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カッペが遂に大都市東京を走る?  作者: カビゴンと一緒


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ずっと探していたんだ

新たな相棒

 乗務を終え帰途に付く、期待半分に不安半分、嫌、柊に会う恐れかも知れない。


 昨日俺が出立する時には柊は既に学び舎に居る、(カセ)は全て外してきた。

 柊は何を選ぶのか?、其れは柊の自由、俺の意思の介在出来る余地は無い、其れで柊が何を選ぶかが見ものだな。


 恐れていたのに笑って居るのか俺は、何て自虐的な性格なのだろう笑いが込み上げる。あの純朴な俺は何処へ行ってしまったか?、アレから大した時間も過ぎて無いのにまるで遥か昔の様に感じる。

「俺も随分変わってしまったのだな…」

 声に出ていた・・・。


 そんな気分の儘自宅に向かう、事務所へ立ち寄り日報を仕上げ午後に入った頃に自宅に到着、学校も終り自宅に居ても可怪しく無い時間。

 エンジンを切りノブに手を掛ける、さあ待ちに待った答えが出る!、玄関を開けた。

「おかえりなさい♥」

 柊は確かに家に居た、だが俺が固まってしまう何でコイツは何時も斜め上を行く?


「未だ昼前だぞ!」

 思わずそんな言葉を発してしまう、首輪とリードは解る柊が約束したから…。

 だが柊は予想も出来無い事をしてやがる、四つん這い?、猫耳と尻尾も付いてる?、然も何も身に着けていない!

 嫌、下の枷は着けて居る…、厭々問題は其処じゃ無い!、外界に面する吐き出し窓は下の半分は摺りガラスとは言えカーテンすら引かれて無い!

「お前馬鹿か?、外から丸見えに為っちまうだろうが!」

 だが直ぐに笑ってしまう、此処迄不安を抱えて走って来た事に、多分もう大丈夫なんだろう。



 仕事は順調で怪我も無し、愈々社長に申し出る事にした。持ち込みへの変更願い、同じ仕事をするなら実入りが良い方を選ぶ。

 別に仕事を辞める訳じゃ無い、社用車から自前の車両に代わるだけ、元々その心算で購入したバイクだし何も問題無い、あっさりと社長の了承も出て次の出勤簿の締めから切り替わる。


 こう成った切っ掛けは矢部先輩の一言から。

「RZ125誰か買わない?、3本で良いよ!」

 RZ125か…、欲しいバイクだが既に4台に為ってるし、迷うよな…。

「先輩、其のRZ見せて貰えます?見てから決めたいんで!」

 本当は即答したかった。だが一人で5台も乗れる訳も無い、何れかのバイクを出さなきゃ為らなくなる如何するか?

「じゃあ明日乗って来るよ、実車を見て決めてね!」

 気前の良い返事をされる、明日か…。


 其処で決心したVTを返納しΓを本社待機に、購入するRZで通勤と高速外業務を行えば良い、ならば久しく乗って無いXTを出して持ち込みに成ろう。

 実入りは増えるが多分家族が増える筈だから…。



「森田君RZ持ってきたよ、見てくれる?」

 翌日矢部先輩の到着、其の足で駐機場へ足取りも軽く見に向かう。

 其処に在るのはカスタムペイントされたRZ125、色は悪く無いな…、装着されるホイールとエキパイが是なら排気デバイスは無しか、だとすると初期型20ps?、それともマイナーチェンジ版の規制目一杯の22psの方かな?。


 オリジナルのペイントにリアのウインカーは小型の丸い物に換装してある、此の後ろ姿は何処かで見た様な気がするんだ…?、何だろう此の既視感?、フロントに周りヘッドライトを見て其の疑問は確信に変わる!。

 色は違って居るが此奴は俺を此の地に呼んで、其の後に愚図愚図するんじゃ無いって言って呉れたRZだ!、偶然にも此処で会えるとは…。


「矢部先輩は此れに乗ってた方をご存じですか?」

 矢部先輩はゆっくり横に首を振った。

「ショップで買ったんだよ、此奴距離を走ってるからって兎に角安かったんだ」

 俺が眼を奪われた同業者(ライダー)の手掛かりは消えた…、でも此奴RZは此処に居る。


「矢部先輩決めました、譲って下さい!」

「乗って見なくていいの?ホントに?」 

 驚いた顔をされたが信頼して居る先輩の車両、心配は要らない。

「何処か悪い所が在るんですか?」

 多少の不具合は俺が直せるから不安も無い!


「距離走ってる位だよ、しいて言えば未だ異音とかは無いけどホイールベアリング位かな?、そろそろ換えとけば不安無いよね?」

「先輩がそう言って呉れるんですから何も心配無いですよ!、俺信用してますから」

 此の矢部先輩も俺が尊敬する方々の御一人。


「ありがとう、じゃ決まりだね!」

「有難う御座います、矢部先輩!」

 何の迷いも無く其の場で決めた。

 有難う御座います矢部先輩、此奴RZに引き合わせてくれて。


 漸く逢えたね…、ずっと逢いたかったかったんだ、俺を此処に呼んで呉れて有難う。

 初めて走る姿に眼を奪われた時からずっと…。



 家の明かりが灯って居る、そしてドアを開けた。

「おかえりなさい」

 と声がするもう当たり前の事に為って居る。

「どうしたの、随分嬉しそうだけど?」

 首を傾げてる。

「嗚呼そうだな、今日ずっと前から探してた子に逢えたんだ、そして俺の物にした」

「エッ?」

 眼が見開かれて小刻みに身体が震えている。


「約束だもんね、あたし何も言わないって言ったんだもんね」

 バカだな何を勘違いをして居るんだ此奴。

「馬鹿だなバイクの事だよ、女の子の事じゃないよ」

 頭を撫でる、そうだったな未だ俺が此処迄来た経緯をこの娘には伝えて居なかった、今夜教えてやるか!


「未だ、伝えて無かった事が有るんだ、俺はとっても遠い所から此処迄来たんだ、知らなかっただろう、話聞きたいかい?」

 不安そうだった顔が、満面の笑みに変わって居た。


「うん、聴きたい、教えて‼」

「実は俺、こっちの出じゃ・・・・」

 子供が物語を聞く様な顔をしていた、今夜の話は長く為るかな・・・。



 チビの素直な操縦性は其の侭で、更に過激な2stエンジンの性格、市街地の王者の名に恥じぬ走りを見せて呉れましたよ、此奴も。


漸く逢えた、ずっと探して居たんだ。

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