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第0章 プロローグ

※この章は世界観の背景(創世記)です。

王子や傭兵が登場する本編は「第1話」から始まります。

物語の根幹となる神話部分なので、世界観を楽しみたい方はどうぞお読みください。


 そこは翠の月が守る世界。

 魔法や自然の力を尊ぶ文明をもつ。広い大陸と大きな海から成る、豊かな自然に恵まれた世界。


 ◇


 太古の昔、神々と悪魔たちによる大闘争があった。もともと互いに相容れぬ存在である。この闘争に終わりはないかのように思われた。 


 しかし――。

 悪魔側の頂点にいた龍が神々に囚われ、服従を誓わされたことで、形勢は神々に有利となった。龍は神々の命に逆らえず、同胞たちに刃を向けた。悪魔側のもう一人の総帥・邪神は、この事態を大いに怒り、悲しんだ。


 すさまじい闘争の末に、龍は邪神を追い詰めた。かつて、邪神と共に在ることを誓った龍は、己の躯ごと邪神を海に鎮める道を選んだ。

 全ては神々の思惑どおりだった。闘争は終わりを告げ、世界には平穏が戻った。


 そして、下界には龍の形をした大陸が生まれた。


【サン・ドラーグナ創世記より】



 ――その神話から数千年後。

 龍の左腕を宿した「呪われた王子」が、この世界に生まれることになる。


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