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ジト目が冷たく突き刺さる

怒ってた?俺が?

 困った娘だどんなに危険な行為を行っているのか理解してない、ホントに救い様の無い馬鹿娘、変な所には気が回る癖に自分の行って事が如何して理解出来ないのか?、何時に為ったらその事気付くのか?、其れとも気付かず一生を終えるのか?


「こっちも聴いていいか何時からこんな事してるんだ?、相手は知らない奴ばかりなんだろ?、何か在ったら如何するんだ?、そんな奴が責任取ってくれるのかよ?」

 暫し待つも俺が希望した返事は、何時まで待っても返ってこない。


「お~いそろそろ答えてくれるかな?、嬢ちゃんも明日は学校だろ?、俺も明日の仕事は早いんだから帰りたいんだぞ!」

 そう伝えても気にする素振りも無くカフェオレの入ったカップを啜りそっぽを向いてる。


「話す気無いんだったら是でお開き、家に送ってくから其れでお仕舞、それでサヨナラだ」

「えっ…」

 サヨナラだと言ったらビクッとしたぞ此奴、何でだ?未だお互い名前も知らない間なのに?

 其れこそ今までだって同じ様な出会いと別れを繰り返してんだろ?、手にしたカップを唇に当てた侭時間が止まって仕舞ったかのように時間が過ぎる。


「俺は自分の彼女になら幾らでも時間使っても構わんが、見ず知らずの子供ガキの遊びに付き合ってられないぞ、今から家に送って行くから其れで終わり、もう店に来て迷惑掛けるなよ!」

 返答は無かった、此処までだな。


「ほら送って行くぞ!」

 声を掛け立ち上がり掛かけた途端に腕を掴まれ。

「やだっ!一人にしないで、寂しいの、怖いの、あたしの躰好きに使って良いから、何でもするから、何回でも相手するから!・・・飽きる迄使って良いから一人にしないでよ・・」

 最後の声は小さくか細く辛うじて聴こえる位に為っていた。


 如何する?、今の言葉で幾ら何でも此処にはもう居られない、レジの脇に立つ例の女給さんのジト目が俺に冷たく突き刺さる、此奴の大声が夜学の連中にも伝わっちまっただろう…。

 今更だが如何にも為らないな此れ?、碌な事に為らないのは最初から分かっていた事だが、一気に通常の居場所を無くすとは…、其れを示す様に何時もの夜学のグループが此方見ながら話をしてる、奴<VF>にももう逢えないだろうな…。


 立ち上がりかけたが席に腰を降ろし問いかける。

「なぁ、何で俺に拘るんだ?、直ぐに代りは見つかるだろう?、今までそうして来た筈だろ?、此れ位は答えてくれるよな?」

 是以上引き延ばされたら本当に仕事に響いてしまう。通常の居場所は仕事を始めてから既に疎遠に為って居た、実害は無いに等しいかも知れぬが。

 大切な人が夢を引き換えに得た此の仕事を失う事だけはしたく無い、眼の前に居る見知らぬ娘とでは天秤に釣り合う訳も無い。


 そう思った時にぽつぽつと言葉が零れ始める。

「お兄さん何もしなかった、躰も要求しなかった、でも怒ってた…」

「怒ってたって俺が?、全く覚えが無いんだが?」

「怒ってたよ…、東金まで行く時は本当に怖かった。でも学校に送って呉れた時は優しかった。あたしがして来た事に本当に怒っていたって解ったよ…」

 確かに一寸お灸を据えた心算だったがそう取られていたのか?


「馬鹿な事してるのは解ってる…、でも一人に為るのは嫌、誰でも良いから傍にいて欲しい、一人は寂しいし、怖いし誰でも良かった一人の夜さえ凌げれば…」

 未だあどけない顔から雫が零れる、無理してイキがって居る事がバレバレだがどの道此処には居られない、場所を変えるか?、否、送っていくしかない、もう時間も限界だ。


「仕事に障るから今日は此処迄だ。家迄送って行くから学校に行くかは自分で考えろ!」

「やだ帰らない!、ホテルでもお部屋でも良いから一緒に居て、お願い!」

 何故だ?、何で家に帰らんのだ?、家に帰れば家族も居るだろう?、一人に為る訳じゃ無いだろに…。


「本当に仕事に支障が出るから勘弁してくれ!」

 帰らない理由は気に為るがもうこんな時間だ、本当に時間が無い!、居眠り運転等言語道断、少しでも寝て身体を休めて置かないと万全な状態で乗務に当たれ無い、詰らんミスをして事故を起こしたんじゃ皆に迷惑をかけてしまう。


 駄目だと解って居るのに馬鹿な俺は折れてしまう。

「なら解った俺の部屋で良いか?、汚ね~けど良いのか、襲われるかも知れんぞ?」

「一人よりよっぽど良いもん!」

 決まりだな、帰る帰らんで此処で何時までも押し問答するよりは…、冷たい視線を浴びつつ蔑む視線の儘で会計済ませ店を後にした。


「ヤッパリ男の子の部屋だね、なかなかだよ!」

 あの時からもう一年が経つのか、あの時程では無いがやはり同じ事を言われるんだな。

「詮索は後で好きにすれば良い俺は寝る、学校に行くかは自分で決めろ!」

「うん!」

「前の道を右に真っすぐ行けば野田線だ!、暗くて見えないが正面に階段が有る、其処を登れば嬢ちゃんが座って居たコンビニだ、自宅の場所も学校の行き方も此れで解るよな?」

「うん!、お兄さんに彼女が居ないのも判っちゃった!」

「ハイっ?」

 何の事だ?

「お兄さんが帰って来る迄此処に居ても良い?」

 ぎょっとしたが・・。

「学校には行った方が良いぞ、今夜は仕方なく泊めるが此処に居るのは駄目だ!、明日はちゃんと学校に行って家に帰れ!」


 大急ぎでお湯を張る昨夜も入って無いんだ今夜は風呂に入りたい、疲れが取れやしない。

「俺は風呂に入るが、嬢ちゃんは如何する?」

 そういや此奴は如何すんだ?、着替えも持って無いだろ?

「先に入って、アタシ後で入る」

 未だ零時前、充分寝れる時間だ俺は其の辺で転がれば良いか?、風呂へ向かい湯船に浸かる、昨日からの出来事を振り返る、如何してこんなに厄介事が集まって来るんだよ?…。


 俺の中で何かが音を立て崩れ始めた。

何かが崩れ始める…

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