【迷宮】第12話 東の森へ
ドーゼの町から来た連中は、オルドガの町で『古城探索』の依頼に名乗りを上げた冒険者を脅迫した。実際に襲われた者もいて、それを聞いたラグドールが、ギルドに確認に来たらこの有様だったと言うことだ。
わたし達のところへも高級そうな革鎧を纏った3人組が来たな。
「そのドーゼの連中が、何故ここで宴会をやったんだろうね」
「依頼を受けに来る地元の冒険者を待ち伏せするつもりだったのだろう」
「酒で酔っ払って、博打を打ちながらの待ち伏せかい?」
わたしは呆れたが、ラグドールも嘲笑する笑いを浮かべた。まあ、脅迫や不意打ちの襲撃で片が付くと思っていたのだろう。
「もう。何なのよ、この娘!」
大きな声でぼやいたのはオルティナだ。ノアールは、今も椅子に座らず、わたしの直ぐ傍に立って、オルティナを睨んで威嚇している。
「はいはい。これあげるから、もう機嫌直して頂戴ね」
オルティナは立ち上がると、部屋の窓際に置かれた花瓶に挿してある赤い花弁の花を摘まみ上げる。
それをノアールの右半身を覆っているマントの留め紐の穴に差し込む。ちょうど赤い花弁の刺繍のすぐ横だ。
「諦めましょう、ラグドール。こんな眼で睨み付けられながら、一緒に仕事なんてできないわよ」
オルティナは、そのまま部屋の扉を開けて出て行ってしまう。その背中を見ながらクスリと笑ってラグドールも立ち上がった。
「オルティナは口下手だが、気に入った相手には赤い花を投げるのだよ。きっと、この娘を気に入ったのだろう」
窓際の花瓶を見ると、白と赤の花が挿してあった。赤い方の花を選んだなら、ラグドールの言う通りかも知れない。
「良い返事を待っている。盾の乙女のラゲルナ」
そう言ってオルティナを追って、ラグドールも扉から出て行った。
やはり、わたしのことを知っていて声を掛けたのか。
数日後。
結局……わたしとノアールは、ラグドールとオルティナと共に東の森へ向かうことになる。
冒険者ギルドでの騒動の翌日から、ドーゼの無法者連中がオルドガの町から姿を消したのだ。どうやら、わたしが連中を叩きのめしたせいで、《《力ずく》》でのお宝争奪を不利と考え、早い者勝ちに方向転換した可能性があった。
そうなると、わたし達も急ぐ必要がある。
「やはり、古城へは先を越されたようだな」
森の中には、つい最近数十人が歩いた痕跡があった。しかし、ラグドールは「お宝が持ち出されてしまう」かも知れないことは心配していないようだ。
ラグドールだけではない、ノアールもウキウキしながら歩いている。




