表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異形の美女に懐かれたので、旅の道連れとなって冒険者します  作者: 星羽昴
Ep:迷宮

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

110/184

【迷宮】第30話 希望と旅立ち

 ノアールが壁に大穴を空けたせいなのか……城の魔法の仕掛けと封印の結界は停止してしまった。


「魔物は、魔を吸収し続けなければ存在していられないはずだ。しかし、あの魔牛ミノタウロスは、何百年も封じられていて、この城も迷宮の仕掛けをずっと稼動させていた。この城には、魔物や魔力を存在させ続ける秘密があるのかも知れない」


 ラグドールは、その秘密を解き明かすことに意欲的だ。これが解明できれば、オルティナに魔を供給し続けることができる……とは言わなかったが、それが本当の希望だろう。

 別れ際に感謝の言葉を言われたが……壊すなと言われた仕掛けを壊してしまって、感謝されるのは妙な気分だった。



 ノアールは、オルティナから約束通りに磁石を貰って喜んでいる。


「アンタは、物を浮かせる魔法が使えないからね。この金属の針を薄く削った木片に乗せて、水に浮かせるんだ。そうすると水の上でゆっくりと北を指し示すよ」


 スープを盛る器に水を張り、その上で磁石が北を指すのを面白そうに眺めている。あちらで試して、こちらで試して、高いところに登って試してとせわしない。



 オルティナからも、感謝の言葉を言われたのだが……わたしとしては、オルティナの存在に感謝したい気持ちだ。


「礼拝堂でラグドールが襲われた時に、あの連中を『殺してやる』とは考えなかったのかい?」


 わたしの問いに、オルティナはさも当たり前と答えた。


「ラグドールは、許さないからね。仕方ないだろ」


 魔物の本能は、人に恐怖や呪いの負の感情を植え付けることだ。なのに、オルティナは魔に呑まれた今でも『人の意識』を保っている。もしかしたら、わたしが魔に呑まれても、人の心を失わないで済むかも知れない……そう、思わせてくれた。

 そんなわたしの気持ちを見透かしたのか、別れ際に言われた。


「アタシの印を刻んどけば、アンタの魔除けになるかと思ったけど……要らなかったね。あんな化け物が取り憑いてるのなら何も近寄れないよ」


 ノアールの認識が、使い魔から化け物になっていた。



 ノアールは、水を張った器に磁石を浮かべて「こっちが北ですから」と、旅の主導権を握ったつもりではしゃいでいる。

 燥いでいるノアールに、わたしは気になっていることを訊いてみる。


「あの、白と黒の翼だけどさ。ノアールは飛べたんだね」


「はい。飛べます」


「言ってくれれば良かったのに」


 ノアールは、チラリと空を見やった。


「空間を繋げれば直ぐに移動できますので、いちいち飛ぶのは面倒です」


 やっぱりノアールは、筋金入りの面倒くさがり屋だ。



Ep 迷宮 -終-

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ