第21話 コミュニケーターから、不安にさせるプロに転身
家族のことを告白した際、田口さんから言われたことは
「だからと言って、嘘をつくのは良くないよ。もし家族のことを聞かれたら、“それ以上は、触れないでほしい”って言えばいいんじゃない?」
という言葉が返ってきたが、誰かさんみたいに、逆に根掘り葉掘り聞こうとする人もいる。
結局、ダメージを受けるのは自分だし、そんな言い方では意味がない。
更に
「どうしても嘘をつかなきゃいけないのなら、話の辻褄が合うように、みんなが納得できる内容を考えてから言うべき」
と、田口さんは言ってきたが、私の言い分としては、
「常識のある方なら、深刻そうな内容だと感じたら、それ以上は聞いてこないと思う」
それなのに、
「これからは嘘をつかないでくれ」
と、圧をかけるように言われ、それ以降、家族のことについて聞かれた時、どう答えればいいのか、分からなくなってしまった。
また、別の日には、
「愛羅ちゃんは、水商売を始めたわけだし、時には嘘をつくことも必要」
と、更に混乱するようなことを言ってきた。
そして、私を担当してくれていた田口さんは、
私が嘘をついたことに対して、まるで復讐するかのように、
「このご時世、SNSが主流になってきてるのに、家族がどこにいるのか知られたくないなんて無理よ。SNSが当たり前になってる時代なんだから、いずれどこにいるのか知られるもの。GPS機能もついてるし、正体を隠しきれるわけがない」
「愛羅ちゃんがこれまで働いてきた企業は、内密にやりとりしてるんだから、愛羅ちゃんのことも、こっそり調べられてるはず。そのために、履歴書というものが存在してるんだから」
と、そんな風に言われ、私はますます不安になり、おまけに、どうでもいい例え話までしてきた。
「不安を煽るようなことばかり言って、これじゃまるで、不安にさせるプロじゃん」
そう思わずにはいられませんでした。




