ、かなり追い詰められた。
それこそ、自分が酷い目に遭った時は、相手を責め立てて、とことん被害者ぶるくせに、私の時は
「そんな目に遭うお前が悪い」
って言ってくる奴だったから、
「人にはそういう言い方をするんだな」
と思い、見損なった気分でした。




