第1話 夢やぶれて
アイドルとは――何だろう。
笑顔で人々を魅了し、歌や踊りで心を震わせる存在。夢を見せる仕事。
俺が小さな頃、テレビの中にそんな人がいた。誰もが手の届かない輝き。
でも、俺は知っていた。憧れるだけじゃなく、自分もその舞台に関わりたいと。
大人になった俺は、プロデューサーになっていた。
アイドルを育て、夢を支えるために。
やる気のあるアイドルたちと共に成長し、夢に向かっていくことは楽しかった。運も味方してくれたおかげか、デビューを飾ってからはトントン拍子でファンを獲得しつつ、有名なアイドルグループになろうとしていた。俺のプロデューサー人生は順風満帆に見えた。
「ーーー担当アイドルに熱愛が発覚しました!」
しかし現実は、あまりに厳しかった。
せっかく心血を注いで育てたアイドルが、大きなライブを控えていたところ恋愛事件を起こした。
「、、、プロデューサーが私を無理やり、、、」
「はあ!? 俺は何もやってないだろ!」
強引なプロデューサーに迫られたとして、事務所は責任の全てを俺に押し付け、切り捨てた。
ああ、夢が……夢が、砕けた。
長年追い続けてきた希望が、一瞬で消えた。
もう、これ以上、プロデューサーを続けられない。
――そう思った俺は、事務所の屋上に立ち、深呼吸した。
下を見下ろすと街は光で溢れていて、色々な輝きに満ちていた。
冷たい風が髪を揺らす。
頭の中で、幼い頃憧れたあのアイドルの歌声が響く。
でももう届かない。
「……さようなら」
そう呟き、視界は暗転した。
――そして、次に目を覚ました時、俺は知らない場所にいた。
「どこだここは……夢か?」
目の前には、大勢の人々が熱狂している。歓声が、歌声が、モニターの光とともに押し寄せてくる。
何だここは――?
ふと見上げると、巨大なモニターに映し出されていたのは――
歌を歌いながらモンスターと戦う人たちの姿があった。
剣を振るい、魔法を放ち、歌で仲間を鼓舞する――
それを見た瞬間、なぜか胸がざわついた。
失ったはずのものが、そこにあった。
昔、俺が憧れたアイドルと同じ光。
そして――胸の奥で、再び小さな炎が灯るのを感じていた。




