第7話 ギルドの再建に向けて
俺とサクラはギルドのテーブルに向かい合って座っていた。
黄ばんだ依頼掲示板を背に、机の上には紙とインク壺、それから俺の頭の中で組み上がった「分析表」が広がっている。
「えっと……プロデューサーさん、これは……?」
サクラが首をかしげる。
「現状分析だ」
俺は紙を指で叩く。
「どんな夢だって、土台がぐらついていたら崩れる。まずは、このギルドの現状を整理しないといけない」
紙には、俺なりにまとめた課題が並んでいた。
・人材不足(冒険者がほとんどいない)
・依頼不足(掲示板に張られる依頼は簡単な雑用ばかり)
・資金不足(ギルドとしての運営が困難)
「……こうして書き出すと、ひどいですね」
「事実を直視するのは大事なことだ。ここからどう動くかを考えるんだ」
俺の言葉に、サクラは神妙な顔で頷いた。
「でも……どうやって人を集めるんですか? 強い人は、大きなギルドに行きますし」
「だからこそ、“魅力”が必要なんだよ」
俺はサクラを見据える。
「君自身の歌や姿を、ギルドの看板にする。冒険者でありながら、人を惹きつける存在――それが君の強みだ」
「わ、わたしを……看板に……?」
サクラは耳まで赤くして視線を逸らす。
「すぐに大きなことはできない。でも、小さな実績を積んでいけば、やがて人は注目する。まずは一歩目を踏み出すんだ」
俺は立ち上がり、黄ばんだ掲示板に歩み寄る。
そこに貼られている依頼のひとつを指で示した。
「この荷物運びの依頼、どうだ?」
「えっ、これ……すごく地味ですけど」
「いいんだ。地味でも確実にこなせば、信用が生まれる。それが次に繋がる」
サクラは少し考え、やがて小さく拳を握った。
「……わかりました。やってみます!」
「よし」
俺は胸を叩き、彼女を見据える。
「ここからが、俺たちの第一歩だ」
――オンボロギルドの小さな机の上で、異世界のプロデュース計画が静かに動き出した。




