表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の美女に懐かれたので、旅の道連れとなって冒険者します  作者: 星羽昴
Ep:精霊

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/184

【精霊】第13話 わたしじゃないよ?

 枝に掴まって落下を逃れたカイルを見て、魔物の()()()が残念そうに歪んだ。わたしにはそう見えた。

 ルイスの矢が、空の魔物に向かって放たれた。カイルが傍にいなくなったので、ルイスは矢継ぎ早に連射している。魔物の()()()が、ルイスに向いた。

 魔物はゆっくりと降下して、森の中に溶けるように姿を消した。


「どこだ?」


「まさか、逃げたのか……」


 ルイスとアーレンが警戒しながら、周囲を見渡すが魔物の姿はない。


「油断するな。まだ近くにいるぞ」


 魔法使いのケビンは、魔の気配がすぐ身近にあるのを感じているらしい。「近くにいる」と言い切った。


「うおお!」


 ルイスが大きな声を上げた。長く伸びた白い腕が、ルイスの身体を掴んでいた。

 信じられないことに、ルイスの身体を掴む白い腕は、森の一本の大木から伸びているのだ。


「くっ……くっそう……」


 ルイスの身体は、ズルズルと白い腕に引きずられて大木に引き寄せられていく。地面にはルイスの靴が引きずられる線が掘れていた。

 途轍もない怪力らしく、腕に締め付けられるルイスの顔が苦痛に歪んでいる。



 木の幹に引きずり込まれた死体……この村の魔物は、こうやって人を襲っているのか。最初に襲われた際に逃げ出すことに失敗していれば、カイルも土に沈められていたはずだ。



「おい、アンタの剣を借りるぞ」


 駆け寄って来たケビンが、わたしの腰の海賊の剣(ヴァイキングソード)を引き抜くと《《白い腕は生えている》》大木に向かって投げつけた。刃先が鋭くない海賊の剣(ヴァイキングソード)は、大木にぶつかって地面に転がる。

 大木から白い腕が消えてルイスは拘束から解き放たれた。

 ……だが。

 女の顔の魔物が、わたしの眼前に現れたのだ。

(え? いや、わたしじゃないよ……わたしの剣だけど!)

と本気で言いたかったが、魔物相手に通じる理屈ではなさそう。ノアールが手を伸ばしてくれたが、魔物がわたしの身体を空へ持ち上げる方が早い。

 わたしを抱いた魔物は、白い翼を広げて森の木々よりも高く舞い上がった。そして、わたしの身体を抱くその手を解いた。


「ちょ……ちょっとおぉぉ!」


 視界に、白い翼を広げた魔物と青空が見える。どこが上で、どこが下かわからない。足が地面を踏んでいない状態とは、こんなにも心許ないものか?

 ……これはマズイ

と思った刹那、わたしの身体は地面の上にあった。高所から突き落とされたと言うより、転んだ程度の衝撃と身体の痛みだ。


「大丈夫ですか?」


 ノアールの声。そうか、ノアールが上空と地面の直ぐ上の空間を繋いでくれたのか。それで、落下の勢いがつく前に「地面に落ちれた」のだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ