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カッペが遂に大都市東京を走る?  作者: カビゴンと一緒


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選ばなかった事・・。

「そう合法だ…」


 右手でゆっくり合図したが相変わらずパッシングは続いている、まぁそうだろうな獲物だと思ってんだからな…、更に左に寄せ外側線内に車体を納め抜けと合図する。


 この状況、此れなら黄色の実線内で追い抜きは完了できる、実線をはみ出さず俺を追い抜ければ追い越しではない。

「そう合法だ…」


 パッシングの間隔が激しく為り車間距離を詰めて来る、後方3mと言った所か、車間距離不保持だぞ、法規を守らせる側がやる事かよ?。


 此処から先は歩道の縁石に阻まれへ左右への逃げ道の無い区間、此奴のナンバーはピンクだ絶対逃げられないと踏んでやがる馬鹿が!

「なら一寸の間遊んでやるよ!」

 カンカンッとシフトを蹴飛ばし3速へ落とす、フルに開けパワーバンドに飛び込み強烈に加速を始めるRZ、赤灯が回るのも略同時。


 交機のエアパトならいざ知らず、所轄の警らPCで何が出来る心算だ?、馬鹿が御前等相手じゃ125で充分だ!。

「ついて来れるもんなら追って見やがれ!」


 大台を越え霊園前の信号は未だ<赤>の筈、手前の建物の切れ間で確認。

 此の速度のタイミングなら<青>で交差点侵入になる!、<青>変わるタイミングでT字交差点手前でフルブレーキングし右へフルバンク、後ろは付いて来てるのか?、続くT字此処も連続の<青>後方からサイレンより大きいスキール音を立てて追って来る、此処から所轄が変わるんだがな…。


 彼奴等相手がプロか素人かの区別も付かないのか?、普通なら此処で引いているぞ?、御前等トーシロかよ?、まぁ良い次のT字は直ぐにバンプなんだぜ良いのかよ其の速度で突っ込んでよ?、既に80を超えコーナーを膨らんだ振りをし次の左コーナーへ備えて右車線側から斜めにバンプに侵入。


 バンプ頂点で宙を舞う、同時に後ろで激しいスキール音、続けて顎を擦る金属音。

「バンプにフルブレーキングの儘入りやがったのか?」

 馬鹿がバンプが在るんだからブレーキ抜きアクセル踏んでフロントの荷重を抜く所だろうが!

 そして其の侭止まり切れず跳んだのか…〈グシャ〉と言う様な音も聞こえ、サスのフルボトムだけでは吸収出来ず腹の付近から火花も散った。


「馬鹿が少しは懲りろ!」

 サイレンも止みもう追って来る事は無かった。

「嗚呼スッキリした!」

 でも何にだ…?、自分でも相当ストレスが溜まって居たのだろう…、


 俺は今気付いてしまった…。


 何事も無かったように自宅へ到着し玄関を開けた。

「ただいま!」

「おかえりなさい!」

 如何したのだろうか?声が弾んでいる、此処の処聴け無かった声だ。


「今日はどうだった?、忙しかった?」

 機嫌は良いようだな、と言う事は何か有ったな?。

「ご飯の用意するね?」

 声のトーンが高い、と言う事はアイツにとって嬉しい事の筈。


 漸く身の振り方が決まったのか、是だけの時間伴に生活してれば判ってしまう。


「お願いが有ります、アパート借りるので保証人に成って呉れますか?」

 此の4月から柊はアパレルのレディース売り場に就職する、其れで近くにアパートを見つけた様だ。


 保証人って事は此処を出て行くと決めたんだな…。

「良かったな、良い部屋なのか?」

 余り興味が沸かす当たり障りの無い言葉。

「仕事場迄近いし、歩いて行けるよ!」

 嬉しそうな返事だった。

「親には頼れないし、未成年者じゃ貸してくれないからお願いします!」

「判った、書類を受け取ったら書いてやるから持って来いよ」

 断る理由も無いし、二年経てば更新で効力も無くなる、其れ位の期間なら柊の新しい門出に協力してやって良いと思った。



 ただ俺の思惑とは違う答えが返って来る。

「環境の所為じゃないかな?、あんなに頑張ったのに出来無いってのは?」

「否待て?、お前此処を出て行くんだろ?」

 間の抜けた声が出してしまう。

「うん!、環境換えるのにアパート換えるの!出来ても家族で住める位広いんだよ!」

「俺は此処を出る気は無いぞ、何でそうなる?」

 何時もに増して考えが吹っ飛んでやがる。

「毎日通って来て!そして抱いて欲しいの、赤ちゃん欲しいのは変わらないよ、その方が新鮮でしょ?」

 そう言う心算かでも此奴はきっと元に戻る。


「きっと御前は元に戻ってしまうだろ、一人で居れずに繰り返すよ。自分でも解って居るだろ?、其の為に此処に置いて上げたのだから。思いだしてご覧、此処に居ても同じ事をしてしまったんじゃないのか?」

 多分俺は疲れ果ててしまったんだと思う、今夜少し遊ばせて貰い無自覚だったストレスに気付いた。


「じゃあ一緒に引っ越そうよ、お願いだから一人にしないでよ!」

 金切り声で叫んでいた。

「嗚呼解った、御前も見習いの期間有るだろ?、一体どれ位なんだ?」

 指を二本立てた二か月か?

「研修期間の二か月自分一人で生活してみろ、二か月経ったら顔を出すから」

「うん頑張る!」

 其れが最後の会話に為った、結末は予想通り…。


 二か月後の或日、明日は休日に為る、乗務を終え柊のアパートに立ち寄る、

 店舗の入る百貨店は既に閉まって居る時間に部屋に明かりは灯らず、

 玄関を叩くも返答も返って来ない。

「やっぱり駄目なのか?」


 一旦離れマックで晩飯と仮眠がてら時間を潰し、明け方にアパート戻る…、

 柊が車から降りお互いに振り返る事も無く車は直ぐに走り去る。


 <そうか残念だ、変われなかったんだな御前…>

 もう声は掛ける必要も無い、だが掛かったRZのエンジン音には流石に気付く。


 <随分派手な格好をする様に為った物だな>

  顔を覆い其の場にヘタリ込む柊。


 確認が出来ただけ良かったか。

「あの娘は選らんじゃ駄目必ず不幸に為るよ。まだ間に合うから選ぶのよ!」

 あの言葉が蘇ってきた・・・。



 良かったな子供が出来、結婚していた後の事では無くて…。

変われなかったんだな御前…

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