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カッペが遂に大都市東京を走る?  作者: カビゴンと一緒


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怒りの矛先

ひとりおやかた

 庭先からVTとXTが消え当たり前の景色が寂しく為った、明日には此の景色からΓも消え更に寂しくなる…。


 家に残るのはRZ姉妹キョウダイだけ、柊を乗せたとしてもタンデムでは高速には上がれ無いから実質生活する上で困る事は無いだろう。

 家族が増えれば家の中が賑やかに成り、此の気持ちも変わるのだろう。


 8時40分ドアにカギを掛けΓに跨がりエンジンを掛ける、今日も良い音を立てご機嫌が良い様だ 。

「さぁ個人事業主一人親方第一日めのスタートだ!」

 そうは言っても業務内容が変わる訳は無い、何事の変わりも無く本日の乗務は終了した。

 通常6乗務位だが近場が多く本日は8乗務、一寸忙しかったと言う事位、今日は此の後電車に揺られながらの帰宅に為る。


 大手町から東西線に乗り車窓はトンネルの内壁、河を渡る為地上に上がる地下鉄、拡がる車窓を眺め乍もう見慣れた景色に生って仕舞った夜景を眺める。


「此処は明るいよな…、夜になっても…」

 日が落ちると人工の明かりは無く、人工の明かりは自車のヘッドライトだけ、其の明かりを頼りに走って居た記憶が蘇る、月明かりだけが唯一の明かり、新月や月が昇らぬ時ヘッドライトが照らす暗さを思い出す。


「不夜城と呼ばれる首都、此れが都会なんだよな…」


 そんな言葉が零れる、色々な事が有り此処迄来た、此処に来なければ関わる事も無かった人達の記憶、其の人達に関わる事で向こうに居たら知らずに済んだであろう事にも関わり、其の出会いと別れが一つずつ夢へと繋がり今此処にいる。

 今抱える問題は如何進んで行くのだろう?、今回は希望する方へ進む事を願いたい。


 乗換駅で電車より吐き出され次への乗り換え、都心の鉄道は繋がりが良く程無く発車。

 目的の駅で降車し自宅へと歩む、明かりの灯る自宅が見えて来る、今は此の明かりを守る事だけを考え余計な事は考えまいと思う。


 心の何処かであの時に聴いた『選らんじゃダメ!』その言葉が引っ掛かって居た。

 一度故郷へ帰って見ようか?、長い事家族に会って無い、仕事は未だまだ半人前だが夢を掴み叶えたと言っても良い、チビ供も大きくなっただろうし、あの峠からの景色を観れば此処に出て来る時に思った事を、無心に夢に歩み出した時の気持ちを取り戻せ出せるんじゃないのか?


 確かに夢は叶ったが、心の中まで此処に染まって仕舞いたく無かった。何処に行っても悪い事は悪い筈。そう思える自分を変えたく無い、其れを見失わない為にも。


「ただいま」

「おかえりなさい、今日はどうだった?」

 聴き慣れた声に代わった出迎えの声がする。

 何時もの彼女が望む事を成す、

 今の処其の兆候は未だ無い。


 更に3ヶ月を過ぎたが未だに兆候は無し、明日は柊の卒業式其れが彼女の歯車を狂わせる要因に為っていた。事前に届いた式への参加通知には父兄不参加と記されて居た。


 有り得ない回答、卒業後は好きにしろと回答が有り、学生時代最期の晴れの日が絶望の日に変わった。

「卒業式位一人で大丈夫だよ!」

 無理した笑顔は明かに落胆している。

「俺が替わりに出席するぞ?」

 其の回答された紙を前に伝えても首を振る。

「ねぇ卒業式が終わったら迎えに来てね♥」

 無理した笑顔でお願いされる、建前だけは立派な学校、保護者か近親者以外の立入を厳しく禁止され、且つ申請した者以外は門を潜る事さえ厳格に阻止される。


 其の癖生徒の問題行為は気にもしない、学校の名に傷が付かない限り、そう柊が俺に出逢う迄校外で行って居た事…。


 早めに到着し待つが出てこない、賑やかだった正門前も生徒を連れた保護者が帰り静かに為る。


 小さい影が筒を持ち近付いて来る。

「ごめんね!お兄ちゃん待たせちゃった♥」

 元気な声だが、顔を見ると眼が腫れて居た。


「二人で卒業祝い行くか?」

「直ぐにお家に帰りたい!」

 眼から溢れ頬を伝う、皆が居なく為る迄何処かに隠れて居たのだろう。馬鹿な娘だ放って置け無いだろう…。


「中以外は駄目!」

 其の夜叫び声を上げ狂ったように求め続ける。

「あたしの居場所を作るの早く赤ちゃん来てよ!」

狂人の叫び…。


 月の後半に落胆の声が上がる。

「何で来ちゃうの何が駄目なの?、何でよ?」

 泣き崩れる。


「あたしの居場所が…、無くなっちゃう…」

 無くならぬと伝えても届かない。

「盗られちゃうあの人に!、あたしじゃ勝てないあの人に!、早く来てよ!」

 もう声すらも届かなく為った。


 本当の家族に見放され、此処を仮初の宿だと思って居るのだろうか?。既に自分の帰る場所ど言うのに如何して信じられない…、理解出来なかった。

 その後は、仕事以外の時間は出来るだけ寄り添ってあげていた。


 誰かが24時間傍に居て上げないと、心の中を満たしてあげる事が出来無い。自分が思った言葉を思い出していた。

「如何してあげれば良いのだろうか?」


 状況は好転す事も無く時間だけが過ぎ暫くは応じていたが前回の月の物が来て以降は、お互い求る事も無く、俺が帰っても塞込んだ儘。

 此処に居る事が自分の居場所だと何故解らないのか、俺じゃ力不足なのか?、無力感だけが増して行く、そして別の何かも増して行く。


 自宅へ向かって居る時物陰に確認。

「隠れてる心算か、見えてんだよ馬~鹿!」

 機嫌が悪かったのも在る、今は通過時間から10時半と言った所か?


「出てきやがったや獲物と踏んだか…」

 指示速度で態と走る今日はRZ125、尻に張り付いたが敢えて40ピッタリで走る。


「気付いて無いと思って居るのか馬鹿が!」


 中山競馬場から松戸へ向ける道が市川霊園へ向かう道と交わる交差点の一本手前の脇道、病院の陰にPCが良く隠れている、此の先市川霊園前のT字交差点前迄の区間は脇に抜ける道が無く、仕掛けて来るのは武蔵野線のガードを抜けた先だ、其処迄40を決して崩さない。


 今ガードを潜った仕掛けて来るよな、パッシング浴びる。

 脇に寄せ速度は其の儘、右手で抜けとゆっくり合図した…。


ゆっくり、ゆっくりと合図した…。

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