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異形の美女に懐かれたので、旅の道連れとなって冒険者します  作者: 星羽昴
Ep:片足の騎士

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【片足の騎士】第2話 古修道院

 義足の男が見えなくなり、それから暫く経った頃に、ようやくノアールが戻ってきた。

 嫌なものを目撃してしまい、気分が悪くなっていたのだが……ノアールも、わたし以上に不機嫌だった。

 聞くと「身なりの整った3人組の男達に襲われそうになった」と言う。


「3人組だって?」


 今のノアールは黒のローブを羽織っている。穴の開いた緑の服は修繕する必要がある。だからナルシエの町で仕立屋にも行かないとならない。

 男達は、ノアールの黒のローブを剥ぎ取ろうとしたそうだ。


「頭から引き裂いてやりたかったのですが、一刻も早くラゲルナ様のところへ戻ろうと思い……軽く殴って退かせてきました」


 多分、あの連中だと思った。


「引き裂いちまえばよかったんだよ」


 自分の感じた不快感と憤りに、思わず言葉を吐き捨ててしまった。そんなわたしを見るノアールの双眸に驚きが色があった。



 道端でそんな遣り取りをしていると、通りすがりの修道女が声を掛けてきた。

 まあ……明らかに具合を悪くしているのだから、奉仕を天命にする修道女なら声を掛けないわけにはいかないだろう。


「私の家がこの近くです。取り敢えず、そちらで休んでいって下さい」


 チラリとノアールを見る。ノアールは修道女の傍に行っても大丈夫なのだろうか……十字架とか聖水とかで苦しんだりしないのだろうか?

 そう思ったのだが全然気にせず、わたしを背負うと修道女の後について歩き出した。



 ほんの少し歩いただけで彼女の家に着いた。既にナルシエの町には入っているだずだが、相当に町外れの場所だろう。

 家と言うが、元は修道院だった建物だ。古くて痛んでいる建物の中に通されると、先ほど3人組から乱暴を受けていた義足の男がいた。

 男は、何枚かの木の板を子供達の前に広げている。木の板には文字が彫られていて、どうやら子供達に文字を教えているようだ。

 義足の男と修道女は顔見知りらしく、親しく挨拶を交わしていた。



 使われていない部屋に案内してもらい、わたしは直ぐに寝台に横になる。頭と意識はハッキリしているつもりだが、どうにも身体に力が入らない。


「後で夕食を用意しますから、休んでいて下さい」


 今は修道女の好意に甘えさせてもらおう。ノアールに、汲んできた水の入った革袋を貰う。気付いていなかったが、相当に喉が渇いていたらしい。かなりの量の水を流し込んだ。


「大丈夫ですか?」


「まあ……わたしに何かあったら、ノアールには後始末を頼むよ」


 少し沈黙の間が開く。


「……はい」


 ノアールの返事に気が楽なり、わたしはそのまま眠りに落ちた。

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