表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の美女に懐かれたので、旅の道連れとなって冒険者します  作者: 星羽昴
Ep:嘆きの森

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/184

【嘆きの森】第9話 誰の心臓?

 風が止まる。流れ落ちる滝の水も凍ったように動かなくなる。

 ボルガの足下には魔方陣があった。軽く飛び上がって、魔方陣の中心に着地したボルガの顔に、焦りの色が浮かぶ。


「馬鹿な……転送されない?」


 魔方陣で空間転移して、不意打ちをしようとしたらしい。その直前に、ノアールが世界をズラしたのに気付かなかったのか?


わたしが世界をずらしました。ここで魔方陣は使えませんよ」


 ボルガは、黒い翼を広げた。そして、足で地面を蹴って飛び上がろうとする。しかし、空に舞い上がることはできなかった。

 今度は、両の掌を伸ばした。しかし、赤い光は現れない。掌を見つめるボルガの肩が震え出した。


「ここでは、()()起こりません」


 魔法の炎すら揺れ動かなくなったズレた世界。ノアールが、ゆっくりとボルガに近づく。


「捕まえたぁ!」


 ボルガの両手が、無警戒に近づくノアールの首を捕らえた。


「魔法を封じられても、その細い首をへし折るくらいは簡単だぜ!」


 だが、首を絞められているはずのノアールはニッコリと笑った。左脚から伸びた蛇の頭を持つ触手が、ボルガの右腕と左腕に巻き付く。

 蛇の頭はボルガの腕に牙を立てて噛みついた。そして、その腕を喰らい始める。


「ひぃぃぃぃ」


 蛇の頭に食いちぎられた傷から、黒い砂が噴き出す。ボルガの両腕は、瞬く間に黒い砂となって地面にこぼれ落ちてしまう。

 今度はノアールの左手が、両腕を失ったボルガの首を掴んだ。


「や、やめろ……離せ……」


 ボルガの顔が引きつっていた。肩を振るわせて、必死に声を絞り出している。


「左胸の『生きた心臓』が、この森の魔を集めてるんだってさ。ノアールが貰っておきな」


「まあ、是非とも頂きたいです!」


 ノアールは嬉々として、ボルガの服を鉤爪で引き裂いた。こぼれたボルガの左の乳房に鉤爪を食い込ませる。


「やめて……やめて……」


 ノアールの鉤爪が、ボルガの左胸からドクドクと脈打つ心臓を引きずり出す。


「お願い……私の心臓、取らないで!」


 滝の水が流れ出した。ノアールがずれた世界を閉じて、わたしたちを元の世界へ戻したのだ。



 ノアールの口が耳元まで裂けた。牙の生えた真っ赤な口を大きく開けてボルガの頭を囓り取った。蛇の頭を持つ触手はボルガの胸から下に巻き付いて、その身体を貪り喰らっている。ボルガの身体は、足下から黒い砂になって崩れていく。

 ゴロリ……と、ほんの少し前までボルガだったモノが地面に転がった。

 頭の左半分を、左目の辺りから囓り取られた顔。首から上だけの姿になりながらも、ボルガにはまだ意識があるようだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ