俺ってホントに祟られてるのか?
「行かないよ!」
(^^♪
空が明るく成り始め朝焼けなのか空の色は茜色に染まって行く…、朝焼けだとすると今日は此の後天気が崩れるのか?
暗かった横顔がハッキリ見えている、其処には初めて見た時の刺々しさは無くなり、暴言も吐かなく為っている、その刺々しさが取れた顔は未だ幼い顔をしていた。
<大人しくしてりゃ可愛い顔してるのに?>
学生服で手摺りにもたれ掛かる姿にふと気付き声を掛ける。
「一寸待てよ!、そう言えば今日は水曜だぞ!、嬢ちゃん学校はどうするつもりだ?」
俺の仕事はシフト制、平日休みが基本だその為曜日の感覚が麻痺していた。
「行かないよ!」
と言い舌を出す、厭々学生の本分だろう?、俺は成績こそアレだったが一応は真面目に通ったからな。
「昨日は学校に行ったのか?」
「うん!」
縦に首を振る。
「直接行けばまだ間に合う時間だし、何処の学校に通っているんだ?」
千葉市内の学校名を告げた。なら此処から大して掛からんし間に合うな!、嫌一寸待てよ?、そう言えば此奴学生カバンは如何したんだ?、最初から持って無かったな?、でも昨日は学校に行ったと言ってたよな?。
「嬢ちゃん勉強道具は如何した?、昨日は学校に行ったんだろ?」
暫し待つが答えは直ぐには返って来なかった。
「家に置いて有る…」
と呟くように答えた。
「自宅は何処だ?」
船橋市内の住所を呟く。
<其の住所だと京成線に乗って津田沼駅で乗り換えになる筈だな?>
「何時も何時に家を出る!」
日は昇り始めて顔もはっきり見える時間。
「いつも6時50分に出てる・・」
左腕の手首の内側を見るとダイバーズウォッチは既に05時を回って居る。
今からで間に合うのか?、仕事でソロなら無茶も出来るし上に乗る事も出来るが、タンデムで高速には上がれんし来るときに怖い思いもさせてるし…、如何する?、頭の中はフル回転してルートを弾き出していた。
「学校は何時に始まるんだ!」
「8時半だけど・・・、行かなきゃ駄目なの?」
俺のお頭が出したプランは簡単、自宅で鞄をピックアップし、学校の下車駅の二つ前の駅で降ろす、二区間だけだが電車に乗れば他の生徒にも解らないだろう、ルートは決まった!。
「直ぐに乗れ、学校に間に合わせて見せる!」
「お兄さん…」
お兄さんだと?、昨夜はオッサン呼ばわりだったんじゃ無いのかよ?、否!、今は愚図愚図してる程の余裕も無いスロットルを開けた。
「怖かったら眼を閉じてろ!」
「分かった!」
弾き出した最速ルートを辿って行く、とは言え途中迄は昨夜通った道。
此のルートは何度も通った道、一人でも、俺と同じあだ名の車マー坊の助手席に乗る人と会話しながらも、そして俺が夢を掴む代わりに失った人を背に乗せ走った道、迷う訳も無い!
「すごく速い、でも怖く無いよ!」
背中から嬉しそうな声が聴こえて来る、昨日の晩より大幅に大人しく走ってるからな…、一路彼女の自宅を目指し目的地に到着したのは7時ジャスト…、でも未だ此の先が有るんだ…、抑々あの娘無事に自宅を出て来れるのか?、家の中で修羅場に為ってるんじゃ無いのか?、でも今回が初めてって訳じゃないんだったなだとすると…、然しタンデムだとこんなに制約が有るとは思わなかったよ…。
暫し待ち玄関を出て来たのは7時20分過ぎ、着替えをし大きめのリュックを背負っていた。
「カバンはどうした?」
そう聞くと。
「これだよ‼」
体を捻り背中を見せる。
「お前さんが学校で降りる駅は京成線か?、それとも総武線か?」
「総武線だよ!」
今回は直ぐに答えが返って来た。
最終ルートは決定した、目的地は稲毛駅、此処から薬円台を抜け実籾経由で駆け抜ける、電車の通過時間次第ではもっと手前の駅でも間に合う予定だ。
渋滞で並んでいる車の脇をすり抜け続けて南下して行く。
「シッカリしがみ付いて、足はシートを挟んで開くなよ!」
「解った!」
声を掛けると素直に大きな声が返って来る。
しかしXTで本格的にすり抜けするのは初めてだが此は楽だ!、ハンドル幅は広いが殆どミラーの上を通過するしスロットル開ければミラーを飛び越せる。
時間にタップリ余裕を持って稲毛駅に到着、駅から目立たぬ少し離れた場所にXTを停める、そして羽織らせていたジャケットを脱がせ受け取り。
「此処なら学友に見つから無いだろ?、ちゃんと出席しろよ、其れじや此処でお別れだ!」
「うん♥」
答えて頷いたが最悪な返事が戻って来る。
「お兄さんバイバイ!、また今夜ね♥」
其の言葉に呆気に取られた俺の処から駅に向かって駆け出して行く、一度だけ振り返り大きく右手を振って改札に消え其の姿は俺の視界から消えた。
<また今夜って???>
「嘘だろ?、何で?、如何して?、何でこんなんトラブルばっかりが俺の所にやって来るんだよ!、俺ってホントに祟られてるのかよ?」
其の場で力尽きしゃがみ込んでしまう…。
「誰か嘘だと言って呉れよ…」
お互い名も告げずに居た。余りの価値観の違いにもう関わるのはやめようと思い此の場で今生の別れを告げた心算だった筈なのだが・・・。
其れに対して最悪の答えが返って来た、ホントに俺は祟られているのか?、そう思わずには居られ無く為っていた…。
本編とは関係ない話なのですが、距離を走るのと振動で重い時計は手首の内側に下がって来るのと表示部が手の甲に当たり、バンドは緩めに止め手の甲側では無く内向きに止めてました。
実際走行中はアキバのパーツ街で買った表示部だけのデジタル時計をタンクバックのクリアー部に付け、走行中は何時でも取り返さないといけない時間を確認出来る様にしてたので腕時計を使う事は殆ど無かったんですが。
勿論未だアキバはオタク街じゃ無い頃ですよ。
アキバは未だ電気街!




