第10話 職場でパワハラを経験した過去
パワハラトレーナー山田からの嫌がらせは、日を追うごとに激しくなっていき、職場にいる同期たちもみんな、パワハラトレーナー山田の味方をし、私の味方になってくれる人は、残念ながら、1人もいなかった。
そのせいで、私はどんどん孤立感が深まっていった。
保険営業の職場は、子育てを終えた主婦など、アラフォー世代以降の女性が多く、若くてもアラサー世代が中心で、私のような若い年代はほとんどいなかったことから、同調してくれる人も見つからず、それどころか、パワハラトレーナー山田に同調し、私をバカにする同期も現れ、
「愛羅さんの、あの時の言動がウケた笑」
と笑い飛ばされたり、私のことをわざと話題にして盛り上がったり、自分たちが買ってきたお土産を
「余ったから」
と言って、私に無理やり押し付けてきたりなど、頻繁にからかわれるようになった。
奴らにとっては、ストレス発散だったのかもしれないけど、私にとっては、心を深く傷つけられる出来事だった。
「おばさんたちには、きっと心の痛みなんて分からないんだろうな」
そう思った。
誰にも相談できないまま、そんな日々が続き、
満員電車に乗って、職場に向かうだけで吐き気を催すようになり、扁桃炎を患って人と話すことも、食事をすることも辛くなっていった。
それは私生活にも影響し、起き上がろうとすると立ちくらみがし、ベッドから出られない日もあり、体調が悪くて職場に電話を入れたところ、対応した方が突然
「山田に代わります」
と言い、無理やり電話を繋がれ、
「体調が悪いので、休みたいです」
と言うと、パワハラトレーナー山田は
「体調管理も仕事のうち。これだから今どきの若者は」
と電話越しに怒鳴ってきた。
その後、
「病院に行って、領収書を提出するように」
との指示があり、
「領収書をもらったら、このメッセージに送ってくださいませ」
というショートメッセージが届き、
「あれだけ説明したのに、まだ分からないのか?」
「歳ばかり重ねて、もうボケてるんじゃないの?」
「むしろ、あんたこそ病院で検査してもらった方がいいのでは?」
そう言い返してやろうかと思ったが、病院に行く気力すらもなかった私は、体温計で熱があることを証拠として写真に撮り、その日は携帯の電源をオフにして、家で静かに休んだのでした。




