【迷宮】第23話 利害の一致?
「あんなスゲエ魔物に守られてるんだ。この城には途轍もないお宝が隠されてるに違いない。これも何かの縁だ、手を組まねえか?」
生き残った6人の中でリーダー格の男が言い出した。
正直なところ、この連中と手を組んでも何のメリットもない気がする。6人とも革鎧を纏った剣使いか弓使いだ。ここに来るまでに見つけた死体には魔法使いのローブを着た者もいた。
わたしの直感だが、この連中は《《直接戦えない》》魔法使いを切り捨てて逃げ延びてきたのではないか?
仲間を平気で切り捨てる……そんな連中と手を組んだら背中に剣を置くようなものだ。
「あの、瓦礫になってる祭壇の真ん中辺りに、蓋のようなものが埋まってるんだ。今なら魔牛も姿を見せてねえ。瓦礫を退けて、蓋の下を確かめるチャンスなんだ」
わたしとラグドールが返事を渋っているのを察したのか、リーダー格の男は「取って置きの情報」を出してきた。その情報に、ラグドールの顔色が変わる。
「少し相談させて貰う」
そう言って、ラグドールは6人と少し距離を取ってわたしの耳元へ顔を寄せる。オルティナも顔を近づけてきたが、ノアールは礼拝堂をグルリと見回しているだけで傍には来ない。
「どうするつもりだい?」
「さて、どうしたものかな。おそらくだが……連中が期待しているようなお宝は、ここにはない」
おそらく……と言いつつも、確信めいた断言をラグドールはした。そしてオルティナも頷いている。
「もしも、魔牛がこの城の中で何かを守っているなら『魔牛を使役』できた魔導士がいたことになる。しかし、連中が言う通りの巨大な魔牛を、人の器で使役できるとは思えない」
「ずっと昔に、闇に落ちたマーリンと言う魔導士だけが魔牛を使役できたそうよ。何百年も前の話だけどね」
確かに、魔物を使役できる魔法使いはいる。しかし、そのほとんどは魔猪で、たまに魔狼がいる程度だ。魔牛を使役する魔法使いは聞いたことがない。
「本当に巨大な魔牛が存在するのなら、この城の役目は《《それ》》を閉じ込めることだった……そう考える方が自然だ」
「それなら、ここにはお宝はなかったってことかい?」
ラグドールは複雑な表情で、首を横に振った。
「太古の記録と言う意味なら、お宝に間違いないさ。それに、この城の複雑な魔法陣の仕掛けは貴重な研究材料だ。こんな仕掛けを動かしている魔が、どうやって供給されているのかも調べてみたい」
そのためには、ここから生きて帰らないといけない。信用できない連中でも、目的が同じなら手を組む価値もあると言うわけか。




